税務調査の撃退法・2.税務調査の基本戦術・方針(防御編) | 税務調査専門の公認会計士・税理士、たけよしのブログ

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今回と次回では、調査官にどのように対抗すべきか、税務調査の基本戦術・方針を記載します。



税務調査は、調査実施の通知 ⇒ 実際の調査 ⇒ 結論及び処分 という流れとなりますので、まずは防御が基本であり、巷の本のとおり非常に重要になります。




しかし、防御と言っても小職が提唱するのは攻撃の材料を収集するための積極的防御ですから、ここから戦いは始まっています。




【防御方針】


①調査官に秘密で録音を行う。


⇒まずは何といっても、税務調査の客観的証拠を残す必要があります。




これは将来攻撃に転換した時に強大な威力を発揮しますので、電話での会話、面談、調査説明を受ける時など、ありとあらゆる会話をICレコーダーで録音し、相手の言質を確保しておきます。(ベストは改ざんが困難な「カセットテープ」が良いようです。)




ところで、録音については地裁判例等で「納税者が録音を求める場合、情報漏えいのリスクがあるので調査官が録音を拒否することは相当」とした判例があります。




そのため、事前に録音を申し入れると拒否される可能性が高いため、秘密で録音する必要があります。




ちなみに、この判例は理屈で覆すことは可能ですが、それを調査官と話しあっても不毛なので、秘密録音で十分です。(秘密録音しても、このようなケースであれば罰則はありません。)




②余計なことはしゃべらず、相手に法律論を話させる。


⇒調査官は雑談においてもその端々から否認の根拠を掴もうとします。




そのため、(秘密録音をしている)税務調査においては、口数が多いほうが不利益を受けます。




調査官からの質問や雑談には、そっけない対応がベストです。




そして、否認になりそうな項目があれば、積極的に質問をしてください




例えば、「その否認の根拠は何法の何条に基づくものですか?」、「その解釈は、どのような通達や判例に基づくものですか?」という感じで、しつこく法的根拠を訊いてください。




法律知識・税務知識が無い調査官であれば容易に馬脚を現しますので、それをもって上司である統括官に告げ口し、「おたくの部下の調査官が税法に基づかない処分をしようとしたが、このような法律違反を税務署としても容認しているのか?」と訴え出てもいいです。




③譲歩を引き出す。


⇒これは王道な対応方法ですが、資料の依頼を受けた時の対応になります。




調査官がある資料の提示を求めた場合、その範囲や質、提出期限について譲歩を引き出すことが重要になります。




譲歩に応じればそれで良しですが、応じなかったとしても焦らすことで「面倒な調査先だ」と刷り込む効果もあります。




「1.税務調査官とは」にも記載しましたが、面倒な調査先だと思わせた場合、調査官が合理的に行動すると、その後の調査を厳しくしてやろうというよりは早く終わらせようという意図が働きます




またこれはやや高等技術ですが、反面調査の実施を要請された場合、「得意先や仕入れ先に迷惑がかかるので、容認できない」と要請を拒否して譲歩を引き出す方法もあります




調査官としては、それでもほぼ100%、譲歩せず反面調査実施を求めてきますが、その時に「当方としては、取引先に迷惑がかかるとともに既存の資料で十分に確認できるため、反面調査の必要性は無いと判断している。故に、反面調査に同意することはできない。それでも反面調査をするならば、税務署の職権でやってくれ。もちろん、職権によって実施した反面調査で当方に損害が発生した場合、国家賠償請求も辞さない。それでも必要ということであれば税務署の責任の下、覚悟を持ってやってくれ。」と言います。




前述のとおり、調査官は面倒を嫌います。




税務調査に不手際があって国家賠償請求でもされようものなら、お先真っ暗です。




それでも反面調査をやる場合はありますが、躊躇を与えるので抑止力になりますし、実施されたとしても将来の武器の材料にも使えます。




④資料の提示を求められた時は、「事業に関する帳簿書類その他の物件」に該当するかどうかを吟味する。



⇒所得税に限らず、調査官は納税者の「事業に関する帳簿書類その他の物件」しか入手権原がありません




従い、資料の提示を求められた時は、それが本当に「事業に関する帳簿書類その他の物件」に該当するかどうか、吟味してください




該当しないと判断した場合、提出を拒否することが可能ですので拒否も検討しましょう。




その際、調査官はほぼ100%、それでも提出するように迫ってきます。




(該当しない、又は該当しないように見える、ということが前提ですが)この時、「この文書の提出は国税通則法等の規定に基づき、税務署職員による質問検査権の行使として提出を求めるものか?」ということを確認し、「そうだ」という言質を押さえた状態で、敢えて異議を付して提出する作戦があります。




これも将来の強力な攻撃手段になりますが、「税務署が職権を濫用し、入手権原の無い資料を納税者から無理やり入手した」という事実が出来ますので、違法に証拠を収集したという事実により、税務調査自体の無効を主張できます。




これまで見てきたような防御を敷いておけば、明らかに税法に反する非違事項以外、根拠や理論を持って税務署が否認できる事項は限りなく少ないものと思われます。




ここから攻撃に転じることになりますが、限りなく黒に近い事象でも認容判断を得ることは可能です。




全ては、入手した武器次第です。



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