相振り飛車 先手中飛車 実戦 棋譜検討

前回 に引き続き、相手は知り合いの６段。

公言通り、私の敗戦を載せますが、

思い出してみてもやっぱり、悔しい（苦笑）

相振り飛車 先手中飛車 ワンチャンスを逃すの巻

先手	私
後手	６段

第１譜 挑戦	途中図（▲５八飛まで）
初手からの指し手 ▲５六歩△３四歩▲５八飛△３二飛▲６八銀△３五歩▲５七銀△６二玉▲７六歩（第１図） 「どんな時でも先手中飛車を指せるなら楽だな」とは、昨今の力戦振り飛車党なら誰しも思っているだろう。しかし、先手で中飛車を指すには、初手▲５六歩について考えざるを得ない。▲７六歩△３四歩▲１六歩△８四歩▲５六歩の出だしは考えられるが、▲１六歩に対しては相振りにされる恐れがあり、端歩がマイナスになる可能性も高い。しかし初手▲５六歩も同様に相振りが強敵だ。相振りで中飛車は不利、と言われている中、この将棋は私なりの挑戦である。

第２譜 「なるほど！」	第１図(▲７六歩まで）
第１図からの指し手 △４四歩▲４八玉△４二銀▲５五歩△５二金左▲６六銀△３四飛（第２図） 相振り中飛車を指すなら、第１図は研究の範囲で無くてはいけない。もちろん私も万全の準備をしたつもりだったのだが、▲４八玉が甘く▲５五歩だった、という可能性がある。相振り中飛車の場合「中央で手を作れる可能性を作ってから駒組みに入る」という考え方があり、私もそれに則って指す予定でいたが、▲４八玉と△５二金左が交換になると手が作りにくくなるかもしれない。 とはいえ対局中はそんな事には思い至らず、△３四飛を見てはじめて「なるほど！」と唸る事になった。

第３譜 後手巧妙な指しまわし	第２図(△３四飛まで）
第２図からの指し手 ▲５四歩△同　歩▲同　飛△４三銀▲５六飛△４五歩（第３図） 第２図一手前の▲６六銀が指したかった手で、△４三銀なら▲６五銀が調子良いと思っていた。しかし、私の甘い思惑は△３四飛で消し飛んだ。５筋が切れれば▲５五銀型が作れる、と甘く見積もっていたのだが、本譜最終手△４五歩によって後手の飛車角が一遍に働くのが大きく、理想形は組めそうもない。 繰り返しになるが、▲４八玉と△５二金左の交換が無ければ先手も指せるはず。

第４譜 筋悪の駒組みに懸ける	第３図（△４五歩まで）
第３図からの指し手 ▲７七角△７二玉▲３八玉△８二玉▲２八玉△７二銀▲３八銀△１四歩▲８六角△６四歩▲７七桂（第４図） △４五歩を見て、しばらく思考停止になった。読んでしまったら、結論がわかってしまうから・・・。 しかし指さないわけにもいかず、以降は苦しい駒組みである。とりあえず美濃まで組んだものの、中飛車を活かす構想が浮かばない。▲５八飛から他の筋に移動する手は考えなかった。そんな手を指すくらいなら負けた方がマシだと思っていたから。 よって本譜の筋悪の駒組みに懸けた。▲７七桂と指す時は流石に苦笑したが・・・。

第５譜 筋悪のオンパレード	第４図(▲７七桂まで）
第４図からの指し手 △６三金▲５五銀△３一角▲５四歩△同　金▲同　銀△同　銀▲２五金（第５図） ▲７七桂を指す時は「これしかない」というつもりで指したのだが、相手が考えている間に局面を眺めていたら、また苦笑してしまった。「俺の頭はどうなってんだ（笑）」 ただでさえ△６四歩によって▲８六角が止められているのに、もう一枚△６四歩によって止められる駒を作るとは何たる事か・・・ 更に筋悪は続く。▲５五銀には△５四歩▲６四銀△同　金▲同　角△７七角成▲４二角成△５二金でも悪いが、△３一角は完封勝ちを目指したもので、良いと思っているだろう後手はこう指すんじゃないかと思った。そこで▲５四歩から▲２五金が筋悪第二弾（笑）元が筋悪の将棋なので、筋悪の手が良い手になると信じて打った。

