伊坂幸太郎「終末のフール」読みました | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.

終末のフール/伊坂 幸太郎

2006年3月 集英社 301p

☆☆☆+


伊坂幸太郎「終末のフール」読みました。


隕石が衝突して人類が滅ぶとされてから5年過ぎ、隕石の衝突まであと3年の世界の、仙台のマンションの住民たちの人間模様を描いた連作短編です。


登場人物が前の作品に出てきたり、あとの作品に出てきたり、短編集といえども、それぞれが綿密に絡まっています。でも、それぞれ独立した物語としても楽しめます。絶望的になりがちな設定でありながら、どこか希望があるという作品です。これって、たとえば病気で余命何年と言われた状況と似ているような気もします。。。


「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本 2007年本屋大賞」 4位の作品でもあります。


以下にそれぞれの短編の覚え書きです(6158)


「終末のフール」小説すばる2004年2月号
何かにつけて「馬鹿」を連発する佐伯の息子は、自殺しています。それらがきっかけとなり、娘とは音信不通状態。でも、そんな娘が会いに来ると言います。いったいなぜ???佐伯が妻や家族たちに言う口癖「馬鹿」は、身につまされます。やめた方がいい言葉ですね。。。


「太陽のシール」小説すばる2004年5月号
富士夫と美咲との間には子どもがいませんでした。欲しくてもなかなかできなかったというのが真相です。でも、人類があと3年で滅ぶという今頃になって妊娠したのでした。富士夫たちはいったいどのような決断をするのか???


「籠城のビール」小説すばる2004年8月号
俺と弟の辰二は、10年前の復讐のために、マンションに住む元アナウンサーの杉田の部屋へ乗り込みます。杉田への恨みを晴らすためです。というのも、俺たちの妹は、10年前の籠城事件のあと、マスコミに追い回れて自殺してしまいます。その恨みをはらすため、杉田の」家を襲ったというわけですが、杉田には杉田の事情がありました。。。


「冬眠のガール」小説すばる2004年11月号
美智の両親は、隕石が墜落すると言われてから自殺しました。残された美智は、読書家だった父の本をすべて読むという目標を立てて、やっと読み終えました。次の彼女の目標は「恋人を作ること」???


「鋼鉄のウール」小説すばる2005年2月号
5年前に通っていた、キックボクシングのジムを久しぶりに訪れたぼく。ビックリしたことに、苗場さんとトレーナーは、隕石のことなんか関係ないという風に、一生懸命練習を続けていたのでした。。。


「天体のヨール」小説すばる2005年5月号
矢部は自殺を図ろうするのですが、なぜかそのとき、学生時代の友人で天文オタクの二ノ宮のことを思い出します。矢部は二ノ宮に十何年ぶりに会いに行くのでした。二ノ宮の家で、彼はまだ星の観測を続けていたのでした。。


「演劇のオール」小説すばる2005年8月号
わたしは演劇を志しながら、その夢に破れて仙台に帰ってきました。でも、ここで隕石騒ぎのあと、なぜかわたしは、家族のいない人たち相手に、孫、姉、お母さん、恋人を演じて、それぞれの人たちとつきあっているのでした。。。


「深海のポール」小説すばる2005年11月号
渡辺はこの期に及んでも、ビデオ店を経営しています。幸い家族たちは無事で、残り少ない時間を有意義に過ごしています。あるとき、渡辺は滞納者リストを作成し、その中の一人に会いに行こうと思うのでした。。。


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終末のフール