宮部みゆき「龍は眠る」を読みました。 | 親愛なる人に-読書の薦め

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読んだ本の感想などを、本屋さんで見かける推薦文のように綴ります・・・お薦め度合いは、☆の数で評価します。親愛なる本好きの人たちに,このブログを届けたいです.

龍は眠る/宮部 みゆき
¥780 新潮文庫(1995年1月)

日本推理作家協会賞受賞作全集〈67〉龍は眠る/宮部 みゆき
¥780 双葉社(2006年6月)
初出 1991年2月 出版芸術社 318p 

☆☆☆☆


宮部みゆき「龍は眠る」を読みました。

週刊誌の記者をやっている主人公の高坂は、嵐の夜、自転車で旅行してパンクで困っている高校生、慎司を車に乗せてあげました。同じころ、マンホールのふたが開いて子供が落ちてしまう事件が起きました。


しかし、子供が残した傘を見た慎司は、その事件を起こした犯人などの一部始終を、話し始めるのでした。ずっと、高坂といたはずなのに、なぜわかるのだろう・・・そして慎司は言うのでした。
「”超常能力者(サイキック)”っていう言葉きいたことありますか」


超常能力者、という設定だけがSF的で、あとは現代ミステリーの風合いです。超常力能力者という設定は、このあとの「クロスファイア」にもありました。


日常や人物描写がうまく、最後まで滞ることなく、ぐいぐい読んでしまいます。さすが宮部みゆきです。今から15年くらい前に書かれた初期作品になります。でも、そんなことを感じないくらい違和感なく詠めます。


ちなみに、タイトルはある登場人物の下記のような言葉からです

「我々は自分の中に龍を持っている。底知れぬ力を秘めた、不可思議な龍をね。ひとたびその龍が動き出したら振り落とされないようにしがみついているのが、精一杯で、乗りこなすことが所詮不可能なのです」

本編では、この龍、サイキックを指してますが、日常の私たちの心の中にも、龍が眠っているかと思うと、やっかいかもしれません。