尊敬する経済学者、若田部昌澄さんの記事です。

Why Ben Bernanke Is Wrong About Bank Of Japan's September Decision
(2016.10.26,forbes, Masazumi Wakatabe)

日銀はデフレとの戦いが充分ではない、という評価のようです。

黒田東彦日銀総裁が、2016年10月21日の国会において、国債購入量を減らす可能性を認め、総裁自身の任期中に物価安定目標2%の達成はできないかもしれない、という発言をしたことを挙げられます。

また、日銀審議委員の他のメンバー(原田泰氏、政井貴子氏)も追加緩和が必要な状況と考えていない発言をされているとのこと。

これらを考え合わせると、次回の金融政策決定会合は
「現状維持決定会合」
となると予想されます。

追加緩和が必要だと思うのですが 💦


10月27日のロイターの報道(*1)によりますと、大蔵省出身の男性が

"外貨の買い入れは政府の代理人として行うと日銀法で定められているとし、外債購入は「現行法ではできないと理解している」との認識をあらためて示した"
そうです。

(*1)《長期金利操作で国債売却は不要、将来的な減額あり得る=日銀総裁》
(2016.10.27,ロイター)

この男性は、実は中原伸之氏が日銀審議委員時代に外債購入を提案された2001年当時に、外債購入に反対した財務省の財務官と同じお名前です。


中原氏は次のように述べています(*2)。

"為替安定目的ではなく、あくまで円貨の円滑な供給としての手段を拡充させるためのものです。このため、当面は毎月定時定額の外債の買切りで、国債買切りオペの補助手段としての位置付けの購入を考えております。一方、為替介入は、為替相場の乱高下を抑えたり、為替レートの一定水準を意識して弾力的に行われますので、ベースマネーの拡大を目的とした毎月定時定額の外債の購入との相違は明確です。つまり、提案している外債購入は、日銀法第40条第2項の為替安定目的に抵触することはなく、日銀法第33条に掲げられる通常業務内の範囲であり、法律的に全く問題ないと考えていますデフレからの脱却が至上命題であり、国益にかなう今日、当然のことながら、日銀の金融政策手段について100%の自由度が認められるべきであると思います。なお、日本銀行には、自己保有の外貨資産の運用実績がありますので、外債購入についてはノウハウも十分あり、実務的にもフィージブルだと理解しています"

(*2)《デフレ下の日本経済と金融政策》

(2001.12.11,日本銀行,中原伸之)



若田部さんは、バーナンキが日銀の金融政策決定会合当日に公開されたブログを取り上げられ、
日銀の新たな金融政策にたいして同情的すぎる、と評価されています。

コミットメントの強化が不充分であることや、財政金融当局の思惑、金融緩和が国債増発頼みになる点などを理由に挙げ、辛めの採点です。

そして、国債増発を期待される側の安倍総理は、政権や自民党(、財務省、メディアや学者、一般人)など多くの緊縮派と戦わなければならない、と。

第三次補正予算の噂もありますが、アベノミクスを成功させる気があるのか?

試されていますね