「ムニャムニャ、もうあさになったのかな?」
クマきちが目をさめたときには、どうくつの外は日がのぼってすこしずつ明るくなっています。アサガオじまのあさは、ことりのさえずりやせみのなきごえで一日がはじまります。
「あれれ、なんだかおしりがちょっとつめたいぞ」
すると、クマきちはおしりのところがすこしつめたくかんじたので、すぐにかけぶとんをめくりました。
「あっ、きょうもおねしょがいっぱい出ちゃった」
クマきちがかわやの木で火のおばけをおしっこでけしたのは、どうやらゆめの中のできごとだったようです。そのゆめをみたクマきちは、きょうもおふとんにみごとなおねしょをえがいていました。
「そういえば、あのゆめにはげんごろうくんもいたけど、どうなんだろう」
クマきちは、げんごろうがどんなゆめを見たのか気になっています。そのとき、となりでねていたげんごろうが目をさましました。
「げんごろうくん、おはよう。げんごろうくんはきょうどんなゆめを見たの?」
「でへへ、ぼくはクマきちといっしょにかわやの木へいったゆめを見たよ」
げんごろうはクマきちにきょう見たゆめについて、ちょっとてれながらこたえました。そして、げんごろうもかけぶとんをめくりました。
「きょうもぼくはクマきちよりもでっかいおねしょをベッチョリとえがいたぞ!」
げんごろうのおふとんには、げんきな男の子のシンボルであるげんきいっぱいのでっかいおねしょがえがかれていました。げんごろうも、かわやの木の前で火のおばけをげんきなおしっこでけしたゆめを見ておねしょをしちゃったようです。
げんごろうとクマきちのまわりには、おきたばかりのどうぶつたちがあつまりました。どうぶつたちは、げんごろうとクマきちがえがいたおねしょぶとんを見ています。
「げんごろうくんのおねしょは、いつもベッチョリとげんきいっぱいにえがくからすごいなあ!」
「クマきちもげんきなおねしょでおえかき、とてもじょうずだよ」
どうぶつたちもげんごろうとクマきちのおねしょをほめてくれます。げんごろうとクマきちは、てれながらもげんきいっぱいのおねしょを見てげんきなえがおを見せています。
みんながにぎやかになっているときに、どうくつの中にカッポまるがやってきました。
「みんな、もうおきたかな」
「カッポまるさま、おはようございます!」
カッポまるは、げんごろうたちがもうおきているかどうかたしかめにきたので、げんごろうたちはカッポまるにあさのあいさつをしました。
カッポまるは、げんごろうとクマきちがおねしょしたばかりのおふとんを見ました。それはベッチョリとえがかれたげんきな男の子らしいおねしょです。
「はっはっは、げんごろうのおねしょはいつもげんきな男の子らしいおねしょをえがいているなあ。クマきちもりっぱなおねしょをでっかいえがいたね」
「カッポまるさま、げんきいっぱいのでっかいおねしょをベッチョリとえがいたよ。すごいでしょ!」
カッポまるも、げんごろうとクマきちがみごとにえがいたおねしょをほめました。げんごろうも、カッポまるがほめてくれるので明るくこたえました。
げんごろうとクマきちは、どうくつを出るとすぐちかくにある2本の木のあいだにながい木のえだからつくったものほしざおをのせると、すぐにふたりのおねしょしたばかりのおふとんをほしました。ふたりのおねしょぶとんにえがかれたおねしょの大きさは、やっぱりげんごろうのほうが大きいですね。
そこへ、どうくつから出てきたカッポまるがげんごろうとクマきちのおねしょぶとんをほしているところへきました。
「げんきな子どもは、おふとんにでっかいおねしょをするのはあたりまえ。げんごろうもクマきちもでっかいおねしょをおふとんにベッチョリとえがいているから、びょうきにならないでまいにちげんきにあそぶことができるんだよ」
カッポまるがおねしょする子どもはいつもげんきであるとげんごろうとクマきちをほめてくれるので、ふたりともカッポまるのことが大すきになりました。
でっかいおねしょをえがいたおふとんをほしたげんごろうとクマきちはどうくつへもどろうとしました。そんなとき、げんごろうのおなかから、なにやらへんなおとがきこえてきました。
