TESカウンター(TESメーターとも言います)とはなんぞや?と言うと、海外のフィギュア映像の左上についているこれ、です。
YouTubeなどで海外のフィギュア動画を見ると大体ついていると思います。




これは、その選手の技術点(テクニカルエレメンツスコア=TES)の推移を表したものなんですが、私は長いこと、上段は予定されているエレメンツの基礎点、下段は実行された点数(GOE込み)の点数だと思っていました。
(そう書いているサイトもいくつかあったんですよ)

選手の点数は、TESだけじゃなくPCS(プログラムコンポーネンツスコア/演技構成点)の合計で構成されるので、TESだけ表示したってあんまり意味ないよなぁと思っていたので、私は特に気にしてもいなかったのです。

でも、これが違ったんですよね?
この数字は、上段が「今まで演技した選手の最高技術点(GOE込み)」で、下段が「今実行中の選手の技術点」だったのです。

ネットでは
「日本のテレビでもこれを採用して欲しい」
派と
「PCSが表示されていない以上、意味のない数字」
派のふたつの意見がありましたが、私は「どっちでもいい派」です(笑)


このカウンターが意味をなすのは、例えばファイナルのショートのように、最初の選手(ばい、ゆづ)がとんでもない点数を叩き出した後、他の選手がそれを抜けるかどうかハラハラしながら見るとか、最後まで優勝争いが解らない時、最後の選手が最高のTESを出せるか、とか、そんな時くらいだけです。

しかも、PCSが加えられていないので
「やった~!抜いたぞ~!勝った~!」
と思ったあと、キスクラの映像を見て
「あれ?なんで2位?」
ってな感じで、PCSでガッツリ差をつけられて負けちゃったりすることもあるので、まあ、確かにあまり意味はないと言えばないと思います。

ファイナルのショートでは、一番滑走だった結弦くんは51.11点を叩き出しました。

通常、男子のショートは、どんなに頑張っても45点がせいぜいです。
エレメンツの数が少ないので仕方ないんです。

そんなショートで50点出されたら、その後の選手は全員、ほぼ負けが決定です。



ちなみにこれはGPFショートの結弦くんのカウンター。
第一滑走なので、比較するスコアがありません。

フリーも同じ。
選手は皆さん、なんとかして90点を出そうと頑張っているのに、100点出されたらほとんどの選手はそれで負け決定です。

トップクラスの選手になると、持ってる技のレベルは大体同じです。
なので、全員ノーミスだったら技術点にそれ程の差はありません。(4回転を2種類持っていればちょっとだけ上になります)

差がつくのは所謂「GOE」ですよね。

転倒もパンクもレベルの取りこぼしもなく、自分にできる精一杯をしても負けるとしたら、それは「GOE」と「PCS」の差です。

「ミスをしない」を目標にするのではなく「ミスなく、そして美しく」滑って初めて加点がつくのです。
なので、ショートで50点超え、フリーで100点超えをする選手は、普通の選手では倒せないことがわかります。

GPFで、結弦くんのフリーが終わった瞬間、TESカウンターに表示されていた点数は105.89点でした。
(その後、ルッツの回転不足等が引かれていき、最終的には103.3点になりましたが…)

ハビの点数が87.5点だったので、技術点だけで16点くらいの差になります。

面白いもので、加点がいっぱいつく選手はPCSも高くなります。
加点がつくということは、その選手の演技は美しいということで、美しく滑れるということは技術も高いということなので、ある意味当然と言えば当然です。

つまり、結弦くんのようにPCSの高い選手に技術点で差をつけられたら、もう絶対に勝てないということになるのです。


ある程度プロトコルの基本を理解できれば、あのカウンターはとても面白いのですが、解らなくても「とりあえず、上の数字を抜けば、現時点での1位ってことよね?」くらいで見ておいても楽しめるかと思います。


最近の演技で面白かったのは、中国杯の時ですね。

結弦くんが転んでも転んでも立ち上がるたび、カウンターが上がっていくんです。
そして遂に、演技終了時点で上の数字を抜いたのです。

日本の映像には入っていないので、後からネットの映像を見て知ったのですが、海外の方はカウンターを見ながら手に汗を握っていたかもしれませんね。


とは言え、エッジエラーや回転不足等、後からどんどん点数は引かれていくこともあるし、転倒分も、PCSも入っていない数字なので、この数字で勝負がわかるわけじゃありません。

中盤あたりに出て来る選手が次々に数字を塗り替えていくのが普通なので、ラスト近くにならないとあまりハラハラもしません(笑)

でも、私にとって一番の問題は、深夜にネットで海外の映像を見るような根性がないということです!(笑)


というわけで、これから先、オンタイムでネット観戦したいと考えている方のみ、カウンターをお楽しみ下さい!(笑)


以上