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走ることについて語るときに僕の語ること
☆☆☆☆+
241p 2007年10月 文藝春秋、書き下ろし(一部を除く)
村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」読みました。
この作品は、村上春樹が、自分の趣味の走ることについて書いたエッセイです。2005年から2006年にかけて書かれており、昨今のマラソンブーム便乗というわけではありません。
なぜ走るか、その行為は小説を書き続けるのと似ていると説きます。大切なのは、才能、集中力、そして持久力。才能は致し方ないけれど、集中力と持久力は練習によって補うことができると彼は言います。そして、毎朝数時間、必ず集中的に机に座って小説を書き、また毎日一定量の距離を走っています。そんな生活を彼は20数年間続けているのです。彼は24年間連続してフルマラソンをこなしているというから、本気です。
息の長い優れた作り手は皆、同じような規則的なリズムで一日を送っているのでしょうか?「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の作者、秋本治もきわめて規則的な時間で漫画という創作をしているのと、共通点を感じました(徹夜はしない、仕事は朝8時から夜8時まで等)。
彼はきわめて真面目な態度で走ることに向き合っています。最近は年のせいで記録が伸びません、一生懸命練習をやっても以前より記録が伸びません。でもそれをすべて受け入れて、それでも走る姿は求道者的でもあります。コツコツ続けることの大切さを改めて教わった気がします。
走ることが好きな人、村上春樹ファンはもちろんのこと、スポーツ好きなヒトにはお薦めな好エッセイです。スポーツの祭典、北京オリンピックが行われるこの時期に読むというのも感慨深いですよ。4238
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