宇宙の銀河の中には、巨大なブラックホールの影響で、星の材料となるガスが冷やされず、星が生まれない原因になっているものもあるとの研究結果 を、東京大カブリ数物連携宇宙研究機構(IPMU)などの国際共同研究チームが発表した。26日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載した。


 星は水素などのガスが冷やされ、互いの重力で次第に集まって形成される。しかし銀河の中にはこうしたガスが多く存在するにもかかわらず、新しい星が少ないものもあり、天文学者の間で謎とされてきた。


 チームは、地球から約3億光年離れた隣接する二つの銀河について、国際的な評価を受ける人気漫画家の大友克洋さんの作品「AKIRA」や、その登場人物から「アキラ」「テツオ」と命名。米ニューメキシコ州にある望遠鏡に新しい機器を取り付け、二つの銀河を観測した。


 その結果、アキラの重力で、テツオのガスがアキラの中心部にある巨大ブラックホールに引き込まれ、その際にブラックホール 周辺のガスが外側に向かって高速で広がる「風」が生じて銀河内のガスが熱せられていることを確認。それによって星の形成が妨げられていることが分かったと いう。【須田桃子】