離婚原因グレーと面会交流の一場面~虚偽を子に吹き込む親に対し,子を思う他方の親はどうするか? | 金沢の弁護士が離婚・女と男と子どもについてあれこれ話すこと

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石川県金沢市在住・ごくごく普通のマチ弁(街の弁護士)が,日々の仕事の中で離婚,女と男と子どもにまつわるいろんなことを書き綴っていきます。お役立ちの法律情報はもちろんのこと,私自身の趣味に思いっきり入り込んだ記事もつらつらと書いていきます。

1.
「慰謝料あれこれ」シリーズの前記事
 慰謝料の意味性~人格の尊厳に関わる願いと闘いと困難と
 「子のために離婚原因をグレーにして調停合意するのがよい」とは言えない場合~慰謝料の意味性1(序)
 離婚原因グレーと面会交流の一場面~子どもはどうなる?~慰謝料の意味性2
の続きです。
 これまでの設定事例を要約します。

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①マスオータイコの不貞。これは説明の便宜からこの記事では読者には,不貞は事実と明示されているとします。
②サザエーマスオの離婚問題。サザエはマスオにマスオの不貞を主張。マスオはサザエにサザエの方のイササカ先生との不貞を主張。
③タイコーノリスケの離婚問題。ノリスケはタイコにタイコの不貞を主張。タイコはノリスケにノリスケのDVとギャンブル依存を主張。
④マスオは,サザエとの夫婦関係悪化・別居という経緯の中で,タラちゃんに対し,「ママは男がいる,パパを悪者にしてその男とくっつきたいんだ。」と言いまくっていた。
⑤タイコは,ノリスケとの夫婦関係悪化・別居という経緯の中で,イクラちゃんに対し,「パパはママを殴ったりギャンブルに狂ったりしてたくせに,ママがパパとの離婚を考え出したら,先手を打ってママがタラちゃんのパパのマスオさんと怪しいなんてとんでもないことを言い出した。」と言いまくっていた。

2.
 両親の離婚という事実をどの場面でどのようにして子に説明するか?
 これ自体,とても大きなテーマです。難しいテーマです。
 「良き母」,「良き父」はここでも思い悩みます。
 そして,夫婦関係が破綻していく中で,父,母それぞれの姿勢がこの点で一致しないという場合はいくらでも出てきます。
 先の設定事例のように,サザエやノリスケは,それぞれに,子の傷つきを少なくしようとしているのに,他方の親であるマスオやタイコによって,それがぶちこわされ,子を傷つけ,サザエとタラちゃん,ノリスケとイクラちゃんの関係性を大きく動揺させているとき,サザエ,ノリスケは,困難な決断を迫られるように思います。

3.
 例えば,サザエは,こういう選択を突きつけられるように思います。

①離婚原因をグレーにして調停合意し,マスオとの面会交流を拒否できるか?
②面会交流を拒否できないとしてマスオによる「歴史の書換え」を止めさせることができるか?
③マスオが「歴史の書換え」を続けた場合,タラちゃんに,それは違うと言い続けることでサザエータラちゃん関係の今後は上手くいくか?タラちゃんは自分を信じてくれるか?そういうどっちを信じてよいか分からない状況にタラちゃんが置かれること自体,タラちゃんにとって酷いことではないか。
④それとも,離婚原因について白黒つけるか?タラちゃんにその白黒の結果を伝えるかどうかはともかく,白黒つけば,マスオは,それに反することをタラちゃんに吹き込むことを自制するのではないか?
⑤白黒つけて,自制しなかったら,そこで面会交流を拒否することを考えないといけないのではないか?そこでの面会交流拒否は,白黒ついた事柄であるから,マスオが「歴史の書換え」をし続けていることがかなり明確に裁判所に理解してもらえるのではないか?
⑥白黒つけようと提訴して,本当に白黒がつくのか?自分にとって,全く逆の結果とならないか?

 ノリスケの場合は省略しますね。
 同様の話になります。
 ノリスケの葛藤を皆さんで想像してみて下さい。 

4.
 もし,サザエやノリスケが突きつけられる問題,悩ましい葛藤が上記3の①~⑥のように言えるなら,さて,みなさんがサザエやノリスケだったら,どうしますか?
 正解などなくて,みなさん自身の選択の問題として,じっくり考えてみるのもいいかもしれませんね。
 まあ,現実問題としてそういうことを考えて決断しなければいけない状況に追い込まれることこそ,不条理としかいいようがないのですが。
 私は,そういう不条理が少ないことを,本当に願うのです。

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