■【アイドルの育て方】温室栽培と雑草 | たかみゆきひさオフィシャルブログ「shadowcube」Powered by Ameba

■【アイドルの育て方】温室栽培と雑草

先月のイベント「アイドル様万歳」でちょこっと触れたけど、結構重要なので書いておこうかと思ったり。


イベントではわかりやすくハロプロとAKB48で話したと思うけど、
タレントの育て方としては大きく分けて2パターンある。

ハロプロは温室栽培で
AKBは雑草的

「温室栽培」も「雑草」もなにやらマイナスな表現に感じるかもしれないけど、僕の中では褒め言葉なので、ご容赦を(^^;)


地下アイドルと呼ばれるカテゴリの人たちも雑草的ですね。
もしかしたら今のアイドルだと温室栽培なのはハロプロくらいかもしれない。

昔は温室栽培は多かったんだけど。



さて

温室栽培って言うのは王道的できちんとしてます。
読んで字のごとく「温室栽培」ですから、「温室」…つまり、育てる基盤がきちんと組まれていて、
計画栽培がなされるわけです。
これにより生まれ育つタレントは比較的「いい子ちゃん」です。
品質管理も行われるので、歌やダンスも一定の水準を保っていることが多いです。
挨拶もしっかりしてたりなど、人として普通に「いい子ですね~」って感じ。
そしてお約束事も多い。


一方、雑草的な方はどうかというと、
レッスンが組まれていたりなど、共通の所はあるにせよ、
基本的には雑草のごとくいろいろな障害に対して切磋琢磨して育っていく。
よって強い子が育つ。
自由気ままなところが多々あり。
そのため個性も伸びる。


それぞれのメリットデメリットでいうと
温室栽培は質の良いタレントが育つので安心して見ていられる。
ただし、温室で育つので、いわゆる「箱入り娘」になりがち。
外界を知らないので、何かあって「枠」の外に出てしまうと対応できないことが多い。
費用もかかるので、大手や資金力があるところじゃないと難しい。
雑草的な方はそれぞれの頑張りにかなり依存するから質の善し悪しの差が多く、歌やダンスの差が顕著に出る。
あんまり「いい子」じゃない率も上がり、問題を起こす確率も高い。
ただし、その分面白い子は突出して面白かったり、切磋琢磨して育っているので何かあった時の適応能力が高くなる。

この二つにはそれぞれに長所と短所がある。
そして長所がマイナス要素だったり、短所がプラス要素だったりもする。


テレビ局に例えれば
ハロプロはNHK、
AKB48は民放キー局で地下アイドルは地方TV局…というよりネット配信の独立系といったところか。

大事なのはそれぞれにはそれぞれの存在意義があって、NHKはNHKで必要だし、民放は民放で必要。ネットTVもまたしかり。
それぞれがそれぞれの「枠」の中できちんと進んで行くことが肝要。
簡単に言っちゃうとハロプロがAKBみたいなことやってもダメだし、その逆もダメ。
ただ、それぞれにヒントはあるので、それを送り手である大人がきちんと「わかって」自分の枠の中に採り入れていくことで面白さが出てくる。
そのさじ加減はかなり難しい。
最近のNHKが面白いのと同じ(ってちょっとわかりにくいか)。

AKB48は大手な分、温室栽培の良いところを採り入れつつ雑草的に育っているのでいろんな意味でパワーが凄いと思う。


また、温室栽培で育ったタレントは前述のように外界を知らず、外界に対する適応能力が低いので不用意に外界に出ないことが大事だ。
安易に外に出てしまうと外界に適応できずにタレント生命が終わってしまいかねない。
「温室」というのはある意味守られた空間なのだ。
例えばハロプロはプロダクションの中ではタレントを育てる環境がかなりきちんとしてる方だと思う。
タレントからしてみればとても恵まれた環境で芸能活動を送ることが出来る。
ただし、それは結果として「ぬるま湯」になる局面も持ち合わせている。
ハロプロをやめて他のプロダクションに移籍した人は割と「あれ、こんなはずじゃ」と思うかも知れない。
でも、それが普通のプロダクションの現状だ。


話を戻して
かくいう自分はどうかというと、原則として雑草主義(笑)。
とは言え、タレントっていうのは本当の雑草のように勝手に育っていく訳ではない。
芸能界は厳しいから、その厳しさを教えながら育てないと何かあった時に不幸なことが起きる。

話はちょっとそれるが、
自分の子供が歩くか歩かないかの時、転びそうになっても僕は助けたりはしない。
むやみに助けてしまうと転び方を知らない子に育ってしまい、将来手をついただけで骨折するような子になり兼ねない。
また、創作力が損なわれるからおもちゃの遊び方も適度に教えない。

同様に自分の育てるタレントも必ず自分で色々なことに対処できるように考えさせる。
この「自分で考えさせること」がとても重要かつ難しいポイント。
どう考えさせるかは我々が的確に指導しなければならない。
ここは育てる上での肝。
普通のプロダクションの考え方だと、タレントにむやみに知恵をつけさせると危険なので、そういうのは避ける方向になりがち。
でも、タレントを育てるということは性能を上げていくと言うことなので、知恵もきちんとつけさせてあげるべき。
だから、僕は自分で考えられる子になるように育てる。
うちの子たちってみんなトークが上手いと思うけど、そういうのも自分で考えられるように育てた結果だ。
大手じゃないから大したことはできないけど、コツコツと丁寧に積み上げていくことでみんながきちんと結果を出している。
だから、それを大事にして進めて行きます。


資本主義な世の中だから売上を立てていかないとダメなワケだけど、
でも売上に走ると大切な何かを失いがちになる。
お金も大事かもしれないけど、エンタテインメントなんだから守るべき「何か」を失ってしまっては本末転倒。

そんな犠牲にならないように、僕ら送り手はタレントを育てていかないといけないと思う。



なーんて事を考える小倉唯の誕生日前夜ですた