7月下旬に、さいたま市の電車の中で、全盲の男性が連れていた盲導犬オスカーが何者かにとがったもので刺されケガをした。また9月上旬には埼玉・川越駅構内で県立聾学校に通う女子高生が何者かに突然後ろから足を蹴られケガをする事件があった。女子高生の白杖につまづき転倒した「腹いせ」かといわれている。◆いずれも全盲の障がい者の心と体を傷つける行為として許されないことだ。盲導犬オスカーと男性も、女子高生も突然の暴力に痛みばかりか不安と恐怖はどれほどだったろう。◆視覚障がい者にとって盲導犬は目の代わりであり、生活を支えるパートナーでもある。また白い杖も目の代わりであり、点字ブロックは道を歩くための道標だ。◆盲導犬は一年近い訓練の後、障がい者と約一カ月の合宿をしてパートナーとなる。主人に危険が及んだとき以外は吠えないそうだ。白杖を自らの目とし、歩くこともまた大変な苦労があることはいうまでもない。◆今回起こった事件は、氷山の一角。他にも同様の事例があるという。これらの背景には障がいや障がい者に対する無知・無理解がまだまだあるとともに、思いやりや人権意識の欠如もあるだろう。障がいのある人もない人も相互に理解を深め、思いをはせる共生の社会づくりが必要だ。(2014.9.25)














 果たして「抑止力」となるのか。「必要用最小限」と言いつつ「歯止め」になっているのか。多くの国民が注目する中、「集団的自衛権の行使容認」の閣議決定が7月1日に行われた。◆一か月半余り前、安倍首相が国民に説明した内容は、公明党との与党協議の中で揺れ動いた。国連の集団安全保障への参加はないとしていたが、それも否定はされていない。『・・国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合・・』などと、新3要件などが示され、歴代内閣の取ってきた「集団的自衛権の行使は、今の憲法上許されない」とする立場も「許される」と180度変えてしまった。◆安倍首相がいくら「現行の憲法解釈の基本的考え方は何ら変わることはない」と強言しても、「変わっている」としか説明はつかない。◆国のあり方を大きく変える内容を一片の閣議決定で行うこと自体問題であるし、「解釈改憲」で時の政権のとらえ方で憲法9が変えられること自体、立憲主義の乱暴な破壊だと言わなければならない。◆「歯止め」になるものはない。「武力行使の抑止力」は、「逆に武力による犠牲を拡大」するものになりかねない。国民の中でも、国会でも、もっと議論が必要だ。この国で9条を壊してはならない。(2014.7.2)
















 国のあり方が大きく変わろうとしている。「集団的自衛権の行使」の問題が憲法の改定手続を経ずに、「解釈改憲」で、時の政府・政権の考え方で変えられようとしている。「立憲主義」を真っ向から蹂躪し根こそぎ突き崩すような行為だ。◆安倍首相は「日本人を守る。日本国を守るため。」と2つのパネルを示して説明した。しかしどのシュミレーション・事例も説明したすぐそばから、「非現実的でありえないこと」だと元内閣官房副長官補も言っている。◆歴代の自民党政権も今回のように「解釈改憲」という形で「憲法9条」を変え、海外で武力行使を可能にすることは行わなかったし、今の憲法のもとではできないことだとしてきた。この問題について自民党幹事長の野中広務さんや古賀誠さん、加藤紘一さんなども物申している。◆「国を守る。日本人を守る。」という感情は多くの人が自然にもつ感情だろう。しかしどんな理屈をつけても、いったん武力行使に踏み込めば、事はいくところまでいかないと終わらない。「限定的とか必要最小限」は文言の上になりかねない。◆国と国との関係を平和の外交的な戦略をもち、国際法に基づいて外交努力で解決する方法こそもつべきだ。◆国会議論が行われた。国民のみなさんの中でもおおいに議論が必要だ。(2014.5.29)