秋の発表会に向け、ポップス曲に取り組んでいる、とある生徒さんへのレッスン。
その生徒さんは熱心で、しっかり覚えている曲をやりたいと仰るし、楽譜も自身で購入していただける。
ただ、そのサックス用の楽譜を拝見して「?」となった。
微妙なリズムが、聴かせていただいた原曲のそれと違う。
生徒さんも、練習していてしっくりこないらしい。
「管楽器用にアレンジされた歌謡曲の楽譜は、どうもカッコ悪くなるきらいがある」
以前、他の先生がこんなニュアンスでほのめかしていた一言。
今日、分析してはっきりわかった。その理由が。
リズムを簡素化するあまり、歌い回しを考えないリズムが楽譜には記してあった。
記譜どおりに歌うと、全然気持ちよくない。
歌詞が、はまってくれない。
協議の結果、原曲の絶妙な歌い回しを参考にリズムを書き直すことにした。
歌ものを吹くときは、歌詞をイメージできた方がより良い演奏になるから。
楽譜を出版するのにあたっては、キーやリズムをできるだけ原曲に近い形で再現してほしいと、切に願う。
簡素化して楽しく吹きたい人向け、原曲に忠実に吹きたい人向け、という2バージョンあったら完璧だと思う。
生徒さんの伸びやかな音でその曲が聴けるのが、今から楽しみである。