遠征二日目の昼食は“寿司好き人間”として、一度は訪れてみたかった江戸前寿司の老舗にお邪魔しました。
浅草駅の近くに店を構える『弁天山 美家古寿司
』さん。
江戸前寿司の原型を一番色濃く引き継いでいると言われる名店です。
予約していましたので、カウンターに通してくださいました。
非常に天気が良く、動物園で汗をかきましたので、ビールで喉を潤して《お通し》をパクり。
今回は握り12貫と《小づけ丼》がセットになった〔鬼灯(ほおずき)〕コースをお願いしました。
【真鯛・鮃の昆布〆】
シャリは小ぶりで、ちょうどいいサイズ。
すっきりした味わいで、酢はあまり強くないですね。
真鯛は皮をつけてあり、厚めに切ってあります。
この厚みがジャストで、しっかりした旨味を堪能できます。
一方、今までいろいろなお店で〈鮃の昆布〆〉をいただいていますが、一番上品に仕上がっていて、鮃の味わいが引き出されています。
いきなり美味いです。
【カジキのづけ・赤貝】
いやー、生の《カジキ》って初めて食べます。
しかもカジキを〈づけ〉にするとは驚き。
こちらのお店では“カジキの昆布〆”がよく知られていますが、この日は〈づけ〉にしたものを出してくださいました。
鮪とは違う歯に絡みつくような個性的な食感。
〈づけダレ〉に漬け過ぎないことで、カジキの美味さもタレの味わいも良い具合にマッチしています。
何貫でも食べられる気がしますよ。
《赤貝》も美味いなぁ。
北海道では質の高い赤貝はなかなか口にできないですからね。
透明感のある磯の風味と、コリコリの歯応えがGOOD!
【北寄貝・小肌】
北海道民なので《北寄貝》はよく口にします。
しかし、正直驚きました。
こんなにスッキリと旨味を感じられるホッキは初めて。
ホッキって刺身で食べると、わずかにクセがあるんですよ。
でも、この握りにはそのクセが全くありません。
何か特別な仕事をしているのかな。
海の旨味と甘味がストレートに味わえます。
《小肌》は楽しみにしていた一貫。
想像していたよりも酢の加減がライトですね。
まあ、小肌の状態をみて仕事される訳ですから、毎回加減は違うと思います(笑)。
ぶっちゃけ、まぢ美味いッス。
【車海老・鯵】
僕の大好きな《車海老》。
なんと、〈甘酢〉に潜らせて最後の仕上げをしています。
軽い甘味&酸味が車海老の美味しさを引き立てておりますよ。
シャリとの間に噛ませた〈おぼろ〉がまた良いんだなぁ。
で、驚いたのが《鯵》。
まず、握り方が独特。
しかも脂乗りが良い鯵なのに、実にすっきりした味わい。
鯵特有の青味が無く、美味しさだけが感じられます。
サッと“酢洗い”してるのかな?
こんなに美味しい鯵の握りは初めてです。
【煮烏賊・穴子の爽煮】
両方とも正に江戸前の握りですね。
《煮烏賊》、めちゃくちゃ歯切れが良いです。
おまけに火が入ることで、旨味がUP。
上から塗られている〈ツメ〉がまた美味いのなんの。
《穴子の爽煮》は初。
まず色が“白い”のにビックリ。
で、適度な歯応えがあるんですよ。
ご主人:「穴子をサッと爽やかに煮るから“爽煮”と言います(^-^)。」
一般的な穴子の握りとは別物。
穴子好きとしては、是非また食べたいです。
【玉子・中トロ】
鞍掛の玉子。
江戸前ならではのお寿司ですね。
フワッとした食感とやさしい甘味…。
超ラヴ。
ご主人:「この後、鮪のづけをお出ししますので、今回は中トロをご用意しました。」
正直、中トロのイメージが変わりました。
とにかくきれいな味がするんですよ。
当然ですが、まぢ美味い!
脂と赤身の味わいのバランスが素晴らしく、えもいわれぬ舌触りが最高です。
たぶん熟成期間が完璧なんでしょうね。
これも何貫でも食べられちゃいます。
【小づけ丼】
《小づけ丼》、前から食べてみたかったんです。
海苔とミョウガがたっぷりで、主役の〈鮪のづけ〉もたっぷり。
見た目からして美味しそう。
赤身特有の薫りと酸味がきっちりしていて、薬味類との相性も良いですね。
コース終わりの一杯なのに大きな丼で食べたい気分。
東京を代表する老舗の一つですが、肩肘張らずに食事ができることに感激しました。
そして江戸前仕事の素晴らしさと美味しさにKOです。
ご主人のやさしい語り口も素敵。
できることなら、また伺って食事したいと思います。