TPP交渉について、国民的議論が全く拡大せず進展しないまま、既存メディアと大企業だけが「安倍総理は首脳会談後にTPP交渉参加」と吹聴する。

国民は、TPP交渉参加の是非で、自民党が掲げた国民との約束である政権公約が「TPP交渉参加の6つの判断基準」であることを知っているのだろうか。

参考記事:「聖域なき関税撤廃の撤回」は例外品目にあらず、自民党の判断基準6項目の合意にあり

国民は、TPP交渉参加の是非で、TPP参加しても1年間でGDP成長率が0.054%、GDPが2700億しか伸びないことを知っているのだろうか。

参考記事:日本がTPP参加しても年間わずか0.054%の経済成長、TPPの虚構実体が明らか

国民は、TPP交渉参加の是非で、自民党国会議員378人でTPP交渉参加に反対派が236人であり賛成派が35人であることを知っているのだろうか。

参考記事:自民党が安倍総理に6つの判断基準を提出、TPP反対派233人とTPP賛成派35人

国民は、TPP交渉参加の是非で、TPPが日本の貸し切りバスであり日本が不参加となれば米国のTPP構想自体が破綻することを知っているのだろうか。

参考記事:林農水大臣が「TPPは貸し切りバス」、日本が不参加の表明で米国のTPP構想は破綻

国民は、TPP交渉参加の是非で、TPPを経済規模で圧倒するRCEP(東アジア地域包括的経済連携)交渉に参加していることを知っているのだろうか。

参考記事:既存メディアはアジア自由貿易構想でRCEPを隠蔽、TPPのみ偏向報道は日本の国害

国民は、TPP交渉参加の是非で、既存メディアが内容を詳しく伝えず「早期参加すべき」だけで国民を扇動しようとしていることを知っているのだろうか。

参考記事:連日止まらぬTPP交渉に参加すべしの偏向報道、全マスコミが国民を扇動する非常事態

そして最も問題であるのはTPP交渉参加で賛成が正しいとする偏向報道である。

新聞やテレビが報じるのは、経済団体理事、御用学者、天下り団体理事、インチキコメンテーター、与党賛成派議員、野党賛成派議員の発言ばかりである。

しかし、実際の身近な団体の判断は全く逆であり反対派と慎重派が圧倒している。

まず、地方首長と地方議会の団体でのTPP交渉参加の意見は下記の通りとなる。

・全国知事会:国民に対し詳細な情報提供と十分な説明を行うこと。
・全国都道府県議会議長会:国民に対し詳細な情報提供と十分な説明を行うこと。
・全国市長会:国民的な合意を得た上で、慎重に判断すること。
・全国市議会議長会:国民に対し詳細な情報提供と十分な説明を行うこと。
・全国町村会:国民に対し詳細な情報提供と十分な説明を行うこと。
・全国町村議会議長会:TPPへの参加はしないこと。

明らかになったのは、統一見解は全国町村議会議長会のTPP参加反対だけだが、それ以外の団体でもTPP参加に賛成意見がほとんどないのである。

つまり、民主主義のルールで民意を得た国会議員、地方首長、地方議員でTPP交渉に参加を表明したのは、国会議員で自民党賛成派35人と日本維新の会とみんなの党と民主党の一部、地方首長と地方議会で都市部だけなのである。

この結果によって既存メディアは、政権与党で圧倒的な勢力を誇り、地方首長でも圧倒的な勢力を誇り、地方議会でも圧倒的な勢力を誇り、国民の代表のほとんどがTPP交渉参加に反対派であることを隠蔽していると言えよう。

これは、国民が代表者を選ぶという民主主義の根幹を破壊している行為に等しい。

次に、一般団体を調べてみると既存メディアの情報隠蔽がより顕著になっている。

既存メディアから常時報道されているのは、経団連、経済同友会、商工会議所のトップによるTPP交渉参加に賛成する発言と、農業協同組合と全国医師会の幹部によるTPP交渉参加に反対する発言しかない。

それ以外の団体はというと、賛成派が少数であり反対派と慎重派が圧倒している。
しかも、下記のまとめを見れば賛成派と慎重・反対派で傾向があることに気づく。

●TPP交渉参加に賛成する団体(14団体)
経団連、経済同友会、商工会議所、自動車工業会、電機工業会、繊維産業連盟、産業機械工業会、機械輸出組合、医療機器産業連合会、電子情報技術産業協会など

●TPP交渉参加に慎重である団体(14団体)
労働組合総連合会、公認会計士会協会、税理士会、行政書士会連合会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会、全日本病院協会、精神科病院協会、医療法人協会、製薬団体連合会、生活協同組合連合会など

●TPP交渉参加に反対する団体(18団体)
農業協同組合、日本医師会、消費者団体連絡会、漁業協同組合連合会、乳業協同組合連合会、林産物貿易対策協議会、中央畜産会、製粉協会、精糖工業会、農業法人協会、農業会議所、主婦連合会など

賛成派の傾向は、工業品輸出の大手企業の経営陣が名前を連ねている団体である。
慎重派の傾向は、医療と個人事業とサラリーマンと消費者の中心的な団体である。
反対派の傾向は、農業と医療で中心的な団体と農林水産が中心となる団体である。

これらは、日本のTPP参加によって恩恵を受けるのが工業品を輸出する大手企業だけで、その他の全ての産業が何かしらの損害を被ることを示している。

もっと言えば、大手企業でもTPP参加国への規模拡大で恩恵を受けるのは経営陣だけで、人材自由化により国内の大手企業社員の労働環境は悪化する。

この結果によって既存メディアは、工業品を輸出する大手企業の経営陣の団体だけがTPP交渉参加に賛成派であり、それ例外の産業の業界団体がほとんど反対派と慎重派であることを隠蔽していると言えよう。

これらを踏まえて、民主主義のルールに従い公平に判断すれば、あらゆる選挙で当選した議員の大勢がTPP交渉参加に反対であり、あらゆる産業団体の大勢がTPP交渉参加に反対であると言えよう。

これにより、TPP交渉参加で明らかになった賛成派と反対派の構図は「マスコミ+大企業」対「個人事業主+会社員+消費者」ということになる。

人材自由化で給与低下が止まらずサラリーマン総下流になっても良いのだろうか。
制度自由化で弁護士、税理士、医師など資格制度が廃止されても良いのだろうか。
基準自由化で期限切れや不良品、欠陥品を消費者に責任転嫁でも良いのだろうか。
規制自由化で外資参入により地方農業と地方企業が淘汰されても良いのだろうか。

つまり、日本がTPP交渉に参加すれば、全品目のみならず全制度、全基準が交渉のテーブルに乗ることになり、誰がババを引くかは参加国次第である。

たとえ、今回たまたまババを引かずに済んだとしても、日本がTPPに参加した時点で将来的にいつか例外なき自由化されることは確定しているのである。

そして、例外を完全撤廃して聖域なき自由化の期限も10年後が既定なのである。

このことは、国民が将来設計を描いても、政府の制度設計でなく、TPP参加国の制度設計により変更を10年以内に余儀なくされる危険性があるのだ。

TPP参加で、年間2700億円の大企業の利益のために、個人事業主の身分保障、会社員の給与所得、消費者の安全と安心を奪って良いのだろうか。

今こそ、既存メディア関係者と大企業の利害関係者を除く、個人事業主、会社員、消費者など国民が団結して決起しなければならないのではないだろうか。

TPPは、日本の国家主権のみならず国民の将来まで人質に取る協定と言えよう。
安倍総理に「日本のためTPP交渉に参加しない」と決断させなければならない。



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