結局、長くなったので一冊ずつ紹介することになりました。
実は昨日、まとめて四冊紹介しようとして挫折しまして、三つに分けて掲載。
相変わらず夏休みの宿題のようなことをしています。
さて、今日紹介するのは、『ジェーンとキツネとわたし』です。
実は、学校で軽いいじめにあっている子が主人公です。重い話で100ページ近くもあります。
好き嫌いが別れる本とは思いますが、一度は目を通してほしい一冊です。
発言力のあるジュヌヴィエーヴに目をつけられたせいでいつの間にか友達がいなくなり、学校で居場所がないエレーヌ。 『太ってる』とか、『くさい』とか、毎日陰口を耳にしたりいたずら書きで見つけたりするうちに、自分はソーセージのように太っていて醜いと思うようになります。
そんな彼女が偶然手にした本が『ジェーン・エア』。
少しずつ読み進めているうちに自分とジェーンを重ね合わせ、色々想像するようになりました。
寄宿学校でみじめな日々を暮らしたジェーン、地味な服に身を固め、やせっぽちだけど知的なジェーン…。
ところが夏休みも目前のある日、学校から四日間の野外合宿を宣言されます。行きたくないけれど、自分と弟たちのために一生懸命働いてくれている母にいじめられていることを 言えず、惨めな気持ちを抱えたまま参加。
やはり居心地の悪さは変わらず、更にジュヌヴィエーヴとその仲間にひどい扱いを受け、悲しい思いをしま す。
ところでこの絵本は挿絵に趣向が凝らされていて、エレーヌの世界がモノトーンで漫画交じりのコマ割り形式、ジェーン・エアの話になるとフルカラー画と、なかなか面白い仕上がりになっています。
うつうつと続くモノトーンしかないエレーヌの世界にまず飛び込んできたのはキツネ。
赤茶色で、なんだか優しい表情を浮かべ、まるでそこだけぱっと花が咲いたよう。
しかし、キツネはあっという間に去っていきました。
打ちひしがれてうつむくエレーヌ。
しんと静まり返ったはみ出し者ばかりのテントは、ますます重い空気になりました。
そこへいきなり、青い瞳の少女が「ここで寝かせて」と笑いながら飛び込んできます。きらきらと光る言葉を携えて。
からかわれているエレーヌを人垣の向こうから心配そうに見ていたジェラルディーヌ。
向き合い話しているうちに、テントの中は和やかな空気に包まれます。
久々にエレーヌは笑い、冗談を口にするのでした。
悲しいことだけど、人と人が関わりを持つ限り、優しいだけの世界なんてどこにもないと思います。とくに学校という狭い世界で成長期真っただ中の子供たちは、心と体の変化についていけず混乱して傷つけあうこともあるでしょう。
『わたしは気がつきはじめていたのだ
自分が気にしなければ、
悪口は悪口でなくなっていくと。』
必ずしもエレーヌのような結末を迎えられるとは限りません。
ですが、モノトーンの世界に少しずつでも色を添えられるのは自分自身の力だと教えてくれる絵本です。
実は昨日、まとめて四冊紹介しようとして挫折しまして、三つに分けて掲載。
相変わらず夏休みの宿題のようなことをしています。
さて、今日紹介するのは、『ジェーンとキツネとわたし』です。
- ジェーンとキツネとわたし/西村書店
- ¥2,376
- Amazon.co.jp
実は、学校で軽いいじめにあっている子が主人公です。重い話で100ページ近くもあります。
好き嫌いが別れる本とは思いますが、一度は目を通してほしい一冊です。
発言力のあるジュヌヴィエーヴに目をつけられたせいでいつの間にか友達がいなくなり、学校で居場所がないエレーヌ。 『太ってる』とか、『くさい』とか、毎日陰口を耳にしたりいたずら書きで見つけたりするうちに、自分はソーセージのように太っていて醜いと思うようになります。
そんな彼女が偶然手にした本が『ジェーン・エア』。
少しずつ読み進めているうちに自分とジェーンを重ね合わせ、色々想像するようになりました。
寄宿学校でみじめな日々を暮らしたジェーン、地味な服に身を固め、やせっぽちだけど知的なジェーン…。
ところが夏休みも目前のある日、学校から四日間の野外合宿を宣言されます。行きたくないけれど、自分と弟たちのために一生懸命働いてくれている母にいじめられていることを 言えず、惨めな気持ちを抱えたまま参加。
やはり居心地の悪さは変わらず、更にジュヌヴィエーヴとその仲間にひどい扱いを受け、悲しい思いをしま す。
ところでこの絵本は挿絵に趣向が凝らされていて、エレーヌの世界がモノトーンで漫画交じりのコマ割り形式、ジェーン・エアの話になるとフルカラー画と、なかなか面白い仕上がりになっています。
うつうつと続くモノトーンしかないエレーヌの世界にまず飛び込んできたのはキツネ。
赤茶色で、なんだか優しい表情を浮かべ、まるでそこだけぱっと花が咲いたよう。
しかし、キツネはあっという間に去っていきました。
打ちひしがれてうつむくエレーヌ。
しんと静まり返ったはみ出し者ばかりのテントは、ますます重い空気になりました。
そこへいきなり、青い瞳の少女が「ここで寝かせて」と笑いながら飛び込んできます。きらきらと光る言葉を携えて。
からかわれているエレーヌを人垣の向こうから心配そうに見ていたジェラルディーヌ。
向き合い話しているうちに、テントの中は和やかな空気に包まれます。
久々にエレーヌは笑い、冗談を口にするのでした。
悲しいことだけど、人と人が関わりを持つ限り、優しいだけの世界なんてどこにもないと思います。とくに学校という狭い世界で成長期真っただ中の子供たちは、心と体の変化についていけず混乱して傷つけあうこともあるでしょう。
『わたしは気がつきはじめていたのだ
自分が気にしなければ、
悪口は悪口でなくなっていくと。』
必ずしもエレーヌのような結末を迎えられるとは限りません。
ですが、モノトーンの世界に少しずつでも色を添えられるのは自分自身の力だと教えてくれる絵本です。