若田部昌澄さんの記事を紹介します。

(*1) Why Abenomics Must Go On ( Masazumi Wakatabe, Forbes.com, 2017.08.07 )

https://www.forbes.com/sites/mwakatabe/2017/08/07/why-abenomics-must-go-on/


若田部さんは、第3次安倍第3次改造内閣(閣僚名簿)発足の総理大臣記者会見(冒頭発言 *2)で、安倍晋三総理が以下の言葉を述べ、頭を約8秒間下げた話題を取り上げられます。


(安倍晋三総理)"先の国会では、森友学園への国有地売却の件、加計学園による獣医学部の新設、防衛省の日報問題など、様々な問題が指摘され、国民の皆様から大きな不信を招く結果となりました。

 そのことについて、冒頭、まず改めて深く反省し、国民の皆様におわび申し上げたいと思います。"(*2)

アベノミクスは、完全ではないとはいえ、6月にIMFのNo.2、デビッド・リプトンが言ったよう(*3)に成功した。その成功を受けて、アベノミクスを続けなければならない、と若田部さんは述べられます。


安倍総理の政策は、株価を押し上げたため、富裕層だけに有利な「トリクルダウン」として非難されりことがありますが、失業者と貧困層の条件が改善されたという証拠がある、として失業率の低下と自殺者数の減少を挙げられます。


さらに有効求人倍率の上昇、中でも、正規雇用の有効求人倍率が1以上になったことを挙げられます。


民主党政権下で失業率がすでに下がっていたという主張には、民主党政権下では就業者数、就業率が上昇しなかったことを示して反論されます。 第2次安倍政権以降、就業者数・率とも増加傾向になった、と。


アベノミクスが、日本の貧困率を減少させました点も挙げられます。

最近の厚生労働省の統計によると、貧困率は2012年の16.3%から2015年は13.9%へ減少した、事実を示されます。


現在の経済状況には、満足出来ない点(完全雇用に至っていない、デフレマインドが払拭されていない)を挙げられますが、それに対して必要なことは、アベノミクスを止めることではなく、更にアクセルを踏むことだと指摘されます。


また、政府は日銀にデフレ脱却へのコミットメントを裏付けることができ、それ以外に、財政政策活用できることを指摘されます。

財政政策によって、総需要を喚起し、成長率を促し、再分配を改善することができる、と。これらをもっとやれ、ということでしょう。


特に教育と研究開発、貧困対策への財政支出の拡大を推されます。日銀がYCCで国債金利をゼロ近傍に抑えており、国債増発できると。



要約すると、安倍総理は、アベノミクスを継続し改善するための明確かつ強力なコミットメントを示すべきである、と結ばれます。



直近の日本経済新聞のアンケート(*5)では51%が「経済最優先に取り組んでいるとは思えない」と答えたそうです。



質問者2の見解を少々。


安倍晋三氏は、総理になる前に消費増税法案に賛成票を投じ、消費税率8%への引き上げを決断しました。

その後の消費の落ち込みは長引いており、決して充分な経済政策を手当てできている、とは言えません。


復興増税のうち法人税については止めましたが、復興税の所得税と住民税は課したままです。

GDP600兆円という目標を掲げていたはずですが、最近の名目GDP成長率は低調です。


自民党総裁の立場で、憲法改正に云々されていましたが、「経済最優先」や所得減税というハードルすら越えられない(もしくは、できるが越える気がない?!)のに…


8秒間頭を下げられても1円も得をしないので、経済最優先が口だけでないことを政策で示して欲しいものです。


それが出来ないなら、後継に席を譲られてはいかがでしょうか?

(譲れそうな人がいないので、頑張ってほしいのですが…




(*3)Abenomics a ‘success’, declares IMF

(*4)総務省 統計局

(*5)経済優先「取り組んでない」51% 安倍政権に不信なお:(2017.08.05, 日本経済新聞)