先日、ドラマ「白い巨塔」を全部見終わりました。

「沈まぬ太陽」「不毛地帯」が凄く面白かったので、
オペシーンが苦手な病院ものにも挑戦しましたが、
最後まで夢中になって観ました。

財前五郎(唐沢寿明)と里見脩二(江口洋介)という
二人の医者は、全く正反対の思考の持ち主だけど、
信念を持ち腹が括れていて、二人ともカッコ良かった。

財前は、次期教授の座を狙い、
実力も実績もあるのに、あらゆる手を尽くします。
里見は、患者を最優先に考え、
研究一筋で、権力闘争には参加しようとしません。
信念は人それぞれなので、
どちらが正しいという訳ではないのですが、
二人に共通しているのは、
一人で孤独に信念を貫いていてぶれない
ということです。

財前は、権力を手にする過程で、
賄賂、圧力、派閥工作、土下座、
パーティーや会合に出席したり、
実力も実績も備えているにも関わらず、
自分の手で確かなもにするべく
死力を尽くします。
里見は、自分が正しいと考える医者としての姿を
貫くために、職を失い、家族を犠牲にしています。
このドラマの家族が家を出ていくシーンを見たら、
誰でも心が揺らぐと思います。

自分が正しいと考えるたったひとつの信念を
貫くことさえ簡単ではないのです。

だからこそ腹を括り、信念を貫く人は強いです。
世間で成功したと言われる人の多くは、
それを持ち合わせているように思います。

ところが、財前は最後に躓きました。
どうしてでしょうか?


病院ではなく、私はビジネスの世界でも
似たような現象を幾度と無く見てきたのですが、

腹がスパッと括れてて、信念が揺らがない人は強い

しかし、モラルが無いと最後には全て失う


これではないかと思います。

経営者は、きれいごとばかり言っている人、
自分だけ清廉潔白ぶっている人、
清濁あわせ飲めない人はダメだと思います。

しかし、これを勝手に拡大解釈していけば、
今度は逆にモラルが無さ過ぎるという状態に
陥る人も結構います。
それが権力を手にした後では、周囲で
それを厳しく指摘できる人も少ないです。

地位や名誉を手にするにはきれいごとばかり
も言ってられなくて、
実際に手にした後にモラルを高く保ち続けることが、
意外なほど難しいのかも知れませんが、
実はそれこそが落とし穴ではないでしょうか。