In Concert/Michal Urbaniak Consellaction | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Polandが生んだ鬼才Michal UrbaniakMiles Davisの『Tutu』に1曲のみながらViolinで参加したことでその名を知った人もいるかもしれない。Electric Miles以降のジャンルの垣根を飛び越えたFreeで緊張感の高いJazzは世界各国で先進的なJazz Musicianによって独自の進化をとげていった。より米国のR&B/Funkに傾倒したサウンドに東欧の民族音楽欧州Jazz Rockの香りを少々加えた音楽を70年代に創り上げたUrbanik。個性的で優れたViolin奏者として、また有能なComposerとして知られたUrbaniakであるが、62年から2年間在籍したKrzysztof KomedaのQuintetやRolf Kühn QuintettではTenorとSoparno Saxを演奏していた。Urbaniakといえば、自分が最初に出会ったのは、Urbanikが70年代に渡米後、結成したFusionと名付けられたグループによるJazz Funk色の強いアルバム。それらを聴いてすぐに気に入った自分は、UrbanikのPoland時代の音源もどんどん聴き漁って、その魅力に惹かれていった。妻である超絶Scat姐御Urszula Dudziakとの絶妙のコンビでPolandや米国のMusician達と創り上げていったJazz Rockは本当に素晴らしい。Urszulaが参加したMichal Urbaniak GroupからMichal Urbaniak Consellactionという名前になってリリースした本盤。Poland界屈指のタカシコ系ドラマーCzesław Bartkowskiに鍵盤奏者はベースも担当するエレピ奏者のAdam Makowiczに、HammondFarfisaのOrgan担当のWojciech Karolak。渡米後のアルバムとはまた違ったExperimentalで東欧独特の混沌ExoticPastoralな部分が同居したところが、この時代のUrbanikの魅力である。後の洗練された音とは異なり、ひたすら自分たち独自の新しい何かを求めて懸命にもがいているようでもある。荒々しくも先鋭的でスリリングな部分が顔を出した時は思わずハッとしてしまう。この時代のJazzからさらなる新しい世界を切り開こうと切磋琢磨していた東欧の音楽家たちの息吹が感じられるところが素晴らしい。

 『In Concert』はMichal Urbaniak Consellaction73年にリリースしたLive盤
アルバム1発目は“Bengal”。UrbaniakのViolin東欧的哀感のある旋律を奏でる静かな幕開けから演奏は次第に熱を帯びていく。醒めた炎のような演奏にUrszula DudziakScatが絡む。ViolinのソロやAdam MakowiczエレピソロElectric Miles以降の自由度の高いものだが、東欧らしい独特の緊張感が良い。後半はEffectを使用したUrszulaの EccentricなScat自由奔放暴走していくところが面白い。良い意味でバタバタした感じが印象的なCzesław Bartkowskiのドラムソロもカッコイイ。最後はWojciech KarolakのOrganが浮遊する。
Spokój”はViolinとエレピが浮遊感のある神秘的な空間を作り出し、Urszula姐さんの妖しいScatが暴れまくる。
MakowiczのAbstractなエレピソロから始まる“Lato”。静かな始まり方から唐突に登場するUrszulaのScatやバックのスリリングなキメを挟みながらバンドのEnsembleは変幻自在にあっちやこっちの世界を行き来する。Coolな演奏ながら時折顔を出す激しく燃えるような情念の炎はこの時代の彼ら独特の緊張感に満ちている。
Seresta”はTempoを落としながらも激カッコイイBartkowskiのドラミングののってKarolakのOrganやMakowiczのエレピがソロをとり、例によってUrszulaのScatが幾分抑え気味ながら炸裂。UrbanikのViolinは控えめだが、バンドが一体となった音が気持ち良い。
アルバム最後は“Theme”は穏やかな表情をみせるような演奏をバックにUrbanikのViolinが美しい旋律を奏でていく。