Heart Of The Congos/The Congos | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 梅雨が終わって爽やかな夏の幕開けかと思ったら酷暑が待っていた。ま、自然現象には逆らえないわけで、それなら、それなりに対応した夏の過ごし方で日々を送るしかないだろう。とりあえず毎年、快適な夏を過ごすのに大活躍してきた、この音盤でも聴きながら妙案でも考えるとしよう。と、思ったら気持ち良くなって、どうでもよくなってきたわけだが。さて、仕事を放り出して海にでも行ってみようか。
 The CongosLee Perryと組んだアルバム『Heart Of The Congos』は、いうまでもなく傑作である。Cedric MytonRoydel JohnsonによるVocal Duoとして出発した彼らに、Perryの推薦により後にWatty Burnettが加わって本盤は生まれた。当時のPerryの才気走ったStudio Workにより、次から次にInnovativeな作品がBlack Arkで誕生していく正に黄金期に本盤が生み出された。当時Black ArkにたむろっていたThe HeptonesBarry LLewellynEarl MorganGregory IsaacsThe Meditationsのメンバーも本盤には参加しているらしい。楽曲の良さ、Sound Production、歌と演奏、Arrangements、これらが全て理想的な状態で噛み合い、本作は歴史に名を残すことになった。確かに、この時期のPerryの仕事は伝説的なくらい、独創性の高い、芸術的なものだ。だが、Black Arkから登場した数々の先鋭的な名作の中でも、ひときわSoulfulな和みを感じさせ、快感指数が徐々に上がっていく本盤の魅力は声の魅力と楽曲の良さも十分に貢献しているだろう。Black Ark特有の空気感と、音色、Vocal TrioのHarmonyの妙は、この出会いの一瞬でしか生まれ得ない奇跡的なAtmosphereを生み出している。

 『Heart Of The Congos』はThe Congos77年Black Arkに残した奇蹟のデビュー・アルバム。大好きなギターのErnest Ranglin、ベースのBoris GardinerSly Dunberのドラムス。Winston WrightのOrganにKeith StarlingのPiano。もう最高に気持ち良い演奏としか言いようがないのである。
オープニングの“Fisherman”を聴いた瞬間から昇天。美しいChorusと斬新なサウンドもさることながら、何回も繰り返すけれど楽曲も良いのが本盤の魅力。
FalsettoのMytonとTenorのJohnson、BaritoneのBurnettと、それぞれ声に個性を持った3人が織り成す絶妙のHarmonyがPerryの
創造性に満ちたSound Productionにのるという典型的なナンバー“Congoman”。
ピアノの“Open Up The Gate”は押し寄せる波のような哀愁のChorusが沁みますなぁ。
思わず「Jah Jah」と一緒に口ずさみたくなるChildren Crying”。こりゃ、波の上にゆったり浮かんで真っ青な空と白い雲をのんびり眺めている感じ。
ゆったりしたRhythmに身体を任せて、ただひたすら快感に酔いしれる“La La Bam-Bam”。穏やかに語りかけるようなVocal、ギターも気持ち良くツボを突きまくり。
PercussionとFalsettoが、これまた美味いこと仕事している“Can't Come In”。もうこんなの聴いたら、完全に自分の仕事放棄ですな。
イントロのChorusから天国気分の“Sodom & Gomorrow”。サウンドも、楽曲やアレンジも最高。そして心に沁みる歌。それが、このアルバムが万人から長く愛され続けている理由。
The Wrong Thing”はMytonのご機嫌なFalsetto Voiceで歌われるSoulfulなナンバー。
Minor Chordに哀愁のメロディーが日本人の琴線に触れる“Ark Of Covenant”。Space Echoがより奥行きのある幻想的な空間を作り出す。
最後をシメるのは“Solid Foundation”。爽やかな青空を突き抜けていくかのようなFalsetto Vocalと、寄り添うようなChorusで気分は最高。
(Hit-C Fiore)