春の陽射しが差し込むように約48年に及ぶ拘束から袴田さんが釈放された。静岡の一家4人殺しの犯人として死刑確定を受けていた袴田さんの「再審開始決定」が下された。◆お姉さんや弁護士から再審決定の知らせを告げられても「ウソだ。もう帰ってくれ。」と言ったそうだ。半世紀にわたる拘置、死刑確定からの不安と恐怖などから拘禁反応も見られるという。無理からぬことだろう。◆いったい何が真実なのか。裁判長は事件に係る証拠品などの「捏造の疑い」とこれまでの「警察・検察・裁判所の不正義」を厳しく指摘した。しかし検察は納得できないと「即時抗告」した。再審へと向かう道にまた壁ができた。◆DNA鑑定や一部証拠品の捏造などから袴田さんの無実の可能性は高いと言われている。ホテルのベッドで吸い込まれるように眠った袴田さんの胸中はいかばかりだっただろう。取り調べの全面可視化と証拠品の全面開示などが必要だ。◆一方、「みんなの党」の渡辺代表がDHC会長から8憶円のお金を借りていた問題。渡辺代表の会見は歯切れが悪い。「選挙資金ではなく個人的な借入だ」というが、釈然としない。「酉の市」の熊手を買ったと例に挙げたのには驚きだ。◆結局、代表を辞任したが、真相は藪の中。会長とのメールのやりとりも報道されているが、ここでも何が真実か。渡辺代表の説明責任が更に問われるところだ。(2014.4.10)

















 連日熱戦が繰り広げられているソチオリンピック。日本選手の活躍が見ている者に様々な感動を与えてくれる。メダルを取れた人もそうでない人も、大舞台での1回勝負にかける姿が輝いていて、そこに至るまでの道のりや、アスリートの思いなどが伝えられると、たまらない感動が伝わってくる。多くの人が自分に重ねてみて、すがすがしくなったり、力をもらったりしているのではないでしょうか。◆スキージャンプの高梨沙羅さんや、男子チームの葛西さんをはじめとするメンバーもその人となりや、思いが伝わり胸が熱くなった。メダルは獲れなかったけれど、精一杯の頑張りが伝わってきた女子モーグルの上村愛子さん。男子フィギアの高橋大輔さんや町田樹さんも、その思いが伝わってくるものだった。◆4年に一度の大舞台に体も心も調子を整えて、かつ技術も磨き上げて臨むのは大変なことだと思う。41歳の葛西選手がオリンピック後も、新たな目標に向けてチャレンジすると聞いて感心した。まさに「レジェンド」。その前向きで、誠実な姿に学びたいと思う。◆それぞれのアスリートが形は違うけれど、それぞれに挑む姿がある。そこには失敗もあれば成功もあるが、そんな選手の姿に、しばらく目が離せそうにない。ガンバレ、日本。(2014.2.20)

















 130対82。数の力にものいわせて強行可決した「特定秘密保護法案」。「何が秘密かも秘密」、国民の知る権利や自由を奪いかねない内容は問題だ。審議すればするほど問題が出て、答弁も変わる。最後は審議を打ち切り、動議の内容も委員長の声も聞こえない強引な運営。◆秘密は際限なく広がる可能性があり、一般市民の逮捕・拘束、処罰もありうる。第三者機関のチェックも「情報保全観察室」「保全監視委員会」など設置するというが、内閣の中にあって機能が働くのかなど疑問が多く残されている。◆今の法の下で秘密は保護できるというのに、なぜ改めて、しかも急いで成立をはかるのか。多くの国民が「おかしいぞ」と「反対」の声を短期間で上げた。◆「日本版NSC」や「憲法9条の改定」などと時を一にし、透けて見える動きを指摘する声もある。国民を縛る問題の法には断固反対だ。◆作家の澤地久枝さんの言葉を紹介しよう。『一国の政治のありようは一夜にして生まれるものではない。いくつもの決定や出来事が数多く重なり、つまりは歴史となって、そこから生まれてくる。主権者である私たちがまったく無縁の「政治」選択などあってはならない。「政治」を生かすも殺すも、私たち次第なのだ。』撤廃に向けての声を大きくしよう。(2012.12.12)