Crystal Machine/Tim Blake | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

$BLACK CHERRY
 このジャケットはスゴイっす。いったい、どこなんだろう、この世界は。完全にアッチの世界のお方みたいな。見るからに70年代のシンセもの風のSF調で、ヒーローよろしく凛とした弾き姿のTim Blake先生が素晴らしい。タイトルもいかにもな『Crystal Machine』は、あのGongでも異彩を放っていたチョイとナル入ったシンセ奏者Tim Blake先生の作品。一時シーンから姿を消していた先生は、まだまだ現役で頑張っているようである。このお方のTripしまくった鍵盤使いは只者ではない。Gongの〝Radio Gnome Invisible〟3部作、つまり『Flyng Teapot』に始まり、『Angel's Egg』から名盤『You』へと続くGongの黄金時代に、この人のSpacyでぶっ飛んだシンセの果たした役割は大きかった。Tim Blake自身はLondon生まれの英国人なんだけど、Gongというバンドの多国籍集団ならではの自由な発想やHippy感覚はフランスらしい。そんな中でTim Blakeも異邦人的な感覚、さらには宇宙人的な感覚で、EMSやMini Moogを駆使して独特の世界を作り上げていた。サウンド的な古さは否めないが、今でも通用するような孤高のTrip Musicとして楽しめたりもする。GongのならずHawkwindでも、その浮遊感というか、聴くものを別世界へ強引にひきずりこむその存在感は一種、孤高であったが、ソロ活動では、その飛びっぷりがさらに加速している。それにしてもDaevid Allen翁も大好きなSteve Hillageもそうだが、Gong星人はいつまでも元気で年を感じさせませんな。

Crystal Machine』はTim Blake77年にリリースした1stソロ・アルバム。Tim Blake先生が仁王立ちして鍵盤ひきまくっている姿も最高。ジャケット、そのままのコケオドシ感が有無を言わせずTripを誘うBlakeの独特の世界が強引に展開されていく音盤。飛びまくりのシンセに圧倒されるけれど、この人の弾くMini Moogのウニョウニョとした弾きっぷりも良い。Live録音とスタジオ録音を収録した、このソロ・アルバムは完全に別世界に行ってしまっている。
一発目の“Midnight”から、もう先生の世界に一気にひきこまれてしまう。この人の世界観は一般人には理解できないけれど、70年代の凡百のいわゆるシンセ・ミュージックに比べて圧倒的な個性があって素晴らしい。シーケンサーや機材に振り回されず意外に人間ぽい自分の世界を良くも悪くも押し出しているところが好きだ。
心地良く脳内マッサージされているようなTechnoな“Metro Logic”でもうねりまくるMini Moogが素晴らしい。
Minimalなシーケンサーに次々とSpacyなシンセが絡む“Last Ride Of The Boogie Child”も心地良い。
78年リリースの次作『New Jerusalem』では、さらに自らのVocalの比重を高め、アコギの導入もあり、中々独自のPopセンスもみせていて面白い。

Tim Blakeの数年前のStudioでの勇姿

若き日のTim Blakeの勇姿

◎Tim BlakeのOfficial Website→Tim Blake
◎Tim BlakeのMySpace→Tim Blake
(Hit-C Fiore)