7月下旬に、さいたま市の電車の中で、全盲の男性が連れていた盲導犬オスカーが何者かにとがったもので刺されケガをした。また9月上旬には埼玉・川越駅構内で県立聾学校に通う女子高生が何者かに突然後ろから足を蹴られケガをする事件があった。女子高生の白杖につまづき転倒した「腹いせ」かといわれている。◆いずれも全盲の障がい者の心と体を傷つける行為として許されないことだ。盲導犬オスカーと男性も、女子高生も突然の暴力に痛みばかりか不安と恐怖はどれほどだったろう。◆視覚障がい者にとって盲導犬は目の代わりであり、生活を支えるパートナーでもある。また白い杖も目の代わりであり、点字ブロックは道を歩くための道標だ。◆盲導犬は一年近い訓練の後、障がい者と約一カ月の合宿をしてパートナーとなる。主人に危険が及んだとき以外は吠えないそうだ。白杖を自らの目とし、歩くこともまた大変な苦労があることはいうまでもない。◆今回起こった事件は、氷山の一角。他にも同様の事例があるという。これらの背景には障がいや障がい者に対する無知・無理解がまだまだあるとともに、思いやりや人権意識の欠如もあるだろう。障がいのある人もない人も相互に理解を深め、思いをはせる共生の社会づくりが必要だ。(2014.9.25)