Exmagma 3/Exmagma | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 70年代に活躍したドイツの個性溢れるバンドの中でもExmagmaの変態ぶりは際立っている。Kraanのように高い演奏技術を持ちながら、トリップ感のある脱力した音楽に走るところや、Embryoにも通ずる雑食性のアプローチを併せ持った彼らの音楽は、さらに肉感的であるところが魅力だ。トリオ編成である事もあり、すき間を生かしたFreakyな演奏は、どちらかと言えば即興性の高いものである。わかり易さよりも極めてドイツ的な、ごった煮風で実験的な部分に重点が置かれているところも面白い。

Exmagmaのメンバーは三人とも、それぞれにキャリアを持った実力のあるミュージシャンだったらしい。特にDetroit生まれのドラムのFred Bracefulのキャリアには驚かされた。なんと自分の大好きなベーシストの一人であるEberhard Weberと共に、かのWolfgang Daunerのピアノ・トリオの一員として活躍しており、名盤『Dream Talk』で素晴らしい演奏を残しているではないか。また、よりフリーでアバンギャルドな方向性に走ったDaunerの67年作の『Free Action』ではGuru GuruManiおじさんとも共演している。さらにロックや電子音楽に走ったWolfgang DaunerのバンドEt Cetraにも参加している。鍵盤担当のThommy BalluffはドイツのMod-Soulバンドの出身で、ギター&ベース担当のAndy GoldnerPretty ThingsタイプのR&Bバンド出身。この辺にヨーロッパ特有の、ジャンルを縦横無尽に超越して独自の個性を発揮していった音楽の面白さを感じてしまう。


 『Exmagma3』は彼らの三作目として録音されながら発表されなかった幻の作品。

Conny Plankのプロデュースで前2作よりも実験的でFrak Outしまくった彼らの堅気とは思えない音楽が次々と展開されていく。インプロ主体と思われる彼らの演奏だが、突然Canterburyっぽいオルガンやエレピで端正な音楽が奏でられたかと思うと、いきなりフリーになったりテープ操作やエフェクト音が出てきたりする、屈折したエネルギーの塊のようなアルバム。アルバムはジミヘン流儀のギターと猥雑なVocalが炸裂するFunkyな“Box25”でスタートする。

Torpedo Tits”も同路線でリズムが展開しながら、原始的なノリの3人の肉弾戦が繰り広げられる。

It's Nice”では唸りをあげるオルガンとギターとのバトルが熱い。

Rock&Roll”は奇妙なエフェクト音が絡んで、トリップ感バッチリ。

Uberm Beautiful”はうって変わってCanterburyな夢見心地の曲。

Dr. Phil.S.H”はFunkyなインストでAndyのJazzy なギターがカッコイイ。


Hit-C Fiore