訪問看護師、暴力に泣き寝入り 対策へ医療関係者、弁護士ら検討会発足


という記事がポータルサイトで紹介されていました。


「公的な相談窓口の設置」も検討しているようで、それは良いと思いますね。


訪問看護師の5割「利用者、家族から暴力受けた」 「抱きつかれた」セクハラ被害も 神戸市看護大が調査


病院でも、少数ですが、問題を起こされる患者さんやご家族がいらっしゃるのは事実です。


ただ大きな病院ですと、最近は医療安全チームがありますので、医療者が相談する窓口があります。


重い病気は、時として人の精神状態を大きく揺り動かすものです。


平常心ではない状況がそこにあります。


ゆえに、どこまでが理解可能なレベルなのか、どこからが問題と解釈されるのかの、境界線の判断はしばしば難しいです。


心優しい医療者も多いですから、「病気だからやむを得ないだろう」と明らかな問題行動まで許容すると、さらにエスカレートすることもあり、その見極めは悩んでいる個人にはなかなか難しかったりします。


そんな時に、大きな病院ですと、相談できる窓口があるのは救いです。また様々な人間が関わっていますから、共有はしやすいものです。


しかし在宅の場では、関わりも一対一あるいは一対多数であり、また相談できる窓口が一般的にはないか少ないものでしょう。


在宅医時代を振り返りますと、私自身もひやりとしたケースがありました。密室ですから、それも逃げ場のない感覚にさせます。ただ誤解のないように言えば、そのようなケースはごく少数です。しかしインパクトがあるので、こういうネガティブな記憶は後々まで影響するものです。


そんな時に、頼りになる同僚の医師がいたから、やって来れましたが、これで周囲に理解的な人がいなかったら本当に厳しかったと思います。


大切な在宅の医療者が、身の危険を感じることが少なくなるような体制作りは確かに重要なものだと考えます。