このブログ読者の皆様 のかなり多くは「クリスタルレシーバー」の音にはすでに触れるチャンスの少なくなった時代の方でしょう。
最近1ヶ月くらいの間に何とアキバのどこかの店でセラミックイヤホンを2個購入した、何と1個は正真正銘の「クリスタル型」であった。まったく意識せず買って帰っていたのだ。
※足取りから地下鉄銀座線末広町駅前あたりが有力か。
元気なクリスタル型を手に出来たのは奇跡としか言いようがない。
どちらも全く新品に見えるのでどこかでまだ生産されているのだろうか?
信号電圧さえあれば音になる為、単に「イヤホン」としてだけではなく、あるときは信号追跡にオシロ代わりの簡便ツールに、マイクロホン代わりされる事さえありました。
特に機器修理の際はこれをコンデンサカップリングしてやればオシロを使うより故障探査のスピードは遥かに早い。
またラジオ局でもモニタ用イヤホンはこれでした。
しかし昨今の機器は、ローインピーダンス出力設計ですので、100kΩ台のハイインピーダンスのイヤホンをまともに鳴らす環境はAUX-OUT位しかないが少し音量不足だ、電圧駆動のイヤホンなど今更ながら鳴らす環境はほぼなさそうだ。
《クリスタルレシーバーとセラミックイヤホン》
上:セラミック、 下:クリスタル
「カナル式イヤホン」の新型ではありません
現在、まったく同じ形状で売られているがセラミック型。
「カーカー」とうるさく鳴くのがセラミック、およそ「イヤホン」などではない。
真ちゅう板に圧電材料がコーティングされているだけでまともな音など出るわけがない。
クリスタル型の代替にはならず、構造も振動モーションも異なる別モノだ。
(クリスタル型の方が桁違いにイイ音だ)
ニ種類の裏側を比べてみると
「右側にはCRYSTAL RECEIVER の刻印がある。」
ロッシェル塩の結晶2枚を貼りあわせた「バイモルフ」にアルミの振動版を連動させ、ゴムダンパーを含めスティフネス制御を上手に行った製品は、一定音量未満で使用する限り共振周波数のピークさえ抑えて音楽を十分楽しめる音質を持つ。
《クリスタル型 》
良く見ればすぐ判別がつくのだが、とんだ拾い物であった。
直流を加えることは厳禁だが鳴らすのに「電力」がまったく不要であり音も感度も優れている為、鉱石ラジオには通信用マグネチックレシーバーに取って代わって、長らく使用されてきた経緯がある。
通信用両耳型マグネチックレシーバー
しかし、クリスタルレシーバーの最大欠点は高温多湿に弱く、どんなに慎重に扱っても数年も経てば潮解(ロッシェル塩がドロドロに解けてくる)という問題がある。
その前に感度がに下がり、その時点が寿命だ。したがって名だたるビンテージ物があったとしてもいまや100%が寿命切れ、絶対実用にはならないゴミです。
いずれにしてもコノ手のハイインピーダンスデバイスが何か新しい貢献の種にならないか考えてしまう。
カナル式ステレオイヤホンの遥か遠く前、RCAのOLSON博士はヘッドホン(レシーバー)の理想的な形は「耳孔式変換器」である、とコンデンサイヤホンのような図を示して将来のあるべき姿を約半世紀前にレシーバーの項を締めくくっていた、このときの外観図はクリスタルレシーバそっくりであった。
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