「非監護親の『寄る辺のない孤立感』と監護親の面会交流義務の『感情労働』性」(渡辺義弘) | 金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

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石川県金沢市在住・ごくごく普通のマチ弁(街の弁護士)が,日々の仕事の中で離婚,女と男と子どもにまつわるいろんなことを書き綴っていきます。お役立ちの法律情報はもちろんのこと,私自身の趣味に思いっきり入り込んだ記事もつらつらと書いていきます。

1.

渡辺義弘弁護士。

青森で渡辺義弘弁護士事務所を開設されてます。

こちらがHP

http://watanabe-law.info/index.html

『子の監護権紛争解決の法的課題 弁護士実務の視角から問う』という著書があります。

私は,渡辺弁護士とは直接の面識はありません。

でも,上記著書や共著などを拝読しまして,本当に,頭が下がります。

その渡辺弁護士が執筆者の一人となっている次の本

『子ども中心の面会交流―子どものこころの発達臨床・法律実務・研究領域から原則実施を考える』

この本が,またとっても刺激的で,面会交流を考える上でとても参考になります。

渡辺義弘弁護士の執筆部分は,「第9章 心理学的知見の教条化を排した実務運用はどうあるべきか─子ども中心の面会交流の背景を踏まえて─」になります。

 

このブログ記事のタイトル,「非監護親の『寄る辺のない孤立感』と監護親の面会交流義務の『感情労働』性」は,上記の渡辺義弘弁護士論文から引っ張ってきたキーワードです。

 

しばらく,この渡辺義弘弁護士論文を読み進めつつ,私なりに思うところを書いていこうかななんて思っています。

 

2.

まぁ,このブログ記事を読むより,上記の本を買って読んでいたたくのが一番いいと思うんですけども。

ちなみに,内容は以下のとおり。長くなりますけど,各章の標題と執筆者を紹介します。

 

第1章 面会交流原則的実施政策の問題点

    … 長谷川京子(弁護士)

 

第2章 子どもの本音・声を歪めない面会交流とは?─乳幼児精神保健学からの警鐘─

    … 渡辺久子(乳幼児・児童思春期精神科医)

 

第3章 DVと離婚,子どものトラウマへの配慮と面会交流

    … 田中究(児童精神科医・兵庫県立光風病院院長)

 

第4章 片親引離し症候群PASと片親引離しPA─研究レビュー─

    … ジョアン・S・マイヤー(弁護士/ジョージワシントン大学法科大学院特任教授)

     訳・監修 髙橋睦子(吉備国際大学大学院社会福祉学研究科教授)

 

第5章 児童虐待(不適切な養育)に陥った親と児童との面会交流の実情について

    … 岩佐嘉彦(弁護士)

 

第6章 離婚後の親子の交流と親権・監護・親責任

    … 小川富之(福岡大学法科大学院教授)

 

第7章 DV・児童虐待からみた面会交流原則的実施論の課題

    … 水野紀子(東北大学法学研究科教授)

 

第8章 臨床心理士,面会交流援助者からみた面会交流原則実施論

    … 山口惠美子(公益社団法人家庭問題情報センター常務理事/臨床心理士)

 

第9章 心理学的知見の教条化を排した実務運用はどうあるべきか─子ども中心の面会交流の背景を踏まえて─

    … 渡辺義弘(弁護士)

 

第10章 原則実施論の問題点

    … 斉藤秀樹(弁護士)

 

第11章 面会交流をめぐる家裁実務の問題点─調査官調査の可視化を中心に─

    … 可児康則(弁護士)

 

第12章 取り残される子どもの気持ち

    … 安部朋美(弁護士)

 

第13章 弁護士代理人からみた面会交流実施の問題点について─「子ども中心」とは何か,原則実施論の条件作り─

    … 西片和代(弁護士)

 

第14章 DVと面会交流

    … 秀嶋ゆかり(弁護士)

 

第15章 原則的面会交流論の問題性─元裁判官の立場から─

    … 坂梨喬(弁護士/元福岡家庭裁判所・地方裁判所判事部総括)

 

第16章 面会交流調停・審判の運用はどのようになされるべきか─やや随想的に(元裁判官の感想的意見)─

    … 森野俊彦(弁護士/龍谷大学法科大学院特任教授/元福岡高等裁判所部総括判事)

 

第17章 家事紛争解決プログラムの意義─面会交流原則論とは何か─

    … 大塚正之(弁護士/早稲田大学法学学術院招聘研究員/元千葉家庭裁判所判事)

 

第18章 第三者機関の関与と面会要領の詳細化の諸問題─平成25年の二つの東京高裁面会交流決定をめぐって─

    … 梶村太市(弁護士/常葉大学法学部教授/元横浜家庭裁判所部総括判事)


座談会 面会交流は原則的に実施できるのか

 

3.

 どの章も,いろいろなことを考えさせられます。

 特に,

 

 第8章 臨床心理士,面会交流援助者からみた面会交流原則実施論

    … 山口惠美子(公益社団法人家庭問題情報センター常務理事/臨床心理士)

 

は,FPICの活動の現場を踏まえた内容で,高葛藤事案における面会交流の実施面における問題点からの議論がとても有益でした。

 

 また,座談会が,また,とても興味深く読めました。

 

4.

 そういうわけで,私の記事を読むよりは,この本を読んでいただくのがいいと思うのです。

 ただ,私の記事がきっかけになってこの本を読んでみようって気になっていただけたら,それはそれで意味があるかな・・・・なんて思いまして。

 それで,渡辺義弘弁護士論文を取り上げて,その視点,問題意識を私なりに咀嚼して記事にしていこうかなっと・・・。

 

うー,あいかわらず,前置き長っ。