「ギュルギュルギュル、ゴロゴロゴロゴロ~」
そして、げんごろうはじぶんのおなかのおとがきこえると、おしりのほうもなんだかムズムズするようになってきました。
「なんだか、おなかとおしりがゴロゴロムズムズしてきたよ。きのうのばんごはんでさといもをいっぱいたべたから、きょうもげんきなのがいっぱい出るぞ」
「げんごろう、もしかしてうんちが出るのか。げんきなうんちがいっぱい出るのなら、わしといっしょにかわやの木へいくぞ」
どうやら、げんごろうはきのうのばんごはんでいもをいっぱいたべたので、うんちが出そうになったようです。それをきいたカッポまるは、げんごろうとクマきちといっしょにかわやの木へいきました。
かわやの木へきたときには、げんごろうはうんちが出るのをひっしにガマンしていました。すると、げんごろうのおしりからげんきなおとが出ました。
「プッ!! ププッ!! ププッ!!」
げんごろうは、でっかいおならをげんきいっぱいに三れんぱつしました。げんごろうのおならはでっかいので、おならのにおいもカッポまるやクマきちにもひろがりました。
「おっ、げんごろうのおならもでっかいおとでげんきいっぱいだね」
「もう、げんごろうくんったら、でっかいおならがくさいよ~」
「クマきち、でっかいおならがいっぱい出ちゃった、ごめん、ごめん」
げんごろうのでっかいおならは、カッポまるもクマきちもおどろくほどのでっかいおとです。でっかいおならは、げんごろうがさといもをいっぱいたべたために出てしまったようで、そのおならのにおいはクマきちのはなをつまむほどのにおいです。
でも、でっかいおならはげんごろうが元気な男の子であるシンボルであり、げんきなうんちがいっぱい出る前ぶれでもあります。
「ギュルギュルゴロゴロゴロ~」
でっかいおならをしたげんごろうは、ふたたびおなかのおとがきこえてきました。げんごろうは、ついにうんちがガマンできなくなったので、いそいでかわやの木におしりをむけるとすぐにしゃがみこみました。
「うんっ、うんっ、うんんっ、うんんっ、ううう~んんっっ」
げんごろうは、いきみごえを出しながらうんちを出すためにおなかに力を入れつづけました。すると、げんごろうはげんきいっぱいのでっかいうんちがいっぱい出ました。
「わーい、きのうのばんごはんでさといもをいっぱいたべたから、きょうのうんちはいつもよりもでっかくてげんきなのがたくさん出たぞ」
「げんごろうくん、きょうもげんきなうんちがいっぱい出たんだね。すごいね!」
げんごろうは、うんちを出しおえると、出たばかりのうんちを見ながらげんきいっぱいのえがおでいいました。げんごろうはいつもげんきなうんちをしますが、きょうはいもをいっぱいたべたので、いつもよりもでっかくてたくさんのうんちが出ました。それを見たクマきちも、げんごろうがげんきなうんちが出たことをよろこんでいます。
「はっはっは、げんごろうはさといもをばんごはんのときにいっぱいたべたから、こんなにでっかくてたくさんのうんちが出たんだな。いつもげんきなうんちがいっぱい出るのは、げんきいっぱいの男の子らしくてたのもしいぞ」
カッポまるは、げんきなうんちがたくさん出たげんごろうをほめてくれたので、げんごろうも明るいえがおを見せています。
「これだけたくさんのうんちがあれば、こえだめに入れてわしのはたけのひりょうとしてつかうことができるぞ」
カッポまるは、かわやの木の前にあったげんごろうの出たばかりのでっかくてたくさんのうんちをはたけの手前にあるこえだめに入れました。それがおわると、カッポまるはげんごろうのはらがけとおしりを見ています。
「あらあら、げんごろうのおしりはさっきのうんちでかなりよごれているなあ。はらがけもあさのおねしょでぬれているし、きちんとあらわないといけないね」
げんごろうがつけているはらがけはおねしょでぬれているし、おしりはうんちでかなりよごれているので、げんごろうとクマきちはカッポまるといっしょにみずうみの中に入りました。
げんごろうは、みずうみの水でうんちでよごれていたおしりをきれいにあらいました。おしりをあらいおえると、げんごろうはすぐにみずうみの中にもぐってすいえいをはじめました。げんごろうのすいえいは、カッポまるにおしえてもらったおかげで、じょうずにおよぐことができます。
