青山の恐怖 ヤクルト職員が応急手当て…歩道にタクシー
http://news.infoseek.co.jp/article/20161207hochi062/
事故の様子    スポーツ報知 / 2016年12月7日 8時0分
http://media.image.infoseek.co.jp/isnews/pc/img/icon_photo_zoom-1.0.png
東京都港区の南青山三丁目交差点付近で6日午前8時40分頃、タクシーや乗用車などの玉突き事故が発生し、歩道に乗り上げたタクシーが歩行者や自転車を巻き込んで男女4人が重軽傷を負った。通勤時間で人通りが多く騒然となった現場には、付近の球団事務所に出勤する途中だったプロ野球・ヤクルトの男性職員(46)が居合わせ、負傷者に対して懸命の応急手当てを行った。

株式会社ヤクルト球団総務部課長の高橋伸也さんは、事故直後の緊迫した現場の様子を神妙な表情で振り返った。

「(騒然となっていて)何かがおかしいと思ったので、見てみると車道でおばあさんがあおむけに倒れていました。近くにはグシャグシャになった自転車があって。近寄ると頭から血が流れて止まらなくて、路面には2メートルくらい流れていたので、とにかく意識が飛ばないように『頑張って!』『もうすぐ救急車が来るからね!』と声を掛けました」

以前に「応急手当普及員」の資格を取得し、救急時の声掛けの重要性を理解していた高橋さんだからこその行動だった。

事故は、高級商業施設が立ち並ぶ東京・青山の国道246号(青山通り)と外苑西通りが交わる南青山三丁目交差点の付近で発生した。警視庁によると、右折帯も含めて3車線ある外苑西通りを交差点に向かって南下していたタクシーが乗客を降ろした後、左側車線から一気に右折帯に車体を移そうとした際に後方の乗用車に追突された。

追突された勢いのまま、タクシーは前方で信号待ちしていたバイクや軽自動車にぶつかった後、歩道に乗り上げ、自転車に乗っていた女性(80)や歩行者の50代男性を巻き込んだ。女性は頭を打つなどして意識不明の重体。タクシーを運転していた60代の男性運転手も一時意識不明となった。

発生当時、わずか80メートル先のビル内にある球団事務所に向けて出勤途中だった高橋さんは、最も症状の重そうな女性に対応。応急手当普及員の資格を取得していたため、心臓マッサージなどの心肺蘇生法にも覚えがあったが、偶然にも現場には医師も居合わせたため、最も重要とされる一次救命処置の「声掛け」に専念した。「目は開けてくれましたが、口は閉じたままで声が出ていなかったので、5分くらい声を掛け続けました」

女性は現在、意識不明の重体で予断を許さない状態が続いている。高橋さんは「なんとか助かってほしいです」と切なる願いを口にした。