遂に既存メディアによる原発再稼動への偏見報道は電力不足でさえ国民不安を煽るため事実を捻じ曲げて偏見報道になってきた。原発再稼動ありきの野田政権+官僚+既存メディアの言い分には無理があり過ぎる。
[8日 読売新聞]関電14・9%不足提示 政府・需給検証委員会
政府は7日、今夏の電力需給見通しについて有識者会議「需給検証委員会」を開き、従来の試算よりわずかに需給が改善した新たな試算を事務局案として提示した。焦点の関西電力管内は、8月の供給力不足を4月23日時点の16・3%から14・9%に改めた。9電力合計では0・4%の不足から0・1%の余力に転じた。
それでも安定供給に必要とされる3%の余力には届かず、今夏も全国的な節電要請が避けられないとみられる。新たな試算では、大口需要家の企業に電気の使用を控えるよう要請できる「随時調整契約」の発動を前提に、全国で計70万キロ・ワット、うち関電管内で28万キロ・ワットの需要抑制効果を盛り込んだ。
このほか関電管内は、家庭などから得られる節電協力を、従来の想定より15万キロ・ワット分多く見込んだ。夜間にくみ上げた水で日中の電力利用ピーク時に発電する揚水発電は従来より7万キロ・ワット積み増した。
ただ、会議では随時調整契約をどこまで試算に盛り込むかを巡って意見が一致せず、結論を持ち越した。政府は10日に次回会合を開き、最終案を提示して意見集約を図る。
関電管内は、8月から海南火力発電所2号機(出力45万キロ・ワット)の再稼働を見込んでいる。今回、4月23日時点で19・3%と見込んだ7月の供給力不足についての新たな試算は示されなかったが、8月の14・9%より数%厳しい状況になるとみられる。
既存メディアによる4月初頭からの関西電力の今夏の電力供給不足の報道で、消去され隠蔽している重要な2つの事実が存在する。
一つ目の事実は、4月10日に各社一斉に報じた今夏の関電管内の電力は一昨年(2010年)並みの猛暑だと19.6%不足して、昨年(2011年)並みでも7.6%不足する見通しを政府が提示したことである。
つまり、当初の政府見解は今夏が猛暑の場合は19.6%の電力不足、例年通りの場合は7.6%の電力不足と発表していたのである。
二つ目の事実は、電力供給不足の基準から4月10日、4月24日に存在した「2010年並みの猛暑の場合」の条件が抹消されたことである。
つまり、「2010年並みの猛暑の場合」という極端な例が「例年通りの場合」に摩り替えられ標準的な基準として報じられているのである。
これら隠されてた2つの事実から、電力供給見通しで今夏が「例年通りの場合」として想定される電力供給不足のパーセンテージが導かれる。
●4月10日報道の関西電力管内の政府発表の電力不足
例年通りの場合 -7.6%
10年並み猛暑 -19.6%
例年通りの場合は、ピークの需要量が2784万キロワットでありピークの供給量が2574万キロワットである。
10年並み猛暑の場合は、ピークの需要量が3095万キロワットでありピークの供給量が2489万キロワットである。
●今回の発表により想定される関西電力管内の電力供給不足
例年通りの場合 -2.9%(※)
10年並み猛暑 -14.9%
※需要減でも供給増でも比率は同じであることより計算した。
つまり、例年通りの夏場となった場合には8月のピーク時に関西電力で電力供給不足2.9%となるという計算が成り立つのである。
では、2.9%不足という数値はどの程度なのであろうか。
ピークの需要量と供給量の差額から1%が28万キロワットとなり2.9%不足ということは約85万キロワット不足ということになる。余裕を持たせる意味で多めに見積もって100万キロワット不足と仮定する。
この100万キロワットを昨夏に行った節電量と比較すれば、どの程度の節電を行えば良いかが実際のイメージが把握できるだろう。
昨年2011年の東京電力と関西電力の昨夏の最大電力と東京電力管内と関西電力管内での節電効果と節電率を比較してみる。
東京電力は、昨夏の最大電力が4922万キロワット(前年の最大電力5999万キロワットと比べて18%減)にとどまり、東京電力管内での節電効果は約930万キロワットで節電率は18.7%となっている。
関西電力は、昨夏の最大電力が2784万キロワット(前年の最大電力3062万キロワットと比べて10%減)にとどまり、関西電力管内での節電効果は約170万キロワットで節電率は6.8%となっている。
このことから100万キロワットの電力需要減を行うには、関西電力管内での節電率を約11%に引き上げれば十分という結論になるのだ。
この節電率11%という数値は、東京電力管内で昨夏に実現できた節電率18.7%という高い数値から言っても実現可能であろう。
つまり、例年通りの夏場であれば原発再稼動なしでも十分対応できるのだ。
さらに昨年の東京電力管内の計画停電を取り入れればあと8%節電率を向上させることが可能となり200万キロワットの電力を節電できるのだ。
