横浜市保健所の立ち入り検査 その2 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市保健所の立ち入り検査 その2

横浜市保健所の立ち入り検査 その2

横浜市保健所(医療安全課)と大口病院事件 その4

 

連続殺人事件発覚後の1011日に行われた横浜市の臨時立ち入り検査は全国的に報道された。院内の資料は神奈川県警に押収されており、調査は聞きとり中心で行われ、約4時間をかけたという。

 

さて、横浜市保健所と言えば、子宮頸がんワクチン副反応問題でも注目された部署である。横浜市保健所は横浜市健康福祉局内に位置し、健康福祉局長と保健所長(医師)の二人が最終的な事業の決定権及び人事裁量権を持っている。

 

大口病院事件問題では、医療安全課が注目さているが、健康福祉局の一部署でしかなく、問題が起これば課長級は窓口で、判断、決定は局部長級である。

 

まず、この横浜市という地方行政のしくみ、体質等を理解しないと、今回の問題を含め、この局が発信する言動の真意は分らない。健康・福祉・医療など命に直結する事業を所管している局だけに しっかり視ていかなければ。

 

横浜市は、大々的に子宮頸がんワクチンを推進した自治体。本来、中立であるべき健康福祉局内公衆衛生医師の姿勢が、推進側に偏っていたと議会でも批判されてきた。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11947376019.html

 

さらに、子宮頸がんワクチン関連の製薬会社と部長級医師との利益相反問題も、議会で指摘されても回答せずうやむやにしてしまった。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-11729960101.html

 

また、70人以上の副反応被害者がいるのに、いち早く子宮頸がんワクチン副反応に関する救済をストップしてしまった。ストップして1年、国の救済は始まっていない。救済をストップしないで欲しいと被害者団体が訴えてきたが、耳をかさなかった。

http://www.sankei.com/region/news/151028/rgn1510280016-n1.html

 

一方、国の救済が始まらないので、他の自治体では救済を始めたり、継続したりしている。

http://www.sankei.com/region/news/160928/rgn1609280013-n1.html

 

さらに、横浜市立大学医学部ではワクチン推進派の医師を副反応相談窓口に配置させ、3年以上もまともに相談体制を機能させてこなかったとの声を患者側から伺う。

 

さて、9月30日の市長定例記者会見では、大口病院での異変を訴えたメールに対する医療安全課の対応について、多くの質問が記者から出されている。

http://www.city.yokohama.lg.jp/ex/mayor/interview/2016/160930.html

 

会見で市長は「今回の事件が発覚した時に報告を受けた」と回答している。また、医療法についても言及されている。

 

医療機関への立ち入り検査を理解する上で、平成25年8月30日に総務省から発信されている医療安全対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告は非常に役に立つ。

http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/77608.html

(資料:全体版参照)

 

全体版資料の6670ページに記載してある以下の点はきわめて重要である。

 

略ー保健所を設置する市の市長はー略ー、医療法第25第1項の規定より、必要があると認める時は、病院、-略ーの管理者に対し、必要な報告を命じ、当該地方公共団体の職員に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備又は診療録、助産禄、帳簿書類その他の物件と検査させることができるとされている。

 

さて、この記載によると、必要があれば病院の管理者に対し、報告を命じ、職員に立ち入り検査をさせることができるのは 市長である

 

今回の事例を検証する際、そもそも、事件発覚前に、異常な状況の報告が市長にあがるシステムがあったのか、なかったとすれば問題ではないだろうか。

 

また、この総務省の調査で、横浜市保健所も調査対象となっている。この調査では、立ち入り検査の検査内容が毎年変化せず、形骸化しているという批判もあり、単なる不備の指摘にとどまらず、具体的な改善策を提示する立ち入り検査の効果的な実施が勧告されている。

 

不備の指摘にとどまらない立ち入り検査、あるいは検査内容の重点化など大きな改善が認められている保健所の中に、横浜市保健所の名はない

 

また、市長会見で、横浜市医療局が医療事故等の対策をしっかりと対応しているという事務局の言及があるが、これは甚だ疑問である。

 

医療局の前衛である横浜市衛生局、病院経営局は、群馬大学医学部よりひどい内視鏡的血腫除去術の医療事故を1例目から指摘した横浜市立脳血管医療センターの脳卒中診療部を排除した歴史がある。

 

執刀医達は院内の倫理委員会に新しい手術方法(内視鏡手術)を行うことを通さなかった。インフォームドコンセントが不十分であった。執刀医達は経験がゼロだった。内視鏡手術に熟練した医師を助手としてつけなかった。

 

これは、日本内視鏡外科学会の認定した医師を助手としてつけて、最初の2例を行った群馬大学医学部よりひどい。裁判では手術ミスはなかったと、患者家族と争った。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12002018365.html

 

そして、今もなお、横浜市医療局には大きな問題がある。

http://ameblo.jp/shigeo-kanou/entry-12033487492.html

 

全国から注目を浴びている医療安全課の対応の再発予防が容易でない事は、横浜市立大学病院を含めた横浜市立の病院と医療行政に関わってきた横浜市衛生局、病院経営局、健康福祉局、医療局らの体質を十分考慮にいれて、横浜市医療安全の歴史を検証すれば明白な事だと思う。