小さい頃の息子は、歩いたり、話したりといった発達はゆっくりでしたが、ギリギリ基準値の範囲内でした。

そのため、保健所の検診では、「個性の範囲内だから何も問題ないですよ」と言われていました。

今思えば、かんしゃくなど多少の扱いにくさはありましたが、1~2歳頃は一般的に扱いにくい年齢ですし、初めての子だったので「子どもなんてみんなこんなものだろう」と思って子育てしていました。

今でこそ自閉特性の濃い息子ですが、小さいころは特性の薄い子だったなぁと思います。

(13歳までは脳が変化するので、本人の特性も変化しやすいのだそうです)


一つ特徴的だった出来事は、2歳頃に異食をするようになったことです。

家では絵本や新聞を食べ、公園に行くと石や砂を食べるようになりました。

異食をする度に「食べないでね」と伝えましたが、息子はニコニコしながら食べるばかりです。

そのうち、周囲から「きつく叱らないから子どもになめられてる(親の言うことを聞かない)んじゃないか」と言われるようになりました。


私は、「石や砂を食べないように叱るべき」と言われても、どうやって叱るのか、”叱り方”が分かりませんでした。

イライラが我慢の限界を超えて「もう!うるさい!」とか「いい加減にしてよ!!」と声を荒げることはあるのですが、これは私の感情コントロールが未熟なだけで、決して、叱って社会性を教えているわけではありません(爆)

無理に叱ろうとすればするほどぎこちなく、”叱らなければ”という思いがプレッシャーにもなり、息子の異食はかえってひどくなる一方でした。


ある時、ヨガの先生に相談すると、「異食は、子どもだけじゃなくて老人にもあるんだけど、自分の気持ちがうまく伝えられない時に出てくることが多いのよ」と言われました。

それからは、異食の度に「何か伝えたいことがあるんやね。分かってあげられなくてごめんね」と伝えるようにすると、異食の回数は目に見えて減り、数か月続いた異食は2週間ほどで完全におさまりました。

当時の日記を読み返すと、「物を投げないでね」「人を叩かないでね」「順番ね」とひたすら試行錯誤しながら伝える日々が書いてあるので、異食に限らず”叱って教える”ことはできなかったんだなぁと思います。

その代わり、見知らぬ人から「躾もできへんのか!」と私が怒鳴られたことはありましたが・・・(´д`lll) 。


今でも、叱って教えることはできないままですが、息子が自閉症の診断を受けたことで、”叱り方”ではなく、発達障害児に適した子育ての方法を学ぶことができたので、少し救われました。

(しつこいですが、私の心にゆとりがない時は、息子のパニックに我慢の限界を超えて声を荒げてしまうことがあるので、この感情コントロールは今後の私の課題です~(;´▽`A``)


*******


余談ですが、息子は冬休み明けから学校に登校していません。

冬休み明けに、時間割の準備を促した時、息子がぽつりと言いました。


息子「ねぇお母さん。僕どうしても学校に行かなきゃダメ?」

私 「あなたはどうしたいの?行きたいの?行きたくないの?」

息子「・・・あんまり行きたくない」

私 「じゃあ行かなくていいよ。今まで良く頑張ったんだから、しばらくゆっくり休んだら?」


このエピソードを話すと、「さすがももこ」(←さすがって(笑))と言われる一方、「叱らないの?私なら絶対、何言ってんの!病気でもないんだから行きなさい!って叱ってしまうわ~。」と、私の対応に驚かれることも多いです。

私は、自分が不登校を経験したせいか、”学校に絶対行かなければならない”と思っていないのかもしれません。

自立してほしいとは思っていますが、自立までのルートはたくさんありますし、学校はたくさんあるルートの一つにすぎません。

学校に行けるなら行けばいいし、行けないなら無理に行かなくてもOKです。

子どもが学校に行かないと言った時、その選択をなぜ叱らなければならないのか、私にはよく分からないのです。

(もちろん、それまでのいきさつから、怠けや甘えではないという確信があってのことですが(;^_^A)


過去の記事で何度かご紹介させていただいた、ハワイとシロクマのお話。

自分にとって楽な道を選ぶことは後ろめたいことではないの。

シロクマが、ハワイで暮らすことよりも北極で暮らすことを選んだからといって、誰がシロクマを責めますか?

(「西の魔女が死んだ (新潮文庫) 」より)


学童期を、多数の人が暮らすハワイ(学校)で過ごしても、少数の人が暮らす北極(学校以外の場所)で過ごしても、どちらでもいいのです。

ただ、シロクマやペンギン、アザラシなど、寒い環境でこそ生きられる動物がいるだけのことなのだと思います。


この息子の話は長くなるので、また別の機会に記事にできればと思いますが、主治医からは「対処が早かったので心の傷は浅くすんでいるし、傷の回復も早いと思いますよ」と言われました。

担任の先生にも良くして頂いているので、学校に対する負のイメージは消えつつあります(^^)


もしこの先、息子が人に暴力をふるうことがあったら?

多分、”息子に適した感情コントロールの方法を考えること”に必死で、叱れないだろうなと思います。


もし、息子が法に触れることをしたら?

多分、”その水面下にある原因と、対応方法を考えること”に必死で、叱れないだろうなと思います。


もし、息子が自らの体を傷つけるようなことをしたら?

確実に、「お母さんはあなたがいなければ生きていけない」と泣いて取り乱します(私がパニックです(爆))。


私がこの先、息子に対して、”叱る”という表現方法を身に付けることがあるのか?

・・・う~ん、ないような気がします・・・

叱り方を身に付けようとすることは、多分私にとってものすごくハードルが高いことです。

叱り方が分からない分、支援の方法と自分の感情コントロールを、これからも勉強し続けていこうと思います(^-^)



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