げんごろうのはらがけも、みずうみでおよいでいるうちにきれいになりました。クマきちも、おねしょしちゃったところをみすうみの水であらっています。クマきちは、もうみずうみをこわがっていないので、みずうみの中にはいってもへいきです。
カッポまるは、げんごろうが小さいときにすいえいをおしえましたが、げんごろうがみずうみでおよいでいるのを見ると、カッポまるがおもっていたよりもはるかにじょうずにおよぐことができるげんごろうにすっかりかんしんしていました。
「げんごろう、およぐのがとてもじょうずだなあ。どうだ、わしとすいえいのきょうそうをしようか?」
「ぼくも、カッポまるといっしょにすいえいのきょうそうをするのがたのしみだよ」
カッポまるは、げんごろうにすいえいのきょうそうをしたいといってきました。げんごろうも、カッポまるとのすいえいきょうそうをたのしみにしています。
アサガオじまの入り口には、どうくつから出てきたどうぶつたちもあつまってきました。いよいよ、げんごろうとカッポまるのすいえいきょうそうのはじまりです。
すいえいきょうそうは、アサガオじまの入り口からスタートして、アサガオじまのまわりをおよいできょうそうするもので、先にもとの入り口にもどってきたほうのかちです。
「げんごろうくんもカッポまるさまもどちらもがんばって!」
クマきちやどうぶつたちは、げんごろうもカッポまるもおうえんしています。げんごろうとカッポまるは、みずうみの入り口からみずうみの中に入りました。
「カッポまるさま、きょうのすいえいきょうそうはぜったいにぼくがかつよ」
「はっはっは、すいえいのししょうであるわしにかてるかな?」
みずうみの中に入ったげんごろうとカッポまるは、それぞれじぶんがしょうぶにかつことをおたがいにいいました。
いよいよ、すいえいきょうそうのスタートとなりました。スタートのあいずはサルがおこないます。
「よーい、どん!」
げんごろうとカッポまるは、スタートのあいずとどうじにおよぎはじめました。さいしょは、カッポまるがげんごろうよりも前に出ておよいでいます。カッポまるは、げんごろうのすいえいのししょうでもあるので、げんごろうにまけるわけにはいかないのです。きのうのおすもうでげんごろうにまけてしまったカッポまるにとっては、すいえいではぜったいにかちたいところです。
「どうだ、いくらげんごろうでもわしのおよぎかたにはついてこれないぞ」
カッポまるは、すこしでもはやくおよぐことでげんごろうを大きく引きはなしたいところですが、げんごろうもまけていません。げんごろうは、カッポまるにおいつこうとひっしについていきました。そして、げんごろうは前に出ておよいでいたカッポまるにおいつきました。
「ほくは、ぜったいにカッポまるさまにはまけないようにがんばるんだ」
そのあとは、げんごろうとカッポまるがおたがいに前に出ようとしますが、そのたびにおいつくので、なかなか引きはなすことができません。そうするうちに、ゴールとなるアサガオじまの入り口が見えてきました。
アサガオじまの入り口が見えると、まずカッポまるがげんごろうの前に出て引きはなしにかかりました。しかし、げんごろうもすぐにカッポまるにおいつくと、げんごろうとカッポまるはおたがいにゆずらないままにゴールが目の前となりました。
そのとき、げんごろうはさいごの力をふりしぼりながらおよぐと、げんごろうはカッポまるをあたま一つ前に出ました。そして、げんごろうはそのままアサガオじまの入り口のゴールにつきました。
「げんごろうは、およぐことでもわしよりもはやくおよげるようになったなあ。げんごろうは力もちなのはもちろんだけど、じぶんの力でなんでもすることができる男の子だからたのもしくなったぞ」
「でへへ、はやくおよげるようになったのはカッポまるさまのおかげだよ。カッポまるさま、小さいときに大きなみずうみですいえいをおしえてくれてほんとうにありがとう」
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