アベノミクスの失敗などと良く目にするようになりました。消費増税後は、消費は落ち込みからの回復も弱く、停滞してます。
ただ、これはアベノミクスの失敗なのでしょうか?消費増税による影響が大きいのに、アベノミクスが失敗というのは、消費増税がアベノミクスに含まれている、という前提があるように感じます。
消費増税は本当にアベノミクスに含まれているのか考えてみます。
私の考えは次の通りです。
第二次安倍政権下以降で実施された経済政策 = アベノミクス + 消費増税 + 消費再増税延期 + その他
アベノミクスと消費増税は別物です。
経済安定化と成長率引き上げを目指している政策(アベノミクス)の目的と効果は、増税のそれとは分けて考えるべきかと。
当然、第二次安倍政権以降の経済政策であれば、合わせて評価すべきですが。
アベノミクスについては内閣府に資料があります。
第一の矢:大胆な金融政策
企業・家計に定着したデフレマインドを払拭
日本銀行は、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現
第二の矢:機動的な財政政策
デフレ脱却をよりスムーズに実現するため、有効需要を創出
持続的成長に貢献する分野に重点を置き、成長戦略へ橋渡し
消費増税が財政政策に含まれるからといって、第二の矢に含まれると考えるのは、増税で有効需要が増えて、デフレ脱却をよりスムーズに実現するとお考えなのでしょうか?
増税で財政再建は「第四の矢」とか、増税は毒矢とか言われてましたね。
お食事中の方はご遠慮ください。
黒味噌(第一の矢)と赤味噌(第二の矢)を美味しく頂いていた。ところが、それにクソ(消費増税)が混ざってしまい、臭くて食べることができない。
「クソミソは臭い!食べれない!味噌が足りない!」
味噌は悪くない(笑)
味噌とクソの比率を1万 : 1 位にしたら気づかないかもしれませんが
アベノミクスと消費増税は「混ぜるな危険」だと思います。
識者のコメントも引用しておきます。
【SYNODOS】消費税増税を延期しなければ、この国は瓦解していた/『日本経済はなぜ浮上しないのか』著者・片岡剛士氏インタビュー(2014.12.06)
片岡さん "いまの経済状況は良い流れと悪い流れがごちゃ混ぜになっています。アベノミクスを経済政策として支持していた人の多くは増税に反対していて、とにかく安倍首相の政策だからという理由で金融緩和や財政出動に反対していた人は増税に賛成している、という構図があります。これは奇妙な好対照ですが、アベノミクスという政策パッケージと消費税増税にはまったく関係がありません。
消費税増税が必要だという認識が強まったのは、民主党政権時代に始まった「社会保障と税の一体改革」の議論からです(注)。
(注)社会保障と税の一体改革:2010年11月9日に行われた「社会保障改革に関する有識者検討会」以降、政府・与党社会保障改革本部による検討や会合が継続的に行われ、2012年8月に関連8法案が成立している。
社会保障の維持・充実を図るためには消費税を5%から10%に上げる必要があるという議論は、民主党政権下で強固なものにされていきました。この時期、安倍さんは自民党の総裁ですらなく、政権交代の空気もなかったわけです。谷垣総裁から安倍総裁に代わったことで急転直下し安倍政権が誕生して、そこでアベノミクスという経済政策の枠組みができたわけなので、成立過程がまったく別のものなんです。
2013年からの安倍政権の経済政策がなんとか機能した状況と、前政権からの遺産を引き継ぐかたちで進行してしまった一体改革の流れが混ざって、未整理に議論されてしまっています。
GDP速報値のニュースを受けて、これまであまり発言していなかった人たちまで「金融緩和のせいで円安になり、物価も上がって庶民が苦しんでいる」「アベノミクスは崩壊した」と言い始めているわけですが、長期の円高であれほど苦しい思いをしてきたことをもう忘れてしまったのですか? と言いたくなりますね"
成立過程が全く別物、ですね。
前田さんが分かりやすく図解して下さいました。
消費再増税延期も右側に入りますね。