横浜市のがん対策 その2 | 不可能をかのうにする かのう重雄 オフィシャルブログ「一つ、ひとつを重ねて」 Powered by Ameba

横浜市のがん対策 その2

横浜市のがん対策 その2

健康福祉局担当部長 木村博和医師の講義から 



5月30日、がん撲滅市会議員連盟の研修会が開催された。研修講師は、健康福祉局担当部長、木村博和医師である。部長はがん対策基本法が施行された平成19年度から健康福祉局保健事業課に配属され、今年で7年目だと伺っている。横浜市のがん対策を、担っている専門職である。


さて、がん対策基本法の13条には、がん検診の質の向上と早期発見が明記してある。受診率の向上だけが、対策基本法に示されたがん検診の対策ではない。

http://law.e-gov.go.jp/announce/H18HO098.html



対策基本法が施行された平成19年、新聞各社は対策基本法に関する記事をよく書いていた。当時、厚労省が前立腺がんの集団検診を推奨しないという指針案を出したということが報道された。


国立がんセンターの医師らを主任研究者とする研究班が、国内外の前立腺がんのPSA検査の有効性を調べるために、約2千に上る研究論文を検証し得た結果による指針案であると書いてあった。


PSA検査による死亡率の減少も明らかでないし、精密検査や治療における受診者への負担も無視できない理由からだという。また、10月29日の神奈川新聞では、この厚労省指針案受けての神奈川県内に広がる波紋の記事を掲載している。


このとき、横浜市の担当者は、「すでに何年も実施しており、早期発見につながっている」と成果を強調したと書いてあった。それから、6年以上経過しているが、横浜市は未だにPSA検査による前立腺がんの集団検査を実施し続けている。


平成20年、厚生労働省はがん検診事業評価の在り方についての報告書を出した。厚生労働省は通知あるいは報告書を公表するので、最近は横浜市行政に頼むこともせずに、容易に資料を検索することができる。


国が示す指針には前立腺がん検診は示されていない。さらに、37ページには各がん検診に関する事業評価指標としても目標値等の表が示されている。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/03/dl/s0301-4c.pdf



木村医師の示した資料には、国の示した事業評価指標が存在しない。だから、横浜市のがん検診事業の評価がどのレベルか、よくわからない。あるいは、がん撲滅市会議員連盟のメンバーなら、その指標ぐらい知っていて当然と思われているのかもしれないが。


さらに、平成24年に作成されたがん対策推進基本計画の24ページには、科学的根拠に基づくがん検診の実施についても十分でなく、国の指針以外のがん種の検診を実施している市町村と国の指針以外の検診項目を実施している市町村がそれぞれ1000を超えているとある。


その1000の一つの自治体が横浜市ということになる。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_keikaku02.pdf



また、示されたグラフにおいても、前立腺がんの死亡率が他のがんと比較し、大きく減少はなく、ほぼ横ばいである。


だから、今回の研修会において、木村医師に対して質問した。

 国の指針と違って、前立腺がんの検査をし続ける理由は?

 横浜市で、どれだけの割合で早期がんが見つかっているのか?など。


 に関しては個人の見解を述べ始めた。市民の税金を投入している事業に、個人の見解で判断されてもらっては困ると申し上げた。国内外の2000を超える研究以上の研究成果をお持ちなら納得はするが。


 そこまで、議員の先生方に示す必要もないと思い、今回は省いたとの回答。早期発見が大事と資料には示しておきながら、示さないのは非常におかしなことであると思ったので資料請求させていただいた。


横浜市のがん対策が、国のがん対策推進基本計画に沿って行ってきたのかどうか、今後確認していく必要があるだろう。


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