国民生活センターHPより気なったケース
女児の目にボタン電池が!-電池のサビ等により入院手術 著しい視力低下-

 住宅会社が配った、1mのメジャーにライトが付いているポケットメジャーライト(写真参照)に入っていたアルカリボタン電池(以下「ボタン電池」という。直径6.7mm、厚さ3.1mm)が飛び出し、

女児の右目に入る事故が発生したという相談が消費生活センターから当センターに寄せられた。救急搬送先の病院で、約2時間後に右角膜上にボタン電池を確認した。

目の中に入ったボタン電池に付着していたサビ等を除去したが、右角膜混濁・右角膜異物により著しい視力低下を招いた。


事故事例

 母と兄が台所の流しで兄用の飲み薬を作っていたときに、
ひとりで遊んでいた3歳5ヶ月の女児が突然激しく泣き始めた。

「何かが目にぶつかった。目が開けられない」と言った。

泣いている理由が分からなかった。

様子を見ていたら、泣き疲れて眠ってしまった。

2時間後、今までにない泣き方で、
涙に赤かオレンジのような色がついていた。

救急搬送先の病院でボタン電池が目に入っていることが分かった。

(事故発生年月:2008年12月、相談受付年月:2009年3月
受傷者:3歳5ヶ月 女児 東京都)


輸入発売元:株式会社アイトック
製品名:ポケットメジャーライト



事故の詳細

 ポケットメジャーライトは住宅会社(株式会社 家・スタイル)が主催した内覧会で来訪者に配ったものである。母親が家に持ち帰り、女児が自宅で触っているときに事故が起きた。

 救急搬送先の病院ではじめて、目の中にボタン電池が入っていることが分かった。

医師が瞼を開いてボタン電池を取り除いたが、
角膜にボタン電池のサビが付着していたため、
角膜の異物を除去し、角膜を掻爬(そうは)する手術を受け1週間入院した。

3歳児健康診断の時に、目の疾病等はなかったが、視力が0.2に低下した。

 事故が起きた製品は、中国で製造されて複数社が輸入しており、
ボタン電池が装着された状態で販売されている。

上記輸入発売元は約5万個輸入し、
現在、在庫は743個ある。

住宅会社は販売促進用品を取り扱う会社から200個購入し、
内覧会等で配布し、残りが50個ある。

【事故品の写真】(当センター撮影)
メジャー1

メジャー2

問題点

 事故品の電池ケースの蓋は外れてしまうことがあり、
幼児でも開けられる構造であった。

また、電池ケースの蓋が外れるとボタン電池が飛び出すほど、
電池ケース内の電極用バネの力が強いと思われた。

本件は飛び出したボタン電池が目に入ったが、
誤飲・誤嚥のおそれもあり、製品の構造に問題があると考えられる。

 事故品および事故同等品には、
取扱説明書や注意書が同封されていなかった。

販売促進用の製品として、不特定多数の消費者の手に渡る可能性があるにもかかわらず、使用方法や注意事項の記載がないことは問題である。



事業者への要望

 製品の電源としてボタン電池を用いる場合、
その危険性を認識し、
電池ケースから容易には取り出せない設計にするとともに、
ボタン電池を使用している旨を製品に記載し注意書を添付するよう工夫してほしい。

 また、販売促進用の製品の提供・配布を考えている事業者は、
コスト面ばかりでなく、
安全性も調査したうえで製品を選定してほしい。

 なお、輸入発売元である(株)アイトックへのヒアリングによると、
事故同型品は同社以外の事業者も輸入しており、
その流通経路は多様で把握しきれないことから、
回収等の措置は講じないとしている。

同社及び配布した住宅会社いずれも在庫分については廃棄するとしているが、消費者に注意を呼びかけるなど、より積極的な対応を取ることが望まれる。



消費者へのアドバイス

 事故同型品を持っている消費者、特に幼児のいる家庭は、その取扱いに十分注意すること。

 また、事故同型品に限らず、ボタン電池の誤飲・誤嚥の危険性についてはかねてより指摘されているが、
目に入った場合も非常に重篤な結果になる。

(社)電池工業会ホームページによれば、
ボタン電池は小型ゲーム機や防犯ブザー、補聴器など、
さまざまな製品に利用されているが、
ボタン電池が利用されていることがわかりにくいので気をつけること。

情報提供先

内閣府 国民生活局 総務課 国民生活情報室
経済産業省 商務流通グループ 製品安全課


あきやま行政書士事務所より。

くれぐれも、小さなお子様の行動には注意し
危険な物には、触れさせないようにするとともに、
製品の安全確保には製造者は、
責任をもっていただきたい。

第三条  製造業者等は、
その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、
その引き渡したものの欠陥により他人の生命、
身体又は財産を侵害したときは、
これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。