ジカウイルス(寨卡病毒)によるジカ熱が中南米で流行しています。
妊婦が感染することで、新生児の小頭症が起こりうる病気です。
この病気は蚊によってうつります。ジカウイルスはアフリカのジカという地域で1947年に発見されました。
現在の南米での流行は遺伝子組み換えされた蚊の影響でないかという説もあり、ちょっと怖いです(この説はにわかに信用できませんが)。
今は冬ですから、さすがに蚊はほとんど見られませんが、上海は蚊が多いので気になります。
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○ジカ熱の症状
ジカ熱患者さんの皮膚の発疹(写真1)と結膜充血(写真2)
写真は国立国際医療研究センター国際感染症センターのHPから引用。以下の記事もこちらを参考にしています。
ジカ熱の症状は蚊に刺されてから2~7日後に発症し、微熱、頭痛、関節痛、皮疹(上記写真1)と眼球結膜充血(写真2)、目の奥の痛みなどがみられます。鼻水、腹痛、下痢などは普通おきません。
ジカ熱が成人で重症化することはほとんどありません。またウイルスに感染しても8割の人は発症に至りません。
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○胎児の小頭症
妊婦がジカウイルスに感染すると胎児の小頭症(脳の発育が不良になる)の発症リスクが高まるようです。
この絵で上が小頭症。下は正常。アメリカCDCのHPから。
なお、小頭症のすべての原因がジカ熱ということではありません。
なぜ小頭症がおこるのか、発症のメカニズムはまだわかっていません。興味のある方はアメリカCDCのHPを見てください(英語)。
少なくとも妊婦さんはこれから中南米に渡航することは避けるべきです。
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○中国、日本でのジカ熱発生
中国大陸での発生は報道によると2016年1月29日までで、まだないそうです。…ただちゃんと調べられていないだけなのかもしれません。
追記(2月10日)→2月9日、当局が、ベネズエラから中国に帰国した男性をジカ熱(ジカウイルス感染)第1例として発表しました。このことはこちらの記事を参照。
一方、台湾では2016年1月19日に第1例目の患者さんが確認されました。この患者さんはタイから空路台湾に入り、空港でチェックされたそうです。台湾衛生福利部の発表はこちら。台湾で出ていれば中国本土で見つかっても不思議はないですね。
日本ではいままでに3例の発生があります。すべて外国で感染して日本に帰国し発症した患者さんです。感染した場所は、2例ではボラボラ島(フランス領ポリネシア)、1例はサムイ島(タイ)です。この症例についての国際感染症センターのHPはこちら。
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現時点で上海での流行はありません。神経質になる必要もありませんし、妊婦を除くと感染してもあまり恐れる病気ではないようです。
ただし、かつての日本の公園でのデング熱の発生のように、いままで認めなかった地域でのジカ熱集団発生は起こりえます。当然、今後中国でも感染者がみつかるでしょう。
したがって今後蚊の増える季節になったら、蚊に刺されるのを防ぐ(着衣の工夫や防虫剤使用)、可能なら蚊の発生しやすい水溜りを減らす、窓の開閉に注意するなどの対策をとるべきですね。これはデング熱、日本脳炎の対策としても有用です。

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