1240 :超低インピーダンス・ファンタム式パナ改マイクの進化形 LZ-Ⅱ | ShinさんのPA工作室 (Shin's PA workshop)

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2024年追記

 

製作難易度 ★★★   お役立ち度 ★★★★★

新型ファンタム式パナ改マイクLZ‐Ⅱ」遂に完成 

 

ホール三点吊りで威力を発揮する新兵器  

 

劇場・ホールから求められ、ホール収音の為に1年間熟考し、劇場・ホールで実験・試験を繰り返えされ完成した「ホール収音用」の自作マイクであります。

 


           
       ShinさんのPA工作室            
           渋谷 さくらホールにて (小さいですが見えますか) 

           

今回発表したLZ‐Ⅱは定評の高いfetⅡmeasurement‐fet Ⅱ と同一音質でありながら次の大きな改善を果たしました。

 

 

1.ホール内の長距離伝送(200~300m)程度では高域減衰がない

  (シミュレーションでは1km延長でも延長ナシのfetⅡと音質差はまず感じない)

 

2.超低インピーダンス伝送によりSCRやEVインバータなどの誘導ノイズ、高周波ノイズを受けにくい 

 

3.600Ωトランスによる局の頭分けなどBTS低インピーダンス負荷に影響されない

 

4.出力インピーダンスは58Ω、最低18Ωまで可能である。

 

(ケーブルの導体抵抗は結構大きいので58Ωで行きましょう)

 

※出力インピーダンスは回路定数により案外自由に決められますので別の機会にご説明します。

 

 

LZ-Ⅱ 】  
ShinさんのPA工作室

 (ペアのLZ Ⅱ
 

この通り fetⅡ となんら変わらないShinさん定番デザインのオリジナル 超小型マイクです。

従来のFET式からバイポーラTR式として新たに設計した。

 

 

なぜ超低インピーダンスのマイクが必要なの?という疑問があるだろう、それは劇場・ホールのマイク配線に理由があるのです。

 

全長200m以上はあたりまえ、更に途中には中継がいくつもある。

目標は1Kmの延長で高域減衰が問題にならないマイク、そこまでやっておけばいかなる場合にも通用する。

カナレのL-4E6ATまたはL-4E6Sではホット・コールド間の静電容量が1mあたり150PFある。

 

10mで0.0015μF、100mで0.015μF、1Kmで0.15μFとなるがこれに(Hot)~(Seald)及び(Cold~Seald)の容量が加わるのでトータルの容量はこの1.5倍程度になるであろう、それを加味すると、10mで0.00225μF、100mで0.0225μF、1Kmで0.225μFだ。

しかしこの程度では音質変化(高域減衰)を耳で感ずるのは困難なほどだ、驚異的ともいえる。

 

ホール内の配線距離程度でもビクともしないこの超低インピーダンスマイクのメリットは大きい。

 

試作では出力インピーダンス12Ω位まで可能になるのを確認したが動作電流は11mAと結構大きくはね上がり、動作電流値と出力インピーダンス・ケーブルの導体抵抗の相互関係から折り合い点を探った。

 

①動作電流 ・・・・小さい程良い

②導体抵抗 ・・・・小さい程良い

③出力インピーダンス・・・・この場合できる限り低いほど良いが程度問題。

 

(基板)
ShinさんのPA工作室
基板サイズは普通サイズのTR使用の為FETタイプの従来型よりやや縦に長い。

 


ShinさんのPA工作室
マウント直前の基板(ケミコン22μFが追加されている)

 

 

インピーダンス変換なのか位相反転なのか

Schoeps回路の気になるところを正した。

ワールドスタンダードな名門回路に異議を唱えるのもおこがましいが、事実は事実。

Shinはインピダンス変換部のソースフォロワOUTにこだわり、「位相反転」プロセスを見直したことです。


それは「P-K分割・・・」じゃなかった、「D-S分割」のドレインからの信号を嫌った、ひずみ率の点で1ケタ近く不利な信号をなぜ使うのか・・・マイクの「位相反転」はそんな俗っぽい方法でイイはずがない。
波形で見てもわかりにくいので、自分の口笛で比較すると、実に良くわかる、人の五感は「動特性」において測定器をはるかに超えることをマザマザと見せた。

