学生のころからの知的財産権入門 | スキーヤーの練習帳

学生のころからの知的財産権入門

学生のころから知的財産権の勉強をする意味。

先日の記事で小学生に発明の楽しさを教えたいと書きました。

そこで、ふと日本の理系教育について数日考えてみました。

小学生に発明の楽しさを教えるのは素晴らしい。
私もどんどん流行るべきと思います。

ただ、これってお金の大事さを伝えるために小学生にお小遣い帳を付けさせるのと同じ匂いがします。
素晴らしい。
うちの子にもやらせよう。
しかし、本人にとっては煩わしいばかりで中学に入ったらすっかりお小遣い帳は付けなくなり、大人になって簿記の勉強を始めるまでの空白期間に、小学生の頃の教育の大半が抜け落ちる。
考え過ぎなら良いですが。

しかしながら、小学生で発明が好きになっても、年齢が上がった後に発明を考える機会が徐々に減っていくのは、日本の現実かと思います。
中学、高校、大学と進むに連れて発明に関わる時間は減っていきます。
中学生向け、高校生向け、大学生向けの発明クラブを見つけるのは、小学生向けの発明クラブや実験教室を見つけるよりも大変です。

良い大学に入るための勉強が学年が上がるに連れて重視されていくのは仕方ないですが、今後も技術立国を目指すには変えないといけないポイントではあると思います。

ゆとり教育から詰め込み型の教育に揺り戻すらしいですが、その頃の日本は頑丈なものをより安く作ることで技術立国した訳です。
また低賃金の国を目指す方針なら良いですが、周りの国が成長している中で退歩して詰め込みオンリー教育に戻っても、元の地位に戻れるのかすら心配になります。

一方、そのような教育事情とはお構いなしに、社会人になると理系であればほとんどの方がゼロから特許制度を学ばされます。

日本のメーカーの本音は安く頑丈な物を作りたい訳ではなく、真似できないような高付加価値商品を作りたいといったところ。
そうなると学生と社会人のギャップは益々開いてしまいます。

社会人になったら特許の考え方は必須知識ですと言われ、学生の頃の論文を書くための思考とは大きく異なる思考に基づいて研究開発することになるわけです。
ましてや就活する側の学生は小学生の頃以来、社会人になるまで発明しようとする方向に頭を使っていないわけです。

この余りにも長過ぎる空白期間を埋めていかないと、技術立国を目指す上ではマズいのかなと個人的に思います。

この学生と社会人の考え方のギャップに気付いたトップ層の学生は、過去の知見の理解と、そこから何をどう考えて、どのように論理的に考えて大学の研究室で研究をしたか説明できるように、就活の数ヶ月前から準備を始めるのが現状。
このような自分で気付ける学生が、最近では良いメーカーに多数の内定をもらっています。

このトップ層を除けば理系研究開発職の就活はかなりグダグダかもしれません。
就活になってもマニュアルの一夜付け、ボロがでない後付けの理屈で研究を説明するのも一夜付け。課題解決力や創造力があることを説明するためには研究班の他人の成果も借用して強引にストーリーを作る。
しかし、実際は何も考えずに指示待ちで研究していたために、自力で課題発見する能力や、課題解決する能力は実はさほど身に付いていない。

トップ層の次にこのような後付け説明が上手い人材から順に集めていって、果たしてそのメーカーから次々と良い発明が生まれるのか不安になります。

準トップ層には特許の知識やそれに基づく実験計画をわざわざ教える必要があり、その間にどれだけ機会損失があるか考えると、無駄が多いかもと思ってしまいます。

100年に一度の不況と言われてますが、どうやって抜け出すのかの出口戦略はあまり説明されないですね。

個人レベルで何かやらないと現実は変わらない。

ですが、最近の就活ではボーダーに滑り込む能力を磨くような、いわゆる就活塾が流行っているのが現実。
不況からの出口戦略があって就活塾が流行っているいるのか気になるところです。

発明も論理的なクリエイティビティが必要。
音楽やスポーツ、デザイン等と同じで、子供の頃から続けた方が良い部類のスキルだと思いますよ。
理系で子供の頃から毎日発明できる環境にあるのは、PC関連のオタクのみ。
今の日本は、技術立国の中でもIT立国のみしか目指せない残念な環境ですね。

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