ITベンチャー企業の話ばかり書いて、書いてるほうもいささか飽きてきたので、ちょっと方向を変えてみます。

渋谷といえば、コギャル。
コギャルの代名詞ともなったルーズソックスの仕掛け人は、ブロンドール株式会社代表取締役社長 鴇田章(ときた・あきら)氏ということはあまり知られていない。

ルーズソックスの歴史は古く、1982年山本耀司さんと川久保玲さんのボロファッションが流行の兆しを見せたころ、アイデアマンの鴇田社長が、新宿の浮浪者たちの服装から着想。
ゴムが抜けてずるずるさせた靴下を作り「ルーズソックス」として売り出したのがはじまり。
その後10年ほどたって、アメリカの都市でエアロビクスがブームになり、ワーキングウーマンがエアロビクス用のソックスを通勤に履き始めたことを機に「日本でも流行るのでは」と商品化に力を入れたところ、目黒、渋谷の女子高生が目をつけ、1996年には60万足も売るヒット商品になった。
この商品が売られたのは、道玄坂にある109地下のソニープラザ。
「ソニープラザ」はおもしろくて、珍しくて、カッコイイものが揃う雑貨店としてスタートしていて、「109」の顔だった時代もあった。

「109」が完璧に「ギャル」の店となっていくなかで、「カリスマ店員」が生まれ、いまでも109のショップに働く女の子たちは、ティーンのファッション・リーダーの責を担っている。

ところで、109の服は安くて、「小さい」のが特徴。
一般の店で買ったら「7号」くらいのサイズのものが渋谷ではスタンダード・サイズだ。
町を歩いている女の子たちも、総じてスタイルがいい。
「昔はカラダに服を合わせたものだけれど、いまは服にカラダを合わせる時代」と、あるファッション・メーカーの人に聞いた。
ウエストが細い服にすれば、それだけ使用する生地が少なくてすむ。丈が短いのも同じ理由。
デブはそれだけ無駄が多いということになる。(ガクッ)
在庫を持たないために少量多品種にして、なおかつティーン雑誌とのタイアップなどによってブランド力を高める。

また、ユニークな経営スタイルのメーカーもある。
109を皮切りに、全国的に支店を作っているあるブランドの場合、20代の若い女の子を店長にしているが、ほぼ2ヶ月で配置地域が変わるという。
店長になる子は「いろんな地方に行けるのが楽しい」と、転勤を歓迎するという。
「若い子に現場を任せてみる」
そういった決断をする社長もまだ20代だったりする。

しかし、コギャルのファッション熱が高まると同時に、援助交際のメッカともなり、現在のセンター街では「合法麻薬」があちこちで売られたり、決して自慢できる街ではなくなったことも事実。