測定はしていないがひずみ率もダイナミックレンジも、たぶんメーカーのそれを超えているはず。

D-S分割をやめ、「平衡出力回路入力部の片側落とし」の「差動回路」としたことで、あきらかにひずみ感がなく、ダイナミックレンジも広がった。 これでいい、こうでなくちゃ、と思った。

 

 

 

(回路)

ShinさんのPA工作室

 

 

《読者の方がこの回路の動作説明図を作成してくださいました》
ShinさんのPA工作室
電球 わかりずらいShinの回路図もこうしていただくと、とても分かり易いですね。

「上の黄緑の四角の中は何?」そう、はるか先のマイクHAです。

実はココまで含めてShinのマイクは差動AMPを構成しているのです。

よくわかるでしょ。

N さん有難うございます。   2013.3.15追加  (Shin)

 

 


(LZ-Ⅱ諸元)

 

 

形式           : 超小型コンデンサマイクロホン(ECM)

使用ユニット      : パナソニックWM-61A (ソースフォロワ改造)

指向性          : 無指向性

適合ファンタム電圧  : 20~50V DC

出力インピーダンス  : 58Ω

<各サイズ>

マイク部         : 長さ27mm(後部スプリング除く)×直径8mmφ

AMP部          : ノイトリック3Pオス(新・旧)内に収容

重量            : 72g (ケーブル3m含む)

適合WS          : REXSER RZM804LWS(上写真本体の上)

  

非業務用卓などでファンタム規格を満たさない各機器での動作は保証できません。

 

 

(比較検証)

※ 某ホールにて

基準信号(2台のSPから出た同一音楽ソース)をfetⅡ 及びLZⅡ でそれぞれ受け、ホール内配線約120m以上伝送した音声を聴き比べた

ShinさんのPA工作室

向かって左(上手側):fetⅡ、右(下手側):LZⅡをスタンド設置。

 

fetⅡやや丸みを帯びた高品位音・・・言われてみなければ長距離伝送音とは気がつかない。

LZ-Ⅱ テストCDからSP再生した男・女声アナウンスが明瞭かつハイの抜けの良さ、音の輪郭がハッキリし、ホールトーンの聴こえ方もごく自然である。

 

「ファンタム式パナ改マイクロホン」の超低インピーダンス化が音質面でも完全に完成した。

 

以上により「新しいファンタム式パナ改マイク」ホール3点吊りで威力を発揮する新しい方向性を獲得致しました。

 

 

このあと 全長200m超えのホールでクラシックコンサート録音(三点吊り)に挑んだ(11日前)

ファンタム条件の判断誤りにより録音を断念せざるを得ず残念、しかし初めて「ファンタム式パナ改マイク」が衛星部に乗った。(2012.10.14)
     
ShinさんのPA工作室

 Ensemble Wits (東京渋谷 さくらホール)

 

 

リベンジだ

さらにコンデンサ1本を加え、問題解決をはかった。

 

※長距離伝送(室内)実験

(Shinさん手持ちケーブルを継ぎ合わせて200m超えテスト)

いくらなんでも100mからのケーブルはShinさんのところにはない、そこでツギハギだ。(30m+30+20+20+20+20+10+10+10+10+10+10+10=210m)

fetⅡ ではエッジが取れたような高域減衰が気になる

LZⅡ ではシミュレーション時同様、延長ナシのfetⅡ 及びLZⅡ と比較し、音質変化は自分の耳では判別つかない。
 

 

2012.10.21 Shin所属ビッグバンドのダンパPA時、SAX隊前にマイクを置いてPA音を避けて録音、位置的にベストバランスは難しいがLZⅡの音質はfetⅡなどFET型「ファンタム式パナ改マイク」と同一、一流マイクロホンと肩を並べる堂々たる結果を得た。

ShinさんのPA工作室

MISATO MUSIC MATES (SAX 隊前のカメラ三脚にLZⅡ がセットされている)


PS)ここまでたどりつくのに随分回り道したり約1年間試行錯誤も繰り返しまし

   た。

   決定的には「Shoeps回路」の常識的難点に気づいたことが幸運を呼んだ。

   またこのLZⅡ の実用検証中に判明した問題点の手直しをはかり、あえ

   てさらに約1ケ半以上を費やして間違いのないものに仕上げました。

 


 

(お知らせ)

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モノ作り日本もっと元気出せ   (Shin)

 

 

 

 

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