このことで、各電力会社に規定で求められている最低限必要とされている3%の予備率をも確保できることを意味するのである。
「10年並み猛暑」の場合であるが、こちらには最も大きなカラクリが潜んでいると考えられることから最後に記すことにする。
次に、電力供給側から数字の虚構を解き明かしてみる。
そもそも今年2012年と昨年2011年でいくつの原子力発電所の稼動が止まり、またいくらの電力供給が減ったことになるのだろうか。
2011年の8月つまり昨夏に関西電力管内で稼動していた原子力発電所と電力供給量は下記のようになっている。
稼動発電所名 電力供給量
美浜原発2号 50.0万キロワット
高浜原発2号 82.6万キロワット
高浜原発3号 87.0万キロワット
大飯原発2号 117.5万キロワット
つまり、昨夏に比べて今夏は原子力発電所で4機と電力供給量で337.1万キロワットの供給量が減るという計算となる。
しかし、野田政権や関西電力の言い分では大飯原発が再稼動すれば大丈夫としているのだ。実際の原子力発電所と電力供給量は下記となる。
稼動発電所名 電力供給量
大飯原発3号 118.0万キロワット
大飯原発4号 118.0万キロワット
つまり、原子力発電所で2機と236万キロワットの供給量を積み上げれば、残りの余剰電力は別口で供給量を用意するとしているのだ。
ということは関西電力管内で差し引き約100万キロワットの電力を補う余剰の電力供給量はあるということを示していることになる。
このようなことから「236万キロワット-100万キロワット=136万キロワット」の供給電力が不足していることが導かれる。
これにより供給側から導いた電力不足136万キロワットと需要側から導いた100万キロワット電力不足と遜色ない数値となった。
つまり、例年通りの夏場であれば原発再稼動なしでも十分対応できるのだ。
最後に「10年並み猛暑」という言葉のカラクリを考えてみる。
電力会社から盛んにこの議論をするが理由は唯一つしか考えられない。単に2010年は2011年に比べ稼動原発が少なかっただけなのだ。
2010年8月から2011年8月までの原発運転情報を見れば明らかである。原子力発電所と運転停止時期と電力供給量は下記の通りとなる。
原子力発電所 運転停止日 電力供給量
美浜原発1号 (2010年11月24日) 34.0万キロワット
美浜原発3号 (2011年 5月14日) 82.6万キロワット
高浜原発1号 (2011年 1月10日) 82.6万キロワット
高浜原発4号 (2011年 7月21日) 87.0万キロワット
大飯原発1号 (2010年12月10日) 117.5万キロワット
大飯原発3号 (2011年 3月18日) 118.0万キロワット
大飯原発4号 (2011年 7月22日) 118.0万キロワット
つまり、2011年8月は2010年8月に比べて原子力発電所で7機と電力供給量で639.7万キロワットの供給量が減ったのである。
これは2012年8月と2011年8月を比較した原子力発電所で4機と電力供給量で337.1万キロワットの供給量の減少より遥かに大きい。
しかも夏場直前の5月に美浜原発3号、7月に高浜原発4号と大飯原発4号を停止させ合計287.6万キロワットの供給量を停止させているのだ。
しかも昨夏は過度の節電要請もあったが、蓋を開ければ関西電力管内での節電効果は約170万キロワットで節電率は6.8%の結果である。
実際に昨年関西電力管内で7月1日~9月22日を節電要請期間として前年比15%の節電を求めていたが半分以下の6.8%で足りたのだ。
ここで導き出されるのは、電力会社が出している最大需要量の数値は、過去の供給量から積み上げられた数値であるという仮説である。
つまり、原子力発電所の稼動が多かった電力供給量が遥かに高かった2010年8月を基準として考えないと計算が成立しないのだ。
おそらく猛暑や残暑など気温の高い低いという問題は、消費者の節電の心がけ次第で大小決まってくる問題なので微々たるものなのだ。
それより当初19.6%と発表した電力不足を隠蔽して16.3%から14.9%でほとんど下がっていないように見せかけたり、昨年基準だと都合が悪いからと2010年8月と比較しているのを隠蔽したりと実に卑怯な手口である。
都合の良い情報だけ流し、都合の悪い情報は隠すという野田政権並びに官僚機構、既存メディアの体質そのものなのだろう。原発再稼動ありきのために手段を選ばない原子力ムラはほとほとインチキ極まりない。
参考記事:5月5日は原発ゼロの日、42年ぶり国内原発の全50基が稼動ゼロ、脱原発の署名が660万人分以上に
脱原発を果たすため、原子力ムラを解体するため、再生可能エネルギー普及のためせっかく掴んだ脱原発への絶好の機会を逃してはならない。虚構まみれの報道で洗脳する原子力ムラに騙されてはいけない。
今年の夏をこのまま乗り切れば必ず「脱原発」への風が吹く。
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