今回はWindows Server バックアップで取得したバックアップからの復元を試してみます。
■GUIの場合
1. Server Managerで[記憶域]-[Windows Server バックアップ]を表示します。
Windows Server Backupのメニューから[回復]を選択します。
2. 回復ウィザードが起動します。
まずバックアップが保存されているサーバーを選択します。
3. 回復に使用するバックアップをそのバックアップが取得された日付、時刻で指定します。
4. [回復する項目]を以下から選択します。
・ファイルおよびフォルダ
指定したファイル、フォルダのみを復元します。
・ボリューム
指定したボリューム全体を復元します。
・アプリケーション
SQL ServerやShare Point Servicesのバックアップがある場合、
アプリケーション単位で復元することが可能なようです。
この機能は後日試してみたいと思います。
5. [回復する項目]で「ファイルおよびフォルダ」を指定した場合は
まず復元するファイル、フォルダを指定し、
なお、以下のシステムフォルダは元の場所には復元できません。
%systemdrive%\Boot
%systemdrive%\Program Files
%systemdrive%\System Volume Information
%systemdrive%\Uses
%systemdrive%\Windows
これらのフォルダを元の場所に復元したい場合は
システム回復を実行する必要があります。
システム回復は次回試してみます。
それ以外のオプションとしては
・復元先に既に同名のファイル、フォルダがあった場合の動作
(「コピーを作成して両方保持する」、「上書きする」、「復元しない(既存のファイルを残す)」から選択)
・セキュリティ設定(ACL)を復元する・しないの選択
があります
6. [回復する項目]で「ボリューム」を指定した場合は、
復元するボリュームと復元先のボリュームを指定します。
なお、システムボリューム(通常はC)は元のボリュームに復元することはできません。
これも元のボリュームに復元したい場合はシステム回復を使用する必要があります。
システムボリューム以外のボリュームは元の場所に復元することが可能です。
7. 以上の指定が終わると復元を開始します。
なお、上記のダイアログを終了させても復元は続行されます。
その場合はServer Managerの[Windows Server バックアップ]の[メッセージ]に
進行状況が表示されます。
復元を中止したい場合はWbadmin stop jobコマンドを実行する必要があります。
■コマンドの場合
Wbadmin start recovery
コマンドを使用します。
<オプション>
-version:復元に使用するバックアップのバージョンを指定します。
-itemtype:Volume ボリューム単位で復元します
File ファイル、フォルダ単位で復元します
App アプリケーション単位で復元します
-item:-itemtypeでVolumeを選択した場合は復元するボリュームのドライブ文字を指定します。
-itemtypeでFileを選択した場合は復元するファイル、フォルダのパスを指定します。
-itemtypeでAppを選択した場合は復元するアプリケーションを指定します。
(SQL Serverの場合はSQLと指定するようです)
-backupTarget:バックアップが格納されているボリュームもしくは共有フォルダを指定します。
-machine:バックアップが格納されているコンピュータの名称を指定します。
このオプションはリモートマシンにバックアップがある場合に指定します。
-recoveryTarget:復元先がバックアップ元と異なる場合に復元先を指定します。
復元先がバックアップ元と同じである場合は指定しません。
ボリューム単位で復元する場合は復元先のボリュームのドライブ文字を
ファイル、フォルダ単位で復元する場合は復元先のファイル、フォルダのパスを指定します。
-recursive:-itemtypeでFileを指定した場合に-itemで指定したフォルダの下の
ファイル、フォルダを全て復元する場合に指定します。
-overwrite:-itemtypeでFileを指定した場合に復元先に既に同名のファイル、フォルダがあった場合の
動作を指定します。
Skip:復元しない(既存のファイルを残す)
CreateCopy:コピーを作成して両方保持する
Overwrite:上書きする
-notrestoreacl:-itemtypeでFileを指定した場合にこのオプションを指定すると
セキュリティ設定(ACL)が復元されません。
このオプションを指定しない場合はセキュリティ設定(ACL)が復元されます。
-skipBadClusterCheck:-itemtypeでVolumeを指定した場合にこのオプションを指定すると
ボリュームに不良クラスタがあるかのチェックをスキップします。
-quiet:このオプションを指定するとコマンド実行時にプロンプトが出力されません。
コマンドの場合でも「ファイルおよびフォルダ」、「ボリューム」、「アプリケーション」の
3つの項目から復元する単位を選択できます。
1. まずWbadmin get versions でバックアップを確認します。
C:\Users\Administrator>wbadmin get versions wbadmin 1.0 - バックアップ コマンド ライン ツール (C) Copyright 2004 Microsoft Corp. バックアップ時間: 2008/02/14 11:23 バックアップ対象: 固定ディスク ラベル付き ボリューム(D:) バージョン識別子: 02/14/2008-02:23 回復可能: ボリューム, ファイル, アプリケーション, ベア メタル回復, システム状態 バックアップ時間: 2008/02/14 13:05 バックアップ対象: ネットワーク共有 ラベル付き \\WIN-ITB1GBOIFVL\Backup バージョン識別子: 02/14/2008-04:05 回復可能: ボリューム, ファイル, アプリケーション, ベア メタル回復, システム状態 バックアップ時間: 2008/02/20 18:16 バックアップ対象: 固定ディスク ラベル付き ボリューム(D:) バージョン識別子: 02/20/2008-09:16 回復可能: ボリューム, ファイル, アプリケーション, ベア メタル回復, システム状態 バックアップ時間: 2008/02/25 20:12 バックアップ対象: 固定ディスク ラベル付き ボリューム(D:) バージョン識別子: 02/25/2008-11:12 回復可能: ボリューム, ファイル, アプリケーション, ベア メタル回復, システム状態
