本記事では、相振り飛車における向かい飛車のメリット・デメリットについて書いていきたい。
ただし、私個人の見解(偏見ともいう)も交えている事をご了承頂きたい。
向かい飛車のメリット
向かい飛車のメリットは、
「隙が無く、隙を突いている」
という事だと思っている。
どういう意味か、順に見ていこう。
隙が無い
相振り飛車では、
攻防に利かすために浮き飛車に構える事が多い。
この場合、一番バランスが良いのが向かい飛車なのだ。
角交換をした場合、
飛車を安全に浮けるのは8筋以外に無い。
他の位置は△8八角の打ち込みがある。
隙を突いている
向かい飛車が狙う8(2)筋という筋はどういう筋なのか、
確認して頂きたい。
先手がそれぞれの筋の歩を狙うと仮定した場合、
後手が一番数を足しにくい地点が8三(2三)である事を確認して頂きたい。
(後手の歩の配置は初期位置とする)
9三・・・3枚(無理やり受ければ4枚足せるが形がいびつ)
8三・・・2枚(無理やり受ければ3枚足せるが形がいびつ)
7三・・・4枚
6三・・・3枚
5三・・・3枚
であるなら、8筋を狙うのが合理的という事が出来る。
また、この事から矢倉の△7三銀の価値の高さも確認出来る。
向かい飛車のデメリット
向かい飛車のデメリットは、
「無駄手を指さなくてはいけない」
という事だと思っている。
▲向かい飛車 対 △三間飛車の基本的な図だが、
▲7七角がちょっともったいない手だ。
向かい飛車に振るためには必要な手なのだが、
この手自体は桂の捌きの邪魔なので価値は低い。
そして、▲7七角型から敵玉を攻める形はほぼ無い。
参考記事:
私の感覚で言えば、
「価値の高い▲8八飛を指すために、
価値の低い▲7七角を指さなくてはいけない戦法」
言い方を換えると
「後々の駒効率のために、
現在の駒効率を犠牲にする戦法」
それが相振り飛車における向かい飛車という作戦なのだ。
(自分の角を取りながら▲8八飛と出来れば最高なのになぁ:笑)
私が先手を持った場合は、
▲8八飛という形を最大限に生かさなくては▲7七角の借金がある
という認識で指している。
だからこそ、上にあげた参考記事のような基本の囲い崩しが重要なのだ。
向かい飛車の価値がそこまで高くないと思えば、
三間飛車などの作戦を指して無駄手を指さずに戦った方が良い、
というのは合理的な考え方かと思う。
実際▲7七角が不動のまま負ける事も多い。
(逆に言うと向かい飛車は角が命である。)
向かい飛車を活かす戦い方としては、
1手の無駄が気にならないような長期戦が挙げられる。
ジックリした棋風の方にオススメだ。
以上の考え方は、
「将棋を突きつめていくと、無駄な手は一つも無くなる」
という前提によるものだ。
もしかしたら前提が間違っているかもしれないが、
大筋で間違ってはいないだろう。
現状では(特にアマチュアでは)そこまで一手の価値を意識しなくても良いが、
将来的には恐らく一手の価値が一石二鳥でも足りない序盤戦術が望まれる時代が来るだろう。
それに先駆けて、今から当たり前の手に疑問を持ち、
更に上の考え方をする準備をしなくてはいけないと個人的には思っている。
以上偏見でした。この記事に変な影響を受けても責任は持ちません(笑)
※更に混乱させますが「相振り飛車に手の損得はあまり関係ない」という考え方も一般的です。