2007-10-04 06:14:03

クローズド・ノート

テーマ:映画

ぬらぬらと 心の力 わいてくる 



 この映画のレビューを書く前に、多くの方が取り沙汰されている初日公開(2007.09.29.)舞台挨拶騒動について。何処の映画館か知らぬが、公開初日を記念して出演者や監督が登場。生で見られる大特典。そしてインタビュー。これ、彼らにとって何度目だろうね。
 最近多い、プレミア試写会とか完成記念試写会挨拶とか。今回、問題になっている沢尻エリカの対応。ふて腐れて終始腕組みのまま、「本日はありがとうございました」とあっさり。インタビューでは印象に残ったシーンは「特にありません」、裏話で彼女が撮影現場にクッキー作って持っていった想いに対し「別に・・・」と。
 テレビ各局で話題沸騰だから何度も見た。もちろん、やばいな、とも思った。でも、もともと生で演じる演劇ではなかろうて演劇の舞台挨拶ならまだしも、映画で舞台もないのに何で舞台挨拶? 私自身は、そんなセールスプロモーション期待してない。
 かつて試写会で、映画の始まりや終わりに関係者登場経験してるけど、こっちは映画だけ観たいからすっ飛ばして早く映画を、と心の叫び。映画が観たいんよ。作品を鑑賞したいんよ。
 この「クローズド・ノート」、試写会情報やネット情報など、いたるところで前置き。言い方悪いけど、レビュー書く前から、あちこちでネタバレに近い、SPに食傷気味。そんな前情報仕入れてるから、作品の中での驚きも「そんなん、分かってたよ」と減なり。いや、実は、この映画、ほんとは分かっていたかどうかじゃなく、分かっていても・・・、なんだけど。これ、後で。
 かつて、フォークシンガーがテレビには絶対に出ないという時代があった。すべてのメディアが結託している現代、そんな頃のことを思い出し新鮮に感じた。また、映画俳優たちの銀幕以外での素行の悪さ、仮面を捨てたらおたらくな日常のスキャンダルだらけ、そんな時代もあった。今は、なんでも優等生でなければならない。当時、五十歩百歩なる人も、このご時世、舞台挨拶のひとコマ悪たれに対し、役者稼業を抹殺してやるべき殺意。また昨今の芸能人の振る舞いを頓着する、それがネタでのビジネスマンも多い。重鎮や先輩たちが何を言おうが、時代が違うというか、今の若者「それって、うぜえんだよ」「うっせえな、そんなん、いらねえんだよ」なる声聞く日常茶飯事。しかも、これ、女の子の会話。沢尻エリカも同じ世代、なんだよな。
 まあ、今回の出来事で、私と同様この映画に期待してた人たちが、がっかりげんなりで観る気なくした、観ても感動できない、そう思ってシアターに行かない人もいるかも。でも、そんなことにヘタこいても、「そんなの関係ねぇ」、で私は、ふらふらと観に行った一人であったとさ。


 はい、やっと、ここから、本作品のレビューに移りますね。前置き長すぎるよ、そう思われるかも知れませんが、実は、こんな一悶着があったからこそ、余計に感じたこと、あります。それは、作品の中で竹内結子演じる頑張り屋の真野伊吹先生と担任を受け持つ四年二組の生徒たちとの関係。特に登校拒否に陥った君代ちゃんとの顛末。ああ、何も学校の先生と生徒という関係だけの話じゃないんだよね、と。そして、最後には、人生の先輩から学んだ者どうしとして君代ちゃんと気持ちを共有する主演の沢尻エリカ演じる堀井香恵。先輩風吹かしたい人や先生面したい人にとっては、後輩たち、特に君代ちゃんみたいな子にどう接するべき、伊吹先生に教えられたんじゃないでしょうか。
 この静かなる映画、行定勲監督「世界の中心で、愛をさけぶ」で有名になりましたが、林海象や岩井俊二が監督する映画で助監督経験のある人なんですよね。私は、このとても静かで大人しい映画、ある程度の前情報も手伝ってか、ずっと予感に震えながら観ていました。原作は雫井脩介、もともとミステリー作家、大藪春彦賞を受賞した「犯人に告ぐ」も映画化、もうすぐ上映されるようですが。でも、このお話はミステリーでなく愛のお話。展開というか、あらすじは観る前からばればれ作品。でも、ミステリーの醍醐味を狙ってるんじゃない。
 映画の中の万年筆の書き味の件で、「ぬらぬら」、作家の川上弘美さんみたいですが、そんな感じ。作品そのものが「ぬらぬら」、それにどっぷり浸かってしまいました。静かで大人しいけど、岩に染み入る蝉の声。
 そして、いつか来る展開、香恵が引っ越したアパートがきっかけで出会ってしまったリュウ、伊吹先生がクローズドノートに切々と綴る隆、この二人が同一人物であること。香恵がリュウ=隆タカシを悟る瞬間、そしてその直後のアパートの中での起こったであろう出来事を回想するシーン、もう沢尻エリカの見応えたっぷり、「ぬらぬら」が「わなわな」になって胸いっぱいに満ちてきます。
 もちろんこの作品、伊吹先生と小学生との交流だけでも心が洗われます。トントンと胸を叩く「心の力」、みんなが家族のような「太陽の子」。でも、そんなエネルギーを1冊のノートを通して香恵も勇気を貰います。胸をトントン叩いて「心の力」を信じます。さらには、彼女が読むナレーションに私たちも一生懸命耳を傾けます。みんなに伝わる。私もいっしょに胸をトントン叩いています。なんて素晴らしいんでしょうか。
 静かで大人しい映画、香恵と伊吹先生が面と向かい合うシーンはありません。直接対決などありません。ありえません。奪い合いをする三角関係の格闘映画ではないのです。だからこそ、逆に心はより力を漲らせることになるのです。それは想いを募らせることと等しいと言ってもいいでしょう。静かだけど、しっかりした作品。そう、しっかりは、確り、と書くんですね。
 学生時代、万年筆を握り締めて原稿用紙に向かった経験のある私にとっては、もうひとつ、この映画に愛着を感じさせるものがあります。それは香恵が大学のサークルに所属するギターマンドリンクラブ。私も学生時代、ギタマンに所属していました。そして、モーツァルトの名曲「アイネクライネ・ナハトムジーク」は、私も合奏経験アリなんですね。それとロシア民謡「ともしび」のマンドリン・ソロ。心に染み入りますね。
 私は、この静かで大人しい映画、でも「ぬらぬら」が「わなわな」になる映画に、伊吹賞をあげたいと思います。

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