Baiafro/Djalma Corrêa | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 これは心底疲れて果てた時にお世話になっている音盤。身も心もクタクタになっているときに取り出し針を落とすと、あら不思議、いつの間にか張りつめたモノが和んで力が漲ってしまう魔法の音盤なのである。Djalma Corrêaは現代Brazilを代表するMinas Gerais出身の打楽器奏者/Composerの一人。Universidade Federal dBahia (UFBA:バイーア連邦大学)で作曲とPercussionの正式な音楽教育を受けている。そこでCorrêaの師となった方々が凄すぎる。Swiss生まれでBrazilに移住しCaetano VelosoGilberto GilTom ZéらのTropicaliaの中心となる音楽家に多大な影響を与えた現代音楽家であり彫刻家、作家でもあったWalter SmetakとドイツからBrazilに移住した十二音技法と無調主義を唱える作曲家Hans-Joachim Koellreutterという偉大な二人なのである。Djalma CorrêaはGrupo Baiafro In Bahiaの一員としてThe New Dave Pike Setと共演し72年の名盤『Salomao』で素晴らしいPercussionを披露している他、Caetanoの『Jóia』やGilberto GilやJorge Benのアルバムにも参加している。バンドの一員としてGilberto Gilと78年のMontreux Jazz Festivalで共演したDjalma Corrêa は、世界を演奏してまわり多くの音楽家と共演した。何と日本にも来ているという。Paulo Mouraや女性SingerのZezé Motta、ベース奏者Jorge Degasと共演したPaulo Moura/Zezé Motta/Djalma Corrêa/Jorge Degasの88年作『Quarteto Negro』も素晴らしいアルバムであった。さて、本盤はそんなAcademicな教育を受けてきたCorrêaがBrazil先住民のIndioとAfro-BrazilのルーツAfricaとBahiaとの繋がりを探求すべくField Recordingを敢行し、太古から現代まで語り継がれているBahiaのRhythmと呪術的なChorusや詩をまるで目の前で人々が歌い踊っているかのような臨場感で聴き手に伝える。

 『Baiafro』はDjalma Corrêa78年にリリースしたアルバム。BrazilのPhilipsがBrazilの有能なMusicianに世界への門出を開いたシリーズ"MPBC (Musica Popular Brazileira Contemporanea)" の中の一枚。本作は驚くべきことに『ジャルマ・コレア~バイアの轟き』というタイトルで日本盤も出ていたという。
アルバムはいきなりField RecordingHomenagem A Um ìndio Conhecido”で始まる。バックから様々な種類の鳥たちのさえずりが聞こえてくる中、Bahia先住民の老人が語り、遥か昔から伝わる歌を口ずさむ。鳥のさえずりも同調して自然に溶け込み切った風景に思わず和んでしまう。、
素朴な男女混声ChorusPercussionの響きに疲れ果てた心が癒されていく"Samba De Roda Na Capoeira”。なんとう生命感に満ち溢れた音楽なのであろうか。
Baiafro”は自然に身体が動き出してしまうようなPercussionに
Samba De Ousadia”はQuicaとTamborが会話するかのように
Percussionと琴の音のような音にViolãoが絡む“Banjilógrafo”。
B面頭の12分以上の“Os Quatros Elementos ”は4つのPartから成る。鳥のさえずりをバックにさまざまな笛の音がPrimitiveなPercusionとともに響き渡る。自然の要素である水と土と風、そして火をThemeにし、精霊が宿るという自然と対話するかのように音楽を奏でていく
水をThemeにした“Água/Oxum”は川のせせらぎが聴こえてくる中、素朴な旋律を紡ぎ出す笛の音とPercussionがが鳴り響く。
土をThemeにしたTerra Oxossi”は小鳥のさえずりをバックに呪術的な音色と旋律の笛が精霊と会話しているようだ。
風をThemeにしたAr/Yansã”。Primitiveな笛の音とPercussionとかけ声に、自然の中に佇んでいるかのようなTrip感が起きる。
火をThemeにしたFogo/Xangô”は火を炊く音と雷をバックに自然の息づかいに耳を傾け民族楽器で対話するCorrêaの真摯な姿勢が伝わってくる。
Piano De Cuia”はMinimalなKalimba(Thumb Piano)のような響きに耳を奪われる。
最後を飾るのは“Tudo Madeira”。生命感に満ちたBalafonTamboresが鳴り響き、PrimitiveなFluteの音色に身体中の疲れが吹き飛び元気が湧いてくる。
(Hit-C Fiore)