Rogue Element/Soft Head(Hopper/Dean/Gowen/Sheen) | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 Alan Gowenは大好きな鍵盤奏者だ。Dave StewartDave SinclairMike Ratledge、そしてこれまた大好きなSteve MillerといったCanterburyの才能溢れる個性的な鍵盤奏者の中でも、とりわけGowenに魅かれてしまうのはなぜだろう。Gowenのエレピを主体にしたプレイもさることながら、何よりもその作曲・アレンジ能力が自分好みなのかもしれない。例えばDave Sinclairのあの英国の曇り空を思わせるような歪んだオルガンの音がCanterburyそのものだとするなら、GowenのComposition、独特の世界観を持つ感性もまた、いかにもCanterburyらしいものなのである。GilgameshNatinal HealthでのGowenのJazzやRockといったジャンルを超越した独自性を目指す彼らの志向は、そのセンスあふれる作曲もあいまって永遠にその輝きを失うことはないだろう。惜しくも白血病によって81年5月に帰らぬ人となってしまったが、残されたGowenの関わった、これらの音源に触れるたびに、毎回毎回新たな発見があり、喜びがある。発掘音源も含めて、本当に自分のやりたい音楽を真摯に追求し続けてきた人だったと思う。Alan GowenはAfro RockのAssagaiに71年に参加後に同バンドのドラマーだったJamie MuirとSunshipを結成している。その後The London Jazz FourAtlantic BridgeのMike TravisとGilgameshを結成してCunterburyの人々との交流も始まる。特に再編Gilgameshに加入するHugh HopperとGowenは、志が近かったのかもしれないが抜群の相性の良さをみせ、80年代にも『Two Rainbow Daily』という素晴らしいDuoアルバムを残している。Soft Headというのはご存知の通りSoft Heap同様にメンバー4人の頭文字をとって命名されたもの。GowenにHopper、Sax奏者のElton DeanにドラマーがPip PyleだったらHeapだしDave SheenだったらHead。Pip Pyleは好きなドラマーだけどグループとしてはHeapよりもHeadの方が好きかも知れない。先に結成されたSoft Heapがフランス・ツアーの時に同行できなくなったPipの代役としてDave Sheenを起用してSoft Headを名乗るようになった。


 『Rogue Element』は正式にはHopper/Dean/Gowen/Sheenという4人の連名であるSoft Headの上述の78年にフランスでのツアーの模様を収録したLive盤。この4人の正式アルバムは、この一枚のみ。

アルバムの1曲目“Seven For Lee”はElton Deanの作品。7拍子のリフにのってSaxelloの不思議な音色が幻想的な空間を作り上げていく。

Hopper作の“Seven Drones”はイントロのGowenのエレピのAbstractな速弾きからDeanのAltoが幻想的に鳴り響き、即興演奏が繰広げられていく。

前曲から続いて演奏される“Remain So”はGowen作。変拍子を駆使しながら全員がスリリングに技巧を応酬する様はカッコ良すぎ。Soft MachineはHopper脱退後にありがちなJazrockになってしまったが、Soft HeapはGowenの才能により、理想的な形で構築された部分と即興とが共存している。

C.R.R.C”はGowen作のBallad。これも只では終わらないCompositionの仕掛けが施してあるのがGowenたるところ。途中からいかにも英国的なテーマが始まり、リズムが変わりながら、静と動が見事に描き出され白熱していく演奏に思わずひき込まれてしまう。

One Three Nine”はHopperのベースのFunkyなリフが最高に心地良いナンバー。シャープなGowenのエレピもカッコイイ。Deanの作品。ユニゾンが決まりソロが展開されていくところなど鳥肌が立つ。

(Hit-C Fiore)