28連勝までやってきて、号外まで出た。将棋界ではいつ以来か?  様々な評論文が出ている。旬に乗り遅れたくないですよね。

 
 
 アマ初段の筆者(元衆議院議員さん)による所見。藤井将棋の特徴は桂馬の始動が早いことにあるという。なぜか例証対象が名人戦第5局なのだが、非公式戦の対羽生戦等も念頭に置いたものか。この桂馬重視の背景にはソフトの影響がある、という見立てである。
 
 私自身はここまで踏み込んで書く気がしない。戦型に角換わりが多いので、玉をとことん固めない、桂馬が飛びやすいということになってはいるものの、それが藤井聡太の本質かとまでいえるのか・・・序盤中盤のバランスの良さはソフトによる検証を経たものかという仮説は立ちやすいが、ソフトがこのレベルになる以前からネット将棋、棋譜DBの整備により序中盤の洗練度は上がっていたので、この恩恵も指摘できそう。いずれにしても藤井聡太の修行方法が十分に開示されていないのでどこまで行っても憶測でしかない。 
 
※ ただ、こういう記事をみつけた。AIの影響があるとのことだ。
 
 修行方法の開示といえば、今週の将棋フォーカスで千田が特集されていて、関西将棋会館にはほとんど出向かず、ソフトとの模擬戦に励んでいるという。彼のレーティングが2800、最強ソフトが3700だったか3900だったか、とてつもない点数で、ほとんど勝てない、という。
 
※千田の2800は24のものではないのでしょうね。
 
 千田の勝ちっぷりを見ると有効な勉強方法であることは明らか。私ごときでも将棋を指した後は疑問手検索のためにソフト(激指12なのでそれほど信用できないのではあるけれど)を活用しているくらいで、同様の試みをしている人も相当数いると思う。
 
 戻って、以前のエントリーで藤井の強さをメディアで分析しているプロ棋士の所見がいかにもとってつけたようであることを述べたことがあるが、上の記事も含めて、将棋をあまりご存知ないファンはそのまま信用してしまうだろう。恐らくだが、この粗いメッシュで作られた所見が将棋に限らず、科学、文化、政治、芸能、社会等多くの部門でTV、新聞記事に氾濫しているのであろう、という想像をしてもそれほど変ではないように感じる。これは専門家が怠慢なのではなく、むしろメディア側が不勉強、あるいは放送時間や紙面の制約があるがゆえの事象ではないか。読み手としてはいよいよ猜疑心を募らせて自己検証すべきと思うのである。
 
 ついでに。棋士がテレビ番組に呼ばれて解説を頼まれることが頻繁になり、バブルの香りがする。つい先日までのスマホ冤罪は忘れ去られてしまい、それでいいのか、と私などは思ってしまうのだ。