第６譜 悪いながらも・・・	第５図(▲２五金まで）
第５図からの指し手 △５五歩▲３四金△５六歩▲４一飛△５三角▲４四金△同　角▲同飛成△６三金▲５八金左（第６図） 相手も流石に▲２五金を打つと思っていなかったんじゃないか。△５五歩▲３四金△５六歩と進んだ時、と金作りが残るので。しかし、私は先手で▲４一飛と打てるというただ一点に懸けた。△５一飛と打たれると継続がわからなかったが、指さないと思った。受け潰すよりも△５七歩成で勝ちたいと思うのが人情だから。 △６三金のところで△４三金と打ち、▲３五竜△５七歩成▲５八歩△４八と▲同　金△８九飛なら先手がダメ。本譜は△６三金だったので▲５八金左が入り、悪いながらも勝負形になってきたと思った。

第７譜 粘る	第６図(▲５八金左まで）
第６図からの指し手 △８九飛▲４一龍△９九飛成▲２一龍△５五香▲７五角△７四歩▲３九角△５七銀 ▲５九金引△４六歩▲２五角（第７図） 挽回してきてはいるが、△５六歩の存在、そして何より▲８六角の遊びが痛く、先手の苦戦は続いている。後手の△８九飛～△５五香が厳しい。▲７五角がピッタリと思いきや、△５七銀が私の株を奪う筋悪攻め（笑）、かつ好手だった。ここ、５七で清算するのは３五に飛び出す手が残る。 しかし、私にも準備がある。△４六歩の突き出しに▲２五角が勝負手だ。

第８譜 ワンチャンス！	第７図(▲２五角まで）
第７図からの指し手 △７一金▲６六桂△４七歩成▲同　銀△４八歩▲同金左△同銀成▲同　金△５七歩成▲同　金△４八歩▲同　角△４九金（第８図） 攻防手▲２五角で難しいかと思いきや、冷静に△７一金と逃げられて手が無い。▲６六桂はせめて嫌味をつけようという意味。ただし、あまり利いていないので、ここでは自信が無かった。△４七歩成からは当然の猛攻。間に合ってはいけない△５七歩成も入り、敗勢を意識した。 ところが、△４八歩が悪手。ここは単に△４九金で明快に後手勝ちだ。 第８図は何かあると直感が囁いた・・・のに・・・

第９譜 あっけなく散る	第８図(△４九金まで）
第８図からの指し手 ▲３九銀△４八金（投了図） 昔からの癖というのは取れないものである。「わからなくなったら自陣」という意味不明な経験則のせいで、第８図から２手で転落という情けない結末になってしまった。 第８図からは▲５四桂△４八金▲６二銀で逆転だった。△４八金の局面は怖いようでも飛車金桂のいずれかを渡さなければ詰み筋が無い（他の駒でも大量に渡せば詰むが、現状あり得ない）。▲５四桂という攻めは、その桂を渡す攻めなので、秒読みの中パニックを起こしたのだが、▲６二銀以下６二でバラした局面は、▲７一銀以下詰みなのだった。苦戦を粘った末のワンチャンスだっただけに、流石に悔しかった。

総括	投了図(△４八金まで）
「中飛車は相振りに合わない」 そんな定説も、本当に検証してみなくては分からない事だ。中飛車だから出来る攻め筋を、今後も追究していきたい。 あぁ、それにしても▲３九銀は悔やまれる。元々悪い将棋なのに、大事を取ろうという魂胆が良くない（苦笑）仮にこれで勝っていたとしても、粘った末のチャンスはシッカリ掴むべきなのだ。これが私の至らない所。馬鹿は死ななきゃ・・・

いかがだったでしょうか？

前回 は斬られ役だった相手の方の勝局を今回は紹介しましたが、

やっぱり自分の敗（廃）局紹介は心が荒みます（苦笑）

「俺って強ぇ」と思っているくらいが、心の健康に良いですね。

いやホントに（笑）