小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」読みました 静謐なる物語。。。 | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.

猫を抱いて象と泳ぐ(amazon)


☆☆☆☆
2009年1月 359p 文藝春秋、「文學界」2008年7月号~9月号


小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」読みました。


リトル・アリューヒンは、生まれたとき、口が閉じたままでした。それをはがし、それでやっと泣くことができました。そのとき、彼の唇に、脛(すね)の部分の皮膚を縫いつけました。だから、唇から産毛が生えていました。


リトル・アリューヒンの父と母は離婚し、母親は病気でなくなりました。だから、弟と祖父母で暮らしています。


リトル・アリューヒンの友達は、デパートの屋上で大きくなりすぎてそのまま死ぬまで過ごした象のインディラです。インディラはかなり前に死んでいませんが、リトル・アリューヒンは、デパートの屋上に残るインディラのはめた足輪から空想をするのでした。


もうひとりの友達はミイラ。彼女もリトル・アリューヒンの空想上の友達です。家と家の隙間にはさがり、出られなくなったといわれている子供のことです。


そんなリトル・アリューヒンは、あるとき動かなくなったバスの中に住む、巨体のマスターと運命的な出会いをします。リトル・アリューヒンはマスターにチェスを教えてもらうのでした。。。



ということで、小川洋子「猫を抱いて象と泳ぐ」読みました。2010年本屋大賞第4位 の本作品です。数学者(博士が愛した数式 )、コビトカバ(ミーナの行進 )、の次はチェスです。リトル・アリューヒンという架空の?チェス名人の一生を描いた本作品です。全体を通して、どことなく死のにおいが感じられるもの悲しさにあふれているマイナー感のある作品でもありました。


彼女の作品は、たくさん読んではいませんが、文章に文学の香りがしますね。「今 読書している」という気にさせられます。でも、決して読みにくいというわけではありません。先が気になってどんどん読めてしまいます。軽い本に読み飽きた方、文学の香りを味わいたい方にお薦めします。5250



追記
小川洋子さんの メロディアスライブラリー (TOKYO FM系列 毎週日曜午前10時~10時半)は、楽しみな番組です。毎週1冊ずつ幅広い分野の本を紹介してくれます。何気なく聞いたラジオで、この番組が放送していると、得した気分になります。是非、聞いてみてください。



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