藤沢周平「隠し剣秋風抄」読みました・・・きれい事では済まぬ剣の勝負 | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.


隠し剣秋風抄/藤沢 周平
単行本 1981年2月 1983年 文春文庫  2004年新装版文春文庫

☆☆☆☆


藤沢周平「隠し剣秋風抄」読みました。この本は、山田洋次監督、木村拓哉主演「武士の一分 」の原作「盲目剣谺返し(こだまがえし)」が入っているので、読んでみました。9つの話が入った短編集です。


藤沢周平は、昨年、たそがれ清兵衛蝉しぐれ三屋清左衛門残日録 、と読み、これが4冊目です。


今まで自分の読んだ3冊とは違い、きれい事では済まぬ武士の勝負の世界が描かれていました。それぞれの主人公は、いずれも剣が立つのですが、子供も居ず、皆家庭に悩みをかかえており、煮えきらず、必ずしもハッピーエンドという結末というわけでもないのです・・・


今まで読んだ三作が一般向けとすると、この作品集は、藤沢周平の暗い濃い部分が出ていたかもと思いました。でも逆に、どこかしら共感を覚えるような、人間味あふれる人たちの話でした。



「酒乱剣石割り」
弓削甚六は腕は立つのですが、酒乱でした。ある男の成敗を命じられるのですが、腕が鈍らないように、禁酒を命じられました。しかし、いざ勝負の前になると落ち着きません。思わず、弓削は、酒をあおるのでした・・・


「汚名剣双燕」
八田康之助は、以前にある男を取り逃がしたため、意気地なしと汚名をきせらていました。それは、その男の妻の顔が脳裏に浮かんだせいでした。あるとき、道場の跡を次ぐ者を決めるための試合に出るのですが、康之助は負けてしまいます。相手から言われます「力を出し切ってない」・・・それは彼が使う秘剣双燕のことでした。「使えばあばらが折れている」と康之助は心の中で思うのですが・・・


「女難剣雷切り」
佐治惣六は、初めの女房に死に別れたあと、さらに二度も女房に逃げられていました。惣六が醜男という評価は動かないものでした。さらに結婚をするのですが、それはある男の妾を押しつけられたものでした。惣六は憤慨します・・・惣六の女難ぶりが見物です。


「陽狂剣かげろう」
誰かが殿に進言したために、佐橋半之丞は許嫁(いいなずけ)を、殿の奥方としてとられてしまうことになってしまいました。佐橋は、自分が狂ったことにして、このことをやり過ごそうとします。その一方で、告げ口をした男を捜し出し、その男と一戦交えることになりました。結末が哀れです。



残りは、次回・・・




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