税務調査の撃退法・11.【実例】税務調査終了後・フィナーレ | 税務調査専門の公認会計士・税理士、たけよしのブログ

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調査結果説明終了から二週間後、代理人はC統括官に電話し、現状を確認した。





電話の内容は、この件に関してはR国税局の審査に回っていること、手元を離れているため具体的な状況が分からないこと、いつ頃最終的な判断が出るか不明である、というものであった。






そこで代理人は、X氏の活動が事業である旨の主張を再度すべく、先の調査結果説明におけるC統括官の発言を踏まえ、C統括官の認識に誤りがあることを指摘する意見書をC統括官に提出した。





さらに一カ月後、C統括官から代理人へ電話があった。





その内容は、R国税局の審査の結果、X氏のバンド活動が事業ではないと判断するだけの明確な根拠が無いことから申告是認となったこと、是認通知を発送後還付手続きに移ることを伝えるものであった。





約一カ月後、是認通知がX氏のもとに送達され、税務調査はすべて終了した。



更正決定等をすべきと認められない旨の通知書


さらに1か月後、還付金振込み通知がX氏のもとに届き、還付加算金(※国税にかかる利息で、申告書提出から振り込みまでの期間において、還付される税額の4.3%/年が追加でもらえます)とともに、還付金の入金があった。



国税還付金振込み通知


※これが4年分届いています。
※金額は「¥」の表示位置からご推測ください。

※還付加算金もきちんと付加されています。





【筆者コメント】


まず、更正までの流れを確認しましょう。

更正が出されるまでは、以下の流れで決裁されていきます。




A調査官 → C統括官(Q税務署審理担当) → R国税局審理 → R国税局訟務官室 → Q副署長 → Q署長




上記のような流れの中で、「納税者と訴訟になったときに国は勝てるのか」、という視点で審査を行います。



しかしながら、今回のような全面対決のケースでは普通、納税者に否認を伝えた段階で税務署の判断は確定しており、納税者が泣こうが喚こうが騒ごうが、修正を拒否した場合は更正処分が下されます





にもかかわらず、国税の審理や訴訟担当は、「本人と訴訟をやっても証拠が弱いので勝てない」と判断したことになります。(前提として、本人の申告が不適切であることを立証する責任は国にありますが、今の証拠量では立証不可能と判断した。)




一般的に、調査担当者は証拠について軽く考えていますが、審理担当は訴訟を見据えて審査しますので、証拠が無ければ「なんとなく追徴」という課税を嫌がり、決裁しません。




ですので納税者側としては、不利になり得る証拠はなるべく出さない、という基本対策が非常に重要になります。



とにかく、調査結果説明において面前の統括官から「税務署の判断として否認であり、修正しないと更正処分を下す」と言われた事項について、当方は完全に覆すことが出来ました





事実として、「年間売上数万円、年間経費100万円弱が4年間続く程度の事業規模であっても、”合法な”税務調査や審査を経た結果、事業所得であるという判断になることがある」と国税局や税務署が正式に認めたことになります。





実は、X氏の税務調査全体をとおして小職の誤算・想定外が1点だけありました





それは、今回の「国税局の是認」判断です





前回の調査結果説明後、X氏には「国税局により税務署の判断が覆ることは考えにくい。そのため、その内に更正処分が出るだろうから、その時はすぐに警察署に告訴に行きましょう」とお伝えしていました。





そして、国税局の否認が出ることを前提に、再度税務署に出頭し、既存の問題及び前回発覚した新事実・新犯罪の証拠を固めるための質問書のドラフトも作成していました。





しかしながら、想定外の是認により肩透かしを食らわされました。





とはいえ、準備事項が日の目を見なかった事は結果的に良かったと思っています。





一方、Q税務署の誤算は当初の「お尋ね」の段階から始まっています




・お尋ねで揺すれば取り下げるだろう。


・税務調査として面談をすればボロが出るだろう。


・勤務先から情報を取ると言えば、嫌がるだろう。


・共同事業者の個人情報を出させようとすれば引き下がるだろう。


・公的文書「照会」で脅せばうろたえるだろう。


・調査結果説明でゴリ押しすれば何とかなるだろう。


・相手が反論してきても国が税務訴訟で戦って潰してくれるだろう。





これだけの誤算が続きましたが、「自分が刑事告訴されても何とかなるだろう」という誤算だけは何としても避けたかったようですね。





以上が小職の実体験に基づく、税務署の撃退法です。





しかしながら、小職が受けた相談の中には信じられないような調査官の対応があります。





一例を紹介しますと、ある方が事業所得の赤字を申告したところ、調査官から「これは事業ではないので取り下げるように。さもなくば、あなたの自宅まで行く。」と脅されたケースがあります。





この方は、事業ではないという根拠は何か、これは税務調査なのか、何の権限で自宅まで来るのか、という質問をしましたが、調査官は取り合う事もなく「自宅まで行く」の一点張りでした。





最終的にこの方は税務署の威圧に屈し、事業所得の申告を取り下げると調査官に伝えましたが、「それなら、この承諾書にサインして判を押せ」という調子で、文書への同意を求められました





その同意書には、税務署の指摘に異議はありません申告は自ら取り下げます今後、本件で不服申し立ては行いません。というような内容が書かれていたようです。





もちろん、このような文書にサインする必要はありませんし、サインを求める権限は税務署にもありませんが、この方は泣く泣くサインしてしまったようです。





このように、税理士がついていないことをいいことに、思いのままに狼藉を働く調査官がいます





もし、読者の方でこのような税務調査に遭った方、遭いそうになっている方がいれば、お気軽に小職までご相談ください。





結果までは確約できませんが、違法行為の差し止め、権利主張を行い、全力で是認を勝ち取るサポートをいたします





当記事が、税務調査で困っている読者の皆様のお役に立てば幸甚です。




ご意見は以下まで。


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たけよし

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※税務調査のご相談自体は無料ですので、お気軽にご連絡ください。



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