2000年7月 267p 集英社 小説すばる1998年5月号~1999年11月号まで掲載された作品を大幅加筆訂正
☆☆☆☆
恩田陸「ネバーランド」読みました。
とある年末の7日間、進学校のオンボロ寮、松籟館(しょうらいかん)に残った美国(よしくに)、寛司、光弘と、自宅生だが寮に入り浸る統(おさむ)の4人が繰り広げる、密室劇です。この登場人数の少なさ、恩田陸、お得意のパターンといえるのではないでしょうか?
年末の、他の寮生が帰った寮は、ある意味不気味です。そんななか、ここに出てくる男子高校生4人は、そんななか個性をぶつけ合い、本音で接する内に、それぞれの知られざる過去が浮き彫りになります。
この辺の筆の運びは、さすが恩田陸です。内容がドロッとしているところがあるのに、読み終えた後は爽やかな気分です。自分も寮生として年末に一緒に過ごした気分を味わえます。
登場人物の4人の中の誰がいちばんのお気に入りかで、盛り上がれる作品でもあります。ちなみに、わたしは統がお気に入りかな。
以下、それぞれの章の覚え書きです
第1日目 車窓の海
深夜に統が懺悔をはじめます。その内容は母親の死因についてでした。その中には一つだけ嘘が混じっていると言うことですが。。。
第2日目 冬の幽霊
心臓発作で死んだ岩堀の幽霊を目撃する美国・・・
第3日目 赤い爪痕
美国はクラスでも最ももてる、紘子を一方的に振りました。それは、美国の過去の出来事がトラウマとして現れたせい。。。
第4日目 遠い季節
寛司の両親は、現在離婚調停中なのですが、そんな二人が、突然寛司を訪ねてくるのでした。。。
第5日目 歪んだ扉
今明かされる、光弘の過去。一番壮絶でした。。。
第6日目 愛の能力
突然ですが、大晦日に、統は研究者の父とアメリカに行くことが決まりました。。。
第7日目 架空の国、 エピローグ 遥かな声
光弘の前に突然、弁護士が現れ、統は旅立ち、物語は余韻を残し終わるのでした。
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