Wbadmin start recoveryコマンドの場合は復元に使用するバックアップを
バージョン識別子で指定しますのでバージョン識別子を覚えておきます。
2. Wbadmin start recoveryで復元を実行します。
・ファイルおよびフォルダ単位で復元する場合の例
C:\Users\Administrator>wbadmin start recovery -version:02/25/2008-11:12 -itemtype:file -items:c:\Users -recoveryTarget:e:\ -recursive wbadmin 1.0 - バックアップ コマンド ライン ツール (C) Copyright 2004 Microsoft Corp. ボリューム情報を取得しています... 2008/02/25 20:12 に作成されたバックアップから e:\ にファイル c:\Users を回復することを選択しました。 続行しますか? [Y] はい [N] いいえ Y c:\Users の復元中に、(99%) をコピーしました。 現在 c:\Users\Default\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Maintenance\ を復元しています。 e:\ への c:\Users の復元が正常に完了しました。 回復された合計バイト数 - 7.52 MB 回復されたファイルの総数 - 335 失敗したファイルの総数 - 0 正常に復元されたファイルのログ 'C:\Windows\Logs\WindowsServerBackup\FileRestore 26-02-2008 12-02-41.log'' 回復処理が完了しました。 回復の概要: -------------------- e:\ への c:\Users の復元が正常に完了しました。 回復された合計バイト数 - 7.52 MB 回復されたファイルの総数 - 335 失敗したファイルの総数 - 0 正常に復元されたファイルのログ 'C:\Windows\Logs\WindowsServerBackup\FileRestore 26-02-2008 12-02-41.log''
・ボリューム単位で復元する場合の例
C:\Users\Administrator>wbadmin start recovery -version:02/25/2008-11:12 -itemtype:volume -items:c: -recoveryTarget:e: wbadmin 1.0 - バックアップ コマンド ライン ツール (C) Copyright 2004 Microsoft Corp. ボリューム情報を取得しています... 2008/02/25 20:12 で作成されたバックアップからボリューム c: を別の場所 e: に回復することを 選択しました。 警告: フル ボリュームの回復を選択しました。操作が取り消されたり失敗した場合でも、 回復先のボリュームにある既存データは削除されます。続行する前に、今後必要となる データがこのボリュームに含まれていないことを確認してください。 注意: 回復するボリュームにアプリケーションが含まれる場合は、ボリューム 回復後にそれらのアプリケーションを回復する必要があります。 続行しますか? [Y] はい [N] いいえ Y ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(0%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(0%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(0%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(1%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(1%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(2%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(2%) をコピーしました。 ・・・・・・・・・・・・・・・(省略)・・・・・・・・・・・・・・・ ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(98%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(98%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(99%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復中に、(99%) をコピーしました。 ボリューム ローカル ディスク(C:) を終了しています。 ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復が正常に完了しました。 回復処理が完了しました。 回復の概要: -------------------- ボリューム ローカル ディスク(C:) の回復が正常に完了しました。
Wbadmin start recoveryコマンドは復元が完了するまで制御を返しません。
なお、復元の途中でCtrl + CでWbadmin start recoveryコマンドを終了させても
バックグランドで復元は続行されます。
その場合は、Wbadmin get status
コマンドで進行状況が確認されます。
復元を中止したい場合はWbadmin stop job
コマンドを実行する必要があります。
C:\Users\Administrator>wbadmin stop job wbadmin 1.0 - バックアップ コマンド ライン ツール (C) Copyright 2004 Microsoft Corp. 現在のジョブを停止しますか? [Y] はい [N] いいえ Y 完了する前に復元が終了しました。
またWbadmin start recoveryコマンドの場合もGUIの時と同様に
システムボリュームやシステムフォルダを元の場所に復元することはできませんので、
これらを元の場所に復元するにはシステム回復を実行する必要があります。
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