藤沢周平「隠し剣孤影抄」を読みました(初めの4編)・・・ | 親愛なる人に-読書の薦め

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隠し剣孤影抄 昭和56年1月文藝春秋、昭和58年文春文庫、2004年6月文春文庫新装版
☆☆☆☆
藤沢 周平



藤沢周平「隠し剣孤影抄」を読みました。


この作品は、8編からなる短編集です。山田洋次監督の映画「隠し剣鬼の爪」 の原作も入ってます。この作品の続編が、「隠し剣秋風抄 」(映画節の一分の原作が入ってます)となります。


主人公たちは社会的に成功をおさめているわけでもなくいずれもどこかちょっと屈折しています。でも、その人間くささに共感を覚えます。また、どの話にも、隠し剣が登場します。いわゆる、必殺技ですね。これがなにかも読む楽しみの一つですね。


まずは、はじめの4編の紹介。


「邪険竜尾返し」オール讀物昭和51年10月
父の病の願掛けのために、絃之助は母親に代わって、赤倉不動に一夜籠もりをしました。この夜籠もりは、老若男女が雑魚寝をするのですが、ある女性に誘われてしまった絃之助でした。
あるとき、絃之助は赤沢という剣の達人から試合をするよう頼まれました。拒む絃之助でしたが、赤倉不動のときの女性は、赤沢の女房で、結局試合を受けるしかありませんでした。

絃之助の父親は、今は喋るのも困難ですが、かつては剣の達人で、秘伝竜尾返しをあみ出しました。絃之助は、この技のことを聞き出そうとしますが父親は病でうまくしゃべれません。果たして絃之助の運命はいかに・・・
この剣の秘密がうーんという感じです。


「臆病剣松風」オール讀物昭和51年12月
満江は、夫の新兵衛を軽蔑していました。それは新兵衛が剣の達人ということもひとつの理由で結婚したのですが、そのことをおくびも出さぬどころか、本当に臆病だと思う場面に出くわしたからです。
そんな新兵衛が、若殿の警備を申しつけられたのでした。本当に怖がる新兵衛に断ったら良いという、満江。でも新兵衛は「いや、それは出来ん。もう引き受けてしまった」果たして新兵衛の運命は・・・
満江のだんだんと変わっていく心の動きに注目です。


「暗殺剣虎ノ眼」オール讀物昭和52年3月
達之助の父、与一右エ門は、闇夜に何者かに暗殺されます。それは、完璧な闇夜でした。その剣は、達之助は犯人探しに躍起になります。その剣をあやつる者は「暗夜ノ物ヲ見、星ヲ見、マタ物ヲ見ル」ということですが、40年前にその剣は途絶えたと言われます。果たして、誰が暗殺したのか・・・
犯人は意外なところにいました。


「必死剣鳥刺し」オール讀物昭和52年6月
三左エ門は、3年前に藩主の愛妾を殺してしまいます。この妾は藩主にいろいろ政治的な入れ知恵をして、誰もが快く思っていなかったのでした。切腹を覚悟していた三左エ門でしたが、お咎めはなぜかありませんでした。
しかし、そんなことですまされるものではありませんでした・・・
藩主の妾のために、藩の政治が傾いていく。側近たちはそれが弊害の原因と知っていても何も出来ない。妾でないとしてもどこかの政治、会社、地域社会、どこでもありそうな話でした・・・


次回(3/21)に続きます・・・




こちらは続編の隠し剣秋風抄です

隠し剣秋風抄/藤沢 周平



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