鳥海山
シャワーを浴びて寝る。酒田の宿探しの条件はコレだけ(笑)。
ナビでビジネスホテルを検索すると、現在地から近い順にリストが出てきます。電話番号はもちろん、価格も出ています。本当に便利ですね。一番安いホテルに決めました。確か、素泊まり\3,700だったと思います。
部屋は最悪でした。狭い。汚い。湿っぽい。カビくさい。シャワーの出が悪い。薄汚いベッド。そして、見なければ良かったベッドと壁の隙間。思い出すだけでも、気持ち悪くなりそうです。「灯りを消して眠ってしまえば何も見えない」、そんなふうに言い聞かせますが、どうにも気になって眠れません。気のせいか体もムズムズします。明日の鳥海山に備えて、ぐっすり眠りたいのに…。
やっぱり無理でした。「こんなことなら、寝慣れた車の方がマシだ!」。考えが決まると、速攻で着替え直して荷物を纏めました。無人のフロントにキーを置いてチェックアウト。チャパⅡに乗り込みました。宿代は捨てたようなものです。
安かろう悪かろう。安物買いの銭失い。これも旅の教訓ですかね?(苦笑)
鳥海山(ちょうかいさん/新山2,236m)日本百名山 №15
■2007年10月25日(木)晴れ
■東北旅行の1日を充てる/単独
■行程/滝ノ小屋登山口⇔河原宿小屋⇔行者岳⇔七高山頂上(2,229m)
■標高差/1,006m
■時間/06時20分~13時50分(7時間30分)
06時20分/歩き始めます。
格安・最悪ホテルの主人が予告してくれたように、最高の登山日和になりました。
穏やかな陽気でしたが、外輪山に近づくにつれて(高度が上がるにつれて)、風が強くなり、気温もどんどん下がってきました。途中までは暑いくらいだったのに、結局カッパを着込むことになりました。
急登の登山道は、ツルツルの氷に覆われています。日中に溶けて流れた雪が、夜になって再び凍ってしまうのでしょう。溶けずに残っている日陰の雪もカリカリです。いつ滑ってもおかしくありません。絶対に気を抜けない状況でした。「登りは何とかなっても、下りは相当やばいぞ!」、そんなことを考えながら、慎重に登って行きました。
外輪山に立つと、新山と七高山が見えました。小屋もハッキリ見えます。ただ、その表情は、思った以上に険しく、厳しいものでした。七高山の頂上に人が見えました。「とにかく、あそこまで行ってみよう!」
新山への分岐点に来ました。新山に行くには、一旦下って登り直すことになります。
「この白いモノは、雪と言うより氷なんだ」、そう思うと、とても下る気にはなれません。
「七高山を頂上と見なして引き返すべきだ」、今でも、この判断は正しかったと思っています。
登りで踏んだ登山道の氷は、下る時にはピチャピチャの水路に変わっていました。日が高くなるにつれて溶け出したようです。「ほっ」としました。
標高が下がってくると、風もなくなり、ポカポカ陽気に戻りました。下りなのに汗が滴り落ちます。爽快な汗です。
■追記/私は、行け行けの八甲田山で山の怖さを、岩木山で諦めることの清々しさを学びました。これらの相反する体験が、この鳥海山で生かされた気がします。
今回の東北旅は、とても有意義だったと思います。