前著【ロスチャイルド、通貨強奪の歴史とそのシナリオ】につづく宋鴻兵氏、渾身の一冊。今回は約500ページに渡り、西暦1600年以降の欧米列強の金権政治の変遷を綴っています。世界史、特に政治史と経済史に興味のある方にはお薦めです。



$パス出しつづけて30年、人生でもアシストします -ある社会起業家の日記-

通貨戦争 影の支配者たちは世界統一通貨をめざす 宋鴻兵(著)



世界各地で起きている紛争や戦争の多くは、経済覇権を巡る為政者及びその支配者に因るものとの見地から著者の推論が綴られています。陰謀論と片付けるには少し早計と感じてしまうほど緻密に情報収集されており、世界史が好きな人にはたまらない良書ではないでしょうか。

ただし、内容がかなり専門的(世界史側面、経済側面)なので、金融に関する予備知識をある程度持っていないとすぐに眠たくなるかもしれません。

帯にも書いてありますが、企業経営者は一読し頭の片隅に置いておいても決して損はない知識が満載です。2007年のサブプライム問題、2008年のリーマン破綻に端を発した金融危機はまだ始まったばかりです。時事問題は近視眼すぎて、今本当は何が起きているのかを正確に伝えるマスコミは存在しません。金融危機はきっかけにすぎず、これから先数十年かけて金融資本主義の仕組みが大きく変わっていくようです。そして、今、中東で起きていることも、もちろん関連しており経済覇権が欧米から東アジア(多極化)へ移るのか否かの瀬戸際に立っているということを肌で感じることができます。

とはいえ、本書に書かれていることが事実だった場合、はたして個人で何か対策できるのか?という疑問は残ります。しかし、人類史に確実に刻まれるであろう出来事が起きている真っ只中に生きている幸運を、主体者としてコンテンポラリーに感じていたいという衝動に駆られる一冊です。


【読んでみてね推薦度】
